NATO首脳会議閉幕 ウクライナ支援継続で成果強調も課題残す

NATO=北大西洋条約機構の首脳会議は11日閉幕し、ウクライナへの巨額の軍事支援を来年も維持することなどで合意し、ストルテンベルグ事務総長は「ウクライナが勝利するための基盤を整えつつある」と述べ、成果を強調しました。しかし、ウクライナのNATO加盟に向けた具体的な道筋は示されないなど課題は残されています。

アメリカの首都ワシントンで3日間にわたって開かれたNATOの首脳会議は11日閉幕しました。

10日発表された首脳宣言では、ウクライナに対し400億ユーロ、日本円にして6兆8800億円の軍事支援を来年も維持することや、ウクライナとの連携を強化するため、NATOの上級代表を首都キーウに置くことなどで合意しました。

11日、記者会見を行ったNATOのストルテンベルグ事務総長は「われわれは、ウクライナが勝利するための基盤を整えつつある」と述べ、成果を強調しました。

しかし、ウクライナが求めるNATO加盟については「後戻りしない」として、将来の加盟を支持する立場を強調したものの、具体的な道筋は示されませんでした。

また、ロシア領内への攻撃をめぐり、アメリカは供与した兵器に課した制限を緩和しませんでした。

ゼレンスキー大統領は11日、記者会見で「もし勝ちたいなら、制限の撤廃が必要だ」と訴え、供与された射程の長い兵器でロシア領内の軍の基地を攻撃できるよう、引き続き求める考えを示すなど課題は残されています。

バイデン大統領 閉幕後の会見でトランプ氏を批判

NATO首脳会議の閉幕後に行った記者会見でバイデン大統領は「私の前任者はNATOに関与しないと明言している。彼はプーチンに『好きなようにやれ』と言った。実際、プーチンがウクライナに侵攻した翌日、彼は『天才だ』と言ったが、強いNATOはアメリカの安全保障にとって重要だ」と述べ、トランプ氏を批判しました。

そして「私はプーチンに屈しない。私はウクライナから逃げない。私は強いNATOを維持する。われわれはそうしてきたし、これからもそうしていく」と述べ、ウクライナへの支援を続ける考えを強調しました。

ただ、ロシア領内への攻撃をめぐり、アメリカが供与した武器に課している使用制限の緩和については「ウクライナがモスクワやクレムリンを攻撃する能力があったとして、それは理にかなっているだろうか。答えはノーだ」と述べ、否定的な考えを示しました。