あすイギリス総選挙 野党・労働党が大きくリード 政権交代も

イギリスで4日、総選挙が行われます。与党・保守党を率いるスナク首相は大型減税などを訴えて巻き返しを図っていますが、依然として最大野党・労働党が支持率で大きくリードし、14年ぶりの政権交代が現実味を帯びています。

議会下院の650議席を争うイギリスの総選挙では
与党・保守党が大型減税の実施や、不法入国者をアフリカのルワンダに移送する入国管理政策の強化などで支持を呼びかけているのに対し、最大野党・労働党は経済成長の実現を公約の柱に据えるとともに、公的医療サービスの再建などを掲げています。

大手調査会社「ユーガブ」の先月末の支持率調査では、保守党の20%に対して労働党が37%と大きなリードを保ち、14年ぶりの政権交代が現実味を帯びています。

スナク首相は2日、ロンドンで演説し「今こそ団結して、労働党が圧倒的多数の議席を獲得するのを阻止する時だ」として、労働党の大勝を防がなければならないと訴えました。

一方、労働党のスターマー党首は2日、中部ノッティンガムシャーで「この選挙は新しいページを開き、国を再建するものだ」と、変革を実現するため労働党に投票するよう呼びかけました。

投票は日本時間の4日午後3時から5日午前6時まで行われ、即日開票されます。

“保守党に投票した有権者の多くがしぶしぶ労働党に転向へ”

イギリス全土で有権者の聞き取り調査をしているシンクタンク「モア・イン・コモン」のジム・ブラグデン副所長は「国民は前回の総選挙からの5年近くだけでなく、過去14年間の保守党政権の実績に大きな不満を抱いている。背景には、地域格差の解消といった約束が守られていないことに加え、生活費の高騰やNHS=公的医療サービスの待ち時間など、生活に身近な問題がある」と指摘します。

そして「前回、保守党に投票した有権者の多くが、今回はしぶしぶ労働党に転向することを決めている。労働党に対しても年金に課税したり、公約を守らなかったりすることなどを懸念しているが、保守党政権はもう十分だと考えている」と話します。

一方、支持率で大きくリードする労働党については「1997年に当時のブレア党首が政権交代を実現したときのような熱狂は、スターマー党首の周りには見られない。有権者は約束するだけで、何も実現しない政治家たちにうんざりしている」と述べ、主要政党に対する期待の低下から投票率が伸び悩む可能性があると分析しています。

また、支持率を伸ばしている右派政党「リフォームUK」については、支持者の80%程度がかつて保守党を支持していたと分析したうえで「多くの議席を獲得することはないだろうが、保守党にとって安全だった多くの選挙区が混乱に陥り、労働党が予期せぬ議席を獲得する可能性がある」として、「リフォームUK」の躍進は労働党の地滑り的な勝利につながるという見方を示しました。