パリ五輪 サッカー男子【18人全名簿】オーバーエイジ招集なし

パリオリンピックに臨むサッカー男子の日本代表のメンバー18人が発表され、エースストライカーの細谷真大選手や、中盤の要、藤田譲瑠チマ選手などが選ばれました。一方、3人まで認められるオーバーエイジ枠では、北京大会以来4大会ぶりに1人も招集されませんでした。

パリオリンピックのサッカー男子の日本代表は、原則、23歳以下の選手で構成され、3日、大岩剛監督が都内で会見して代表のメンバーに内定した18人の選手を発表しました。

この中ではパリオリンピックアジア最終予選を兼ねた23歳以下のアジアカップで、2ゴールを決めたJ1、柏レイソルのフォワード細谷選手や、中盤の要でキャプテンを務めたベルギー1部リーグシントトロイデンのミッドフィルダー、藤田選手が順当に選ばれました。

また、大会では年齢制限のないオーバーエイジ枠が3人まで認められていますが、今回は1人も招集されませんでした。オーバーエイジの招集がなかったのは、2008年の北京大会以来4大会ぶりです。

大岩剛監督は会見で「いま招集することができる選手の中で、最高の18人を選んだ。このメンバーでしっかりパリオリンピックを戦っていく」と決意を述べました。

1968年のメキシコ大会の銅メダルを超える過去最高の成績を目指す日本は、日本時間の今月18日にフランスと本番前最後の強化試合を行います。NHKは総合テレビで中継でお伝えし、NHKプラスで配信します。

《日本代表 メンバー18人【全名簿】》

※氏名の前の数字は大会の背番号

=GK(2人)=

1.小久保玲央ブライアン(23・ポルトガル1部ベンフィカ)

ナイジェリア人の父親と日本人の母親の間に生まれました。1メートル93センチの長身とすぐれた反射神経を生かしたハイボールの処理やセービング能力の高さが持ち味です。小学生のころから地域のクラブチームでサッカーに取り組み、中学で柏レイソルの育成組織に入り、早くから世代別の日本代表に選ばれて頭角を現しました。2019年に18歳でポルトガルの名門クラブ、ベンフィカに加入して、23歳以下のチームから順調にステップアップし、現在はトップチームでプレーしています。23歳以下の日本代表では、パリオリンピックアジア最終予選で正ゴールキーパーを務めました。決勝のウズベキスタン戦では、後半のアディショナルタイムに決まれば同点となるペナルティーキックを完全にコースを読んで止めるなど好セーブを見せて、日本に勝利をもたらしました。
12.野澤大志ブランドン(21・FC東京)
1メートル93センチの長身を生かした高いセービング能力を持ち味に、J1のFC東京では去年から正ゴールキーパーに定着しています。2017年から年代別の日本代表に選ばれ、年齢制限のない日本代表にことし元日、東京・国立競技場で行われたタイとの強化試合のメンバーに初めて選出されました。その後、アジアカップの代表メンバーにも招集されましたが、日本代表での出場機会はまだありません。

=DF(6人)=

16.大畑歩夢(23・浦和レッズ)
身長1メートル68センチと体は大きくありませんが、粘り強い守備と積極的な攻撃参加が持ち味のサイドバックです。サガン鳥栖の育成組織出身で、おととしから浦和レッズでプレーしています。昨シーズンはリーグ戦の先発出場が4試合にとどまり、今シーズンは所属チームでレギュラー定着を目指しています。一方、23歳以下の日本代表ではパリオリンピックアジア最終予選で4試合に先発出場したほか、先月のアメリカとの強化試合でも先発出場し、攻守に持ち味の粘り強さを発揮しました。
3.西尾隆矢(23・セレッソ大阪)
強じんな体を生かしたパワフルな守備が持ち味で「デュエル」と呼ばれる1対1の局面で強さを発揮します。セレッソ大阪の育成組織から力を付けてきた生え抜きのセンターバックで、現在はトップチームで副キャプテンを務めています。年代別の日本代表にも早くから選ばれてきましたが、パリオリンピックアジア最終予選では、1次リーグ初戦で相手選手へのひじ打ちでレッドカードを出されて退場し、3試合の出場停止処分を受けました。それでも先月のアメリカ遠征では2試合目にフル出場してパリオリンピックの代表入りをアピールしていました。
5.木村誠二(22・サガン鳥栖)
1対1の球際の強さや1メートル86センチの身長を生かした空中戦を得意とするセンターバックです。10代のころからFC東京の育成組織でプレーし、年代別の日本代表に選ばれてきました。パリオリンピックアジア最終予選では、1次リーグのUAE戦で打点の高いヘディングシュートで先制のゴールを決めたほか、準々決勝のカタール戦でも貴重な同点ゴールを決めるなど攻撃面でも存在感を発揮しました。
2.半田陸(22・ガンバ大阪)
球際に強くボールを奪う能力にすぐれ、守備範囲の広さと体を張ったディフェンスが持ち味のサイドバックです。J2のモンテディオ山形の育成組織出身で、高校生だった2019年にトップチームとプロ契約を結んでJリーグデビューを果たしました。去年はJ1のガンバ大阪に完全移籍し、すぐレギュラーに定着しました。早くから年代別の日本代表にも選ばれ、ことしのパリオリンピックアジア最終予選にも出場しています。
4.関根大輝(21・柏レイソル)
1メートル87センチの長身を生かしたディフェンスと、積極的な攻撃参加が持ち味です。高校サッカーの強豪、静岡学園高校から拓殖大に進み、サイドバックに転向して頭角を現しました。大学生でJ1の柏レイソルに加入し、今シーズンは開幕戦から先発で出場してサイドバックのレギュラーに定着しています。パリオリンピックアジア最終予選では5試合に先発出場し、オリンピックの出場権獲得に貢献しました。
15.高井幸大(19・川崎フロンターレ)
今回の代表メンバーでは最年少です。1メートル92センチの長身を生かしたディフェンス力に加え、足元の技術が高く正確なパスも持ち味としています。川崎フロンターレの育成組織出身で、おととし高校2年生の時に「飛び級」でトップチームに昇格しました。早くから年代別の日本代表に選ばれ、パリオリンピックアジア最終予選では5試合に先発出場し、プレッシャーがかかる場面でも安定した守備を見せました。

