ロシア寄りハンガリー首相 ゼレンスキー大統領に停戦検討促す

EU=ヨーロッパ連合の議長国を務める一方、ロシア寄りの姿勢を示すハンガリーのオルバン首相がウクライナを訪問してゼレンスキー大統領と会談し、一時的な停戦などを検討するよう促したことを明らかにしました。

ハンガリーのオルバン首相は、2日、ロシアによる侵攻後初めてウクライナの首都キーウを訪問しゼレンスキー大統領と会談しました。

ハンガリーは今月1日からEU=ヨーロッパ連合の議長国を務める一方、オルバン首相はウクライナ支援に反対するなどロシア寄りの姿勢を示しています。

会談後の記者発表でゼレンスキー大統領は、オルバン首相がEUの議長国となった直後に訪れたのがウクライナだったことを評価したうえで「ウクライナ支援が十分なレベルで維持されることは、ヨーロッパのすべての人々にとってとても重要だ」と述べ、EUによる支援が継続される必要性を強調しました。

一方、オルバン首相は「ウクライナが苦しんでいるこの戦争は、ヨーロッパの安全保障にも深く影響を与えている」と述べました。

そのうえで「まず停戦し、和平交渉を加速させられないか検討を求めた」と述べ、ゼレンスキー大統領に一時的な停戦と和平交渉の開始を検討するよう促したことを明らかにしました。

オルバン首相はこれまでも停戦や和平交渉を重視する発言を繰り返していますが、ウクライナはロシア軍の撤退など自分たちが提唱している和平案の実現を目指す考えを示しています。

専門家「中国も関わろうとしている。何かが起きている」

ウクライナでシンクタンクの代表をつとめ安全保障や国際関係に詳しいミハイロ・サムシ氏は、NHKの取材に対して「ウクライナは広大な国でよき隣人が必要だ。隣国と敵対することなどできない」と述べウクライナ侵攻をきっかけに地域の情勢が緊張している中、国境を接するハンガリーとの関係はいっそう重要になっていると指摘しました。

その上で「ゼレンスキー大統領とコミュニケーションをとり、まずは提案を個人的に直接持ってくるためにウクライナを訪れたのだろう」と述べ、停戦の検討を直接促すことが主な目的だったという見方を示しました。

オルバン首相の提案をめぐり、サムシ氏は「オルバン