通園バス置き去り3歳女児死亡 元園長が控訴しない考え伝える

おととし9月、静岡県牧之原市の認定こども園で当時3歳の女の子が通園バスの車内に置き去りにされ、重度の熱中症で亡くなった事件で、業務上過失致死の罪に問われ、禁錮1年4か月の実刑判決を受けた、当時の園長が、控訴しない考えであることを、園側が7日に女の子の両親に伝えたことが分かりました。

おととし9月5日、牧之原市にある認定こども園「川崎幼稚園」の駐車場に止められた通園バスの車内に、園に通っていた河本千奈ちゃん(当時3)がおよそ5時間にわたって置き去りにされ、重度の熱中症で亡くなりました。

当時バスを運転していた元園長の増田立義被告(74)は、園児たちが降りる際に車内の確認を怠ったとして、また、クラスの元担任の西原亜子被告(48)は、欠席したと思い込み保護者への確認を怠ったとして、いずれも業務上過失致死の罪に問われました。

7月4日の判決で静岡地方裁判所は「元園長の運転手としての過失は被害児童の命を奪う危険性が極めて高い、最も重大なものだ。これまでの同種事案と比べても刑の執行を猶予する余地は認められない」などとして、元園長に禁錮1年4か月の実刑を、元担任に禁錮1年、執行猶予3年を言い渡しました。

この判決を受けて、こども園を運営する増田多朗理事長が7日、千奈ちゃんの両親と面談し、父親によりますと、理事長は元園長が控訴しない考えであることを伝えたということです。

千奈ちゃんの父親は、「特に何の感情も抱きませんでした。反省しているのであれば当然のことだと考えていましたし、判決理由を法廷で聞き、なお控訴する自信があるのであれば、娘のために何度でも戦うつもりでした」とコメントしています。