九州北部豪雨から7年 被害大きかった福岡 朝倉で犠牲者を追悼

福岡県と大分県で合わせて40人が死亡した九州北部豪雨から7月5日で7年です。被害が大きかった福岡県朝倉市では、市役所の職員などが黙とうをささげ、犠牲になった人たちを追悼しました。

7年前、2017年の「九州北部豪雨」では、福岡県と大分県で土砂崩れや川の氾濫が相次ぎ、合わせて40人が死亡、2人が行方不明となりました。

このうち福岡県朝倉市では33人が亡くなり、2人が行方不明となっていて、豪雨から7年の5日、市役所では午前10時に庁内放送で黙とうが呼びかけられ、林裕二市長や職員、それに市役所を訪れていた人たちが静かに目を閉じて亡くなった人たちを追悼していました。

市役所を訪れていた80代の女性は「家の近くに山があるので、毎年、この時期になるととても不安になる」と話していました。

朝倉市では、被災した河川や道路などの復旧工事がほぼ完了したほか、住宅が大きな被害を受けるなどした1069世帯のほとんどが、住宅を新築したり改修したりして生活再建が図られているということです。

林市長は「最後の1人が生活再建するまでしっかり支えていく。そして九州北部豪雨を風化させず、災害に強い、安心・安全なまちづくりを進めていきたい」と話していました。

遺族が遺影に向かい祈り

住民3人が亡くなった福岡県東峰村では、午前10時にサイレンが鳴らされ、住民に黙とうが呼びかけられました。

宝珠山地区に住む熊谷武夫さん(79)は、土石流で自宅が押し流され、当時66歳だった妻のみな子さんを亡くしました。

熊谷さんは、サイレンが鳴ると自宅にあるみな子さんの遺影に向かって、静かに目を閉じて祈りをささげていました。

熊谷さんは「7年たって、早いなと思います。思い出してつらい、というのは年々薄れていますが、1人で生活していると、いてくれたらいいのにと思うことが多いです。妻は年下だったので、生きていれば自分より長生きしてくれていたはずでした。旅行にも一緒にあちこち行きたかったなと思います」と話していました。

また、最近の大雨について「大雨のたびにどのくらい降るかと不安になり、先日も夜中に目が覚めて状況を確認しました。ことしは被害がないといいと思います」と話していました。

東峰村の眞田秀樹村長は防災無線を使って「尊い命が災害によって奪われることが二度とないように、防災対策に万全を期して参ります」と決意を語りました。