欧州委 首相がロシアなど訪問のハンガリーに対し対応措置か

EU=ヨーロッパ連合の執行機関ヨーロッパ委員会は、ハンガリーで開催される非公式の閣僚会議に、閣僚にあたる委員を派遣しないと明らかにしました。今月からEUの議長国を務めるハンガリーのオルバン首相が、ロシアや中国を相次いで訪れるなどウクライナ和平をめぐり独自の外交を展開していることに批判が出ていることを踏まえた措置とみられます。

EUの執行機関、ヨーロッパ委員会は15日、ハンガリーで開催される各分野の非公式の閣僚会議に、今後、ヨーロッパ委員会の事務方の高官を出席させると発表しました。

閣僚にあたる委員は派遣しないことを明らかにし、事実上、出席者を格下げした形です。

ハンガリーは、今月からEUの議長国を務めていますが、オルバン首相はロシアとウクライナの和平に向けた取り組みだとして、5日にロシア、8日に中国を相次いで訪れるなど独自の外交を展開しています。

これに対し、EUのミシェル大統領は「議長国にはEUを代表してロシアに関わる権限はない」と不快感を示したほか、スウェーデンのクリステション首相も「EU議長国の立場を利用し、無責任で不誠実だ」と述べるなどEU内から批判が出ていて、ヨーロッパ委員会の措置はこうした批判を踏まえたものとみられます。

一方、ハンガリー側は「ヨーロッパ委員会は政治的思惑で物事を決めるのか」などと強く反発しています。

オルバン首相はロシア寄りの姿勢で知られ、EUのウクライナ支援などにたびたび反対してEU内で不満の声が高まっていましたが、今回のヨーロッパ委員会の措置を受けて対立がさらに深まる可能性があります。