パリ五輪に向け日本選手団 結団式【競技日程一覧 注目選手も】

今月26日に開幕するパリオリンピックに向けた日本選手団の結団式が行われ、開会式で旗手を務める選手が「一歩、踏み出す勇気を持ち全力を尽くしたい」と決意を述べました。

開幕まで、3週間。
金メダル確定日が分かる競技日程の一覧や、注目の選手について詳しくまとめました。

“最高のパフォーマンスを”

パリ大会に臨む日本選手団は5日までに393人の選手が代表となり、今後、バスケットボール男子が追加され総勢400人余りとなる見込みで、海外で行われる大会では2008年の北京大会を上回って史上最多となります。

5日、都内で秋篠宮ご夫妻の出席のもと行われた結団式には、開会式で旗手を務めるフェンシングの江村美咲選手と、ブレイキンのダンサーネーム「Shigekix」の半井重幸選手、それに東京大会に続き複数の金メダル獲得をねらう柔道やレスリングなどの選手が出席しました。

式ではJOC=日本オリンピック委員会の三屋裕子副会長から尾縣貢団長に団旗が授与され、このあと団長から江村選手に手渡されました。

そして、秋篠宮さまが「一人一人がスポーツを通して世界から集う人々との交流を深められ、国際親善に努められることを願っております」と激励のおことばを述べられました。

旗手を務めるフェンシング 江村美咲選手

最後に旗手の2人があいさつし、大会に向けた日本選手団のコンセプトを踏まえ、江村選手は「“一歩、踏み出す勇気を。”このコンセプトに基づき、選手団一同、新たな挑戦に向かって全力を尽くして参ります」と決意を述べました。

また、半井選手は「応援を一歩、踏み出す勇気に変え、感謝の気持ちを込めて最高のパフォーマンスを発揮することを誓います」と堂々と話しました。

パリオリンピックは今月26日に開幕し、17日間の日程で行われます。

壮行会 約6000人がエール

5日は結団式に続いて日本選手団の壮行会も行われました。

東京・渋谷区の東京体育館で行われた壮行会には、招待された小学生や抽せんで選ばれた一般の人などおよそ6000人が集まり、結団式を終えた選手たちが大きな歓声で迎えられました。

そして、会場が1つとなって「届け勇気、頑張れ日本!」と選手たちに声と手拍子でエールを送りました。

壮行会には人気ユニットの『スキマスイッチ』が登場し、代表曲の『全力少年』を選手たちもステージに集まって一緒に歌い、大会へのテンションを高めていました。

合唱後、レスリングでメダル獲得が期待される藤波朱理選手が「“世界をひらくのは私だ”という気持ちで頑張りたい」と曲の歌詞になぞらえて意気込みを話しました。

そして最後に、日本選手団の旗手を務めるブレイキンの半井重幸選手が決意を述べ「皆さんのパフォーマンス、音楽、言葉で私たち全員が勇気づけられた。パリオリンピックを通して感動や元気を与えていけたらと思う」と話しました。

柔道 阿部一二三選手「きょうだいで連覇を」

壮行会のあと、柔道の阿部一二三選手は「残り3週間しかないので、自分自身の“投げにいく柔道”、自分の一番良いところを研ぎ澄ましていくという感覚で練習をしている」と話したうえで、「きょうだいで優勝するとまた新しい歴史を刻めるかなと思うので、自分自身ときょうだいでの連覇を目指して頑張りたい」と妹の詩選手も含めた活躍に向け意気込みを話しました。

バスケ女子 林咲希選手主将「金メダルを」

壮行会のあと、バスケットボール女子日本代表のキャプテン、林咲希選手は、「この3年間でチーム力がすごく上がってきた。最初は大変だったが、今は選手1人1人が自覚と責任をもって戦ってくれているので、残り3週間ほど必死で練習をして、あとはもう全力で楽しんで戦うだけだなと思う」と話しました。

