自民 堀井学衆院議員 違法な寄付 計数十万円分繰り返した疑い

自民党の堀井学衆議院議員が、選挙区内で秘書などを通じて香典を渡すなどあわせて数十万円分の違法な寄付を繰り返していた疑いがあることが、関係者への取材でわかりました。東京地検特捜部は、すでに元秘書などから任意で事情を聴いていて、近く、公職選挙法違反の疑いで捜査を本格化させるものとみられます。

関係者によりますと、衆議院比例代表北海道ブロック選出の堀井学議員は、2年ほど前に、みずからが参列しない選挙区内の通夜や葬儀で、複数の秘書や家族を通じてたびたび議員名義の香典を渡していた疑いがあるということです。

公職選挙法は、政治家本人が参列してその場で渡す場合を除き、選挙区内の人に香典を渡すことを違法な寄付にあたるとして禁じています。

また、堀井議員は、選挙区内で枕花も贈っていて、違法な寄付はあわせて数十万円分になる疑いがあるということです。

特捜部は、派閥の政治資金パーティーをめぐる捜査の過程でこうした疑いを把握し、元秘書などから任意で事情を聴くなどして捜査を進めていました。

堀井議員が香典を持って行くよう指示していたことを示すLINEのやりとりが残っていたということで、近く、公職選挙法違反の疑いで捜査を本格化させ、実態解明を進めるものとみられます。

堀井議員の事務所は、NHKの取材に対し、「コメントできない」としています。

堀井議員は、自民党安倍派からおととしまでの5年間に2196万円のパーティー収入のキックバックを受けたにもかかわらず政治資金収支報告書に記載していなかったことが明らかになり、政治資金規正法違反の疑いで刑事告発されています。

自民 堀井学議員とは

自民党の堀井学議員は、衆議院比例代表北海道ブロック選出の当選4回。

北海道室蘭市出身で、スピードスケートの選手として1994年のリレハンメルオリンピックで銅メダルを獲得しました。

引退後は、道議会議員を経て、2012年の衆議院選挙で胆振地方と日高地方を地盤とする北海道9区から立候補して初当選し、その後、外務政務官や内閣府副大臣などを務めていました。

しかし、自民党安倍派からキックバックを受けたパーティー収入を、政治資金収支報告書に記載していなかったことが明らかになって、副大臣を辞任したほか、党の役職を1年間停止する処分を受け、先月下旬次の衆議院選挙に立候補しない意向を表明していました。

堀井議員が秘書などにLINEで指示か

堀井議員の事務所の関係者がNHKの取材に応じ、堀井議員が、みずからが参列しない選挙区内の葬儀に持参させる香典の金額などを、秘書などにLINEで指示していたと証言しました。

この関係者は「後援会関係者や政治資金パーティーのパーティー券を購入していた支持者が亡くなった際などに、1万円から数万円の香典を渡したり、枕花を贈ったりしていた。金額は東京にいることが多い堀井議員がLINEで直接指示していた」と話しました。

さらに「事務所内で本人が参列しない葬儀に、議員名義の香典を持参することの違法性を懸念する声が上がっていたが、堀井議員はいつもやっていることで、やめることはできないなどと話していた」と述べました。

違法な「政治家からの寄付」とは

公職選挙法は、選挙や政治の腐敗を防止するため、国会議員などの政治家や候補者が、選挙区内の人に「金銭や財産上の価値がある物品」を渡すことを禁止しています。

総務省は、違法な「政治家からの寄付」の例として、入学、卒業などのお祝いや、お歳暮やお年賀、病気見舞い、葬儀の花輪や供花、祭りや地域の催しへの差し入れなどを挙げていて、結婚祝いや香典についても、政治家本人が披露宴や葬儀などに参列して、その場で渡す場合を除き刑事罰の対象となるとしています。

選挙区内での香典提供をめぐっては、自民党の衆議院議員だった菅原一秀元経済産業大臣が、枕花や地元の行事に参加した際の祝儀などと合わせておよそ80万円分の違法な寄付をしていたとして、3年前に略式命令を受け有罪が確定しました。