=MF(5人)=

6.川崎颯太(22・京都サンガ)
球際に強く、ボールを奪う能力にすぐれたボランチで、献身的なプレーが持ち味です。中学卒業後に親元を離れて京都に移り、サンガの育成組織に入りました。サンガでは2020年にトップチームに昇格し、去年からはキャプテンを務めるなどチームの中心としてリーダーシップを発揮しています。パリオリンピックのアジア最終予選では、1次リーグのUAE戦でゴールを決めています。プロのサッカー選手をしながら学業との両立にも力を入れ、この春、立命館大産業社会学部を卒業しました。
7.山本理仁(22・ベルギー1部シントトロイデン)
すぐれたパスセンスと正確なキックが持ち味の守備的ミッドフィルダーで、2019年には高校2年生ながら東京ヴェルディの育成組織から「飛び級」でトップチームに昇格し、Jリーグデビューしたほか、年代別の日本代表にも選ばれてきました。去年ベルギー1部リーグのシントトロイデンに期限付きで移籍し、リーグ戦33試合に出場しました。パリオリンピックアジア最終予選では、シントトロイデンのチームメート、藤田譲瑠チマ選手とともにチームのかじ取り役を担いました。
13.荒木遼太郎(22・FC東京)

巧みなテクニックと思いきりのいいシュート、そして精度の高いパスなど攻撃センスにあふれ、ゴールに絡むプレーが持ち味です。高校サッカーの強豪、東福岡高校からJ1の鹿島アントラーズに入団し、2年目には城彰二さん以来史上2人目となる10代でふた桁得点をマークしました。おととし年齢制限のない日本代表のウズベキスタンとの強化試合に19歳で初めて招集されましたが、試合は新型コロナの感染拡大で中止となり、代表デビューはなりませんでした。今シーズンからはFC東京でプレーし、開幕から6試合で5得点を挙げて存在感を示しています。パリオリンピックのアジア最終予選では、準決勝で2点目のゴールを決めるなど、パリオリンピックの出場権獲得に貢献しました。
8.藤田譲瑠チマ(22・ベルギー1部シントトロイデン)

ナイジェリア人の父と日本人の母の間に生まれ、小学生の時に町田市のクラブチームでサッカーに取り組みました。ポジションは守備的ミッドフィルダーで、フィジカルが強くボールを奪い取る能力にたけ、広い視野を生かした展開を変えるパスも得意としています。去年J1の横浜F・マリノスからベルギー1部リーグのシントトロイデンに移籍し、最初のシーズンはリーグ戦20試合に出場しました。パリオリンピックアジア最終予選ではチームのキャプテンを務め、準決勝の勝負どころで2つのアシストを決めました。大岩監督の信頼も厚く、チームの精神的支柱としての役割を期待されています。
14.三戸舜介(21・オランダ1部スパルタ)
1メートル64センチと小柄ながら、スピードを生かしたドリブルからの突破力が持ち味です。中学入学と同時にJFAアカデミー福島に加入し、世代別の日本代表にも名を連ねました。その後当時J2だったアルビレックス新潟に入団し、1年目から25試合に出場しました。2年目には中心選手として6得点をマークしてチームのJ1昇格に貢献し、去年のシーズン終了後にオランダ1部リーグのスパルタに移籍しました。ことし1月、オランダでのデビュー戦では初ゴールを挙げました。23歳以下の日本代表では、先月アメリカとの強化試合でサイドの攻撃的なポジションで先発出場し、持ち味のドリブルで駆け上がって日本の2点目に絡むなど、オリンピックの代表入りに向けてアピールしました。

