国民年金保険料の納付期間 5年延長を見送る方針 厚生労働省

公的年金の「財政検証」の結果が3日公表され、過去30年間と同程度の経済状況が続いた場合でも、現役世代の平均収入の50%以上を維持できるとされました。厚生労働省は、見通しが改善したことなどを受けて、来年の制度改正では国民年金保険料の納付期間の5年延長を見送る方針です。

厚生労働省は3日、公的年金の財政状況をチェックし将来の給付水準の見通しを示す5年に1度の「財政検証」の結果を公表しました。

それによりますと、現役世代の男性の平均手取り収入を100%として、夫婦2人のモデル世帯が受け取る年金額の割合=「所得代替率」は過去30年間と同程度の経済状況が続いても、およそ30年後には50.4%と、今より10ポイント程度、低下するものの、政府が法律で約束する50%以上は維持できるとしています。

厚生労働省は、女性や高齢者の労働参加が進んだことや株価の上昇を背景に積立金が増えたことなどから、前回・5年前の検証結果より将来の見通しが改善されたとしていて、武見厚生労働大臣は国民年金保険料の納付期間を現行の40年から45年に延長することは見送る方針を表明しました。

厚生労働省は来年の制度改正に向けて議論を本格化することにしていて、この中では基礎年金の給付改善策として、厚生年金財政からの拠出を増やす案を検討していますが、基礎年金は半分が国庫負担のため改善にあわせた財源確保も課題となります。

このほか、厚生年金に加入できる人をさらに増やす案や、働いて一定の収入がある高齢者の年金を減らす制度の撤廃などが検討されていて、厚生労働省は年内に結論を得た上で来年の通常国会への法案提出を目指す方針です。