そのうえで、「オリンピックはとても苦しい戦いになると思うが、私たちは全力で戦い、日本の皆さんに勇気や感動を与えられるようなプレーをして、最終的には金メダルをとれるよう頑張っていきたい」と東京大会の銀メダルを超える金メダル獲得に向けて意気込んでいました。

金メダルの確定日は?競技日程一覧

競技日程を一覧にまとめました。
※開催日は現地時間です。

《注目の選手・競技は》

体操 橋本大輝選手

体操では、東京大会で個人総合と種目別の鉄棒で金メダルを獲得した橋本大輝選手に大きな期待がかかります。去年の世界選手権では内村航平さん以来となる史上4人目の個人総合2連覇を果たしたほか、種目別の鉄棒と団体も制して3冠を達成するなど若きエースとして不動の地位を築き上げました。
パリ大会では個人総合と鉄棒の2連覇、そして団体での2大会ぶりの金メダル獲得を目指します。

体操 男子団体

体操男子の日本代表は、エースで個人総合と種目別の鉄棒で2連覇を目指す橋本選手を中心に、2大会連続出場の萱和磨選手と谷川航選手、それに初出場の岡慎之助選手と杉野正尭選手の5人で、リオデジャネイロ大会以来となる2大会ぶりの団体金メダル獲得を目指します。

柔道 阿部一二三選手と詩選手

柔道では、ともに東京大会の金メダリスト、阿部一二三選手と詩選手が史上初のきょうだいで2連覇という偉業に挑みます。

陸上 女子やり投げ 北口榛花選手

陸上、女子やり投げの北口榛花選手は、初出場となった東京大会では12位でしたが、去年の世界選手権ではこの種目で日本選手初となる金メダルを獲得する快挙を達成しました。
投てき種目では、2004年のアテネ大会で金メダルを獲得した室伏広治さん以来の頂点をねらいます。

ハードル 泉谷駿介選手

陸上男子110メートルハードルの泉谷駿介選手は、東京オリンピックでは日本選手として57年ぶりにこの種目で準決勝進出を果たしましたが、初めての決勝進出はなりませんでした。ことし4月に中国で行われたダイヤモンドリーグの初戦で、13秒17をマークして日本陸上競技連盟の定める選考基準を満たし、パリオリンピックの代表になりました。

1500m 5000m 田中希実選手

陸上女子の中長距離のエース、田中希実選手は▼1500メートル、▼5000メートルのオリンピック種目に加え▼1000メートルや、▼3000メートルでも日本記録を持っています。
多くの選手が大学や実業団のチームに所属するなか、元陸上選手で、コーチを務める父親の健智さんと二人三脚で練習に取り組み、シーズン中は毎週のようにレースに出場して、実戦を重ねるスタイルで力をつけてきました。
去年4月にプロに転向し、大手スポーツ用品メーカーのサポートを受ける新たな環境で活動していて、日本の女子選手としては異例となるケニアでの合宿を行うなど走りに磨きをかけてきました。

競泳 池江璃花子選手

3大会連続のオリンピック出場となる池江璃花子選手。白血病と診断されてから5年、2大会ぶりの個人種目でのオリンピック出場を決めました。去年の秋からオーストラリアに拠点を移し、現地の名コーチ、マイケル・ボール氏の指導のもと厳しい練習を積んできました。
パリ大会で目指すのは、決勝進出と、8年前のリオデジャネイロ大会のタイムを超えること。「池江が世界に戻ってきたと思ってもらいたい」と意気込んでいます。

卓球 張本智和選手

張本智和選手は、東京オリンピックに続く2大会連続の代表となります。初めて出場した東京オリンピックの男子シングルスではベスト16で敗退しましたが、男子団体では日本のエースとして銅メダル獲得に貢献しました。
パリオリンピックの選考レースでも順調にポイントを積み重ね、日本のエースの座を不動のものとして、2大会連続の大舞台に臨みます。