=FW(5人)=

17.平河 悠(23・FC町田ゼルビア)
抜群のスピードを生かしてサイドから相手を抜き去るドリブルが持ち味で、今シーズンのJ1ではフォワードの藤尾翔太選手などとともに初昇格で好調をキープするFC町田ゼルビアをけん引しています。高校、大学と目立った実績はなかったものの、ゼルビアに加入後、スピードを武器に頭角を現し、去年の海外遠征で年代別の日本代表に初めて選ばれました。アジア最終予選では6試合すべてに出場し、パリオリンピックの出場権獲得に貢献しました。
9.藤尾翔太(23・FC町田ゼルビア)
スペースに走り込んだり、こぼれ球に素早く反応したりと多彩な得点パターンを持ち、攻撃の起点となるポストプレーにも定評があります。小学生のころからポジションはフォワードでセレッソ大阪の育成組織を経て2020年にトップチームに昇格しました。その後、水戸ホーリーホックや徳島ヴォルティスでプレーし、去年加入したFC町田ゼルビアでは、昨シーズンのJ2優勝に大きく貢献しました。今シーズン、チームにとって初挑戦のJ1でも快進撃を続ける原動力となっています。
18.佐藤恵允(22・ドイツ1部ブレーメン)
父親がコロンビア人、母親が日本人で、身体能力が高くゴールに絡むプレーを得意としています。東京の実践学園高校から明治大に進んで頭角を現し、フィジカルを鍛えて攻守に力強さを身につけました。2021年に大学2年で年代別の日本代表に初めて招集され、国際大会を経験しました。去年Jリーグを経ずにドイツのブレーメンに加入し、23歳以下のチームでプロとしてのキャリアをスタートさせました。
10.斉藤光毅(22・オランダ1部スパルタ)
緩急をつけたドリブルが持ち味で、横浜FCに所属していた2018年には高校2年生、16歳でトップチームの試合に出場しました。2020年のシーズン終了後にベルギー2部リーグのチームに完全移籍し、おととしからはオランダ1部リーグのスパルタでプレーしています。アジア最終予選には出場しませんでしたが、先月アメリカとの強化試合では、同じクラブでプレーする三戸舜介選手とともにサイドからの攻撃で存在感を示しました。
11.細谷真大(22・柏レイソル)

強じんな体と瞬発力が持ち味で、ことし年齢制限のない日本代表でもアジアカップに出場したパリ世代のエースストライカーです。今シーズンはJ1や日本代表の試合で得点を挙げられず苦しい時期が続きましたが、パリオリンピックアジア最終予選では、負けたら終わりの準々決勝で貴重な決勝ゴールを決めたほか、準決勝でも2試合連続でゴールを奪ってオリンピックの出場権獲得に大きく貢献しました。大岩監督は、得点シーンだけではなく、前線で体を張ったディフェンスも高く評価していて、攻守で高いパフォーマンスが期待されています。

=バックアップメンバー(4人)=

22.GK 佐々木雅士(22・柏レイソル)
21.DF 鈴木海音(21・ジュビロ磐田)
20.MF 山田楓喜(22・東京ヴェルディ)
19.MF 佐野航大(20・オランダ1部NEC)

松木玖生は選出されず 山本昌邦NTD“移籍の可能性”

今回の代表では、これまで年代別の日本代表に名を連ね、アジア最終予選を兼ねた23歳以下のアジアカップの優勝メンバーだったJ1、FC東京のキャプテン、松木玖生選手が選ばれませんでした。

松木選手が外れた理由について大岩剛監督は「選ばれていない選手に対してのコメントは避けたい。彼のコンディションに問題があるという理由ではない」として具体的な言及を避けました。

また、日本サッカー協会の山本昌邦ナショナルチームダイレクターは、松木選手について「移籍の可能性がある。オリンピック期間中にわれわれが招集できる確約が取れなかった」と述べました。

代表メンバーから外れた松木玖生選手は、取材に応じ「しっかり結果を受け止めたい。自分自身、気を引き締めてやっていきたい」と厳しい表情で語りました。そして「またこういう機会があると思うし、次はワールドカップだと思うので、そこに向けてやっていきたい」と気丈に話しました。

日本はパラグアイ マリ イスラエルと同グループ

パリオリンピックのサッカー男子は16チームが参加してそれぞれ4チームずつ4つのグループに分かれて予選リーグが行われます。

アジア最終予選1位の日本はグループDに入り、パラグアイ、マリ、イスラエルと同じグループとなりました。このうち、マリはことし3月に京都府で行われた強化試合で対戦し、日本が1対3で敗れています。

またアジア最終予選2位のウズベキスタンは、スペイン、エジプト、ドミニカ共和国と同じグループCに入りました。

アジア最終予選3位のイラクは、アルゼンチン、モロッコ、ウクライナと同じグループBに入りました。

パリ大会では予選リーグの上位2チームが決勝トーナメントに進み、準々決勝が行われます。