辺野古 米軍基地移設工事 護岸造るため くいの試し打ち開始

沖縄のアメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設をめぐり、国は、8月以降、軟弱地盤のある大浦湾側で新たな護岸の整備に着手することにしていて、8日午前、護岸を造るのに必要な、くいを打ち込むための試し打ちを開始したことが防衛省関係者への取材で分かりました。

普天間基地の名護市辺野古への移設をめぐり国と県は、軟弱地盤のある大浦湾側での埋め立て工事を前に、協議することになっていましたが、国は6月に「議論は十分行われた」として、県に対し、協議の打ち切りに加え、8月1日以降、新たな護岸の整備に着手すると通知しています。

今後の工事では、埋め立て予定区域を囲む形でコンクリート製の護岸を造成し、その内側に土砂を投入することになっていて、護岸の基礎部分にくいを打ち込む必要があります。

防衛省関係者によりますと、国は、8日午前10時から現場海域で、くいの試し打ちを開始したということです。

移設に反対する沖縄県は「工事の着手予定日が一方的に示されたことは遺憾であり、海にくいを打ち込む作業は、試験ではなく改良工事の着手だ」として試し打ちも含め中止を求めています。

「くい」試し打ちの様子

▽8日午前11時10分すぎ、沖縄県名護市辺野古沖の大浦湾側では、クレーン船から、くいが、ほぼ垂直の状態で海中におろされていました。

そして、くいが徐々に下がっていく様子が確認でき、海面付近のくいの周辺には複数の作業員がいました。

▽午前11時25分すぎには、ウエットスーツを着用した作業員を乗せた船が近づき、
▽午前11時半ごろには、いったん作業員が、くいから離れていきました。

▽午前11時35分ごろ、ダイバーが泳いでくいに近づき、くいの周辺の囲いを船で引っ張る様子が見られました。

その後、徐々に、くいが海中に入っていきましたが途中で停止し、
▽午前11時50分すぎには、くいの周辺に複数の作業員が集まりました。

くいが打ち込まれている周辺の海面はにごっていたほか、クレーン船の上には多くの作業員がいて、ほかにも複数のくいが並べられていました。

林官房長官「くい打ち試験は協議対象でない」

林官房長官は午後の記者会見で「くい打ち試験は、今後着手を予定している鋼管くいを用いる護岸工事に先立ち準備をしておくものだ。護岸工事を行うものではないので、実施設計協議などの対象ではない」と述べました。

そのうえで「防衛省からは7月4日に大型サンゴ類1群体に、くい打ち試験のための作業船のアンカーチェーンが接触した際に生じたと思われる傷が発見され、状況の確認などを行ったという報告を受けている。引き続き環境の保全に配慮しながら作業を適切に進めていく」と述べました。