卓球 早田ひな選手

早田ひな選手は、初めてのオリンピック代表となります。東京オリンピックは代表争いに敗れ、ともに同い年の伊藤選手と平野美宇選手が出場するなかリザーブとして帯同し、練習相手を務めて日本チームを支えました。出場できなかった悔しさをバネに成長し、2021年に行われたアジア選手権では、女子シングルスと女子団体、それに混合ダブルスの3種目で優勝を果たすなど、日本女子の新たなエースとして飛躍を遂げました。

フェンシング 江村美咲選手

フェンシング女子サーブルの江村美咲選手も去年の世界選手権で日本選手として史上初の2連覇を果たすなど東京大会後に急成長しました。
パリ大会では欧米が主流とされるフェンシングにおいて、日本女子初のメダル獲得が期待されています。

ブレイキン「Shigekix」半井重幸選手

パリ大会で初めて採用されるブレイキンで日本は男女ともにメダルを狙う選手がそろっています。男子の注目はダンサーネーム「Shigekix」の半井重幸選手です。強じんなフィジカルを生かしたスピード感のあるムーブが持ち味で、世界最高峰の国際大会を18歳で制し、全日本選手権を3連覇するなど日本男子のエースとして金メダル候補にあげられています。

ブレイキン「AMI」湯浅亜実選手

女子ではダンサーネーム「AMI」の湯浅亜実選手。1つ1つの動きに区切りがない流れるようなダンスが持ち味で、2018年に世界最高峰の国際大会で初代女王に輝き、世界選手権でも過去2回金メダルを獲得するなど抜群の実績を誇ります。

バレーボール男子

バレーボール男子は今月4日時点で世界ランキング2位。金メダルを獲得した1972年のミュンヘンオリンピック以来の52年ぶりのメダル獲得に期待が高まっています。日本は前回の東京大会で29年ぶりの決勝トーナメント進出を果たしました。準々決勝で敗れたものの去年の国際大会『ネーションズリーグ』では3位となって世界大会で46年ぶりとなるメダルを獲得するなど着実に力をつけてきました。

バレーボール女子

バレーボール女子は、東京オリンピックのあと2012年のロンドン大会でチームを銅メダルに導いた眞鍋政義監督が再び監督に就任し、綿密な計画のもと強化を図ってきました。世界ランキング1位のトルコや2位のブラジルなどを中心にしたメダル争いが予想されるなか、世界7位の日本が上位チームにどう立ち向かうか注目されます。

バスケットボール女子

東京オリンピックで銀メダルを獲得したバスケットボール女子は、大会後にトム・ホーバスヘッドコーチが退任し、新たに恩塚亨ヘッドコーチが率いるようになりました。
「走り勝つシューター軍団」をチームのコンセプトに掲げ、東京大会を上回る金メダル獲得を目指しています。体格では及ばない海外勢に真っ向勝負を挑むのではなく、走力やシュート力で体格差を克服するチーム作りを進めていて、スリーポイントシュートの成功率がチームの勝敗のカギを握っています。

バスケットボール男子

バスケットボール男子の日本代表は48年ぶりに自力でオリンピックに出場します。東京オリンピックでは女子の日本代表を率いて銀メダルを獲得したトム・ホーバスヘッドコーチのもと、スリーポイントシュートを中心とした戦術を取り入れていて、成功率は40%を目標にしています。
12チームが出場するパリオリンピックでは予選リーグを突破してベスト8入りを目標に掲げています。

サッカー男子

サッカー男子の日本代表は、8大会連続12回目のオリンピック出場です。大岩剛監督のもと、1968年のメキシコ大会の銅メダルを超える過去最高の成績を目指しています。
大岩監督や選手たちは、パリ大会でも初戦を最も重要視していて、まずは予選リーグ最大のライバル、パラグアイとの試合で勝ち点を獲得することができるかがポイントとなります。

サッカー女子

サッカー女子の日本代表「なでしこジャパン」は2大会連続6回目のオリンピック出場です。今大会は、池田太監督のもと、銀メダルを獲得した2012年のロンドン大会以来のメダル獲得を目指します。
パリオリンピックでは、予選リーグの初戦で去年のワールドカップを制したスペインと対戦することになり、勝って勢いに乗れるかがカギを握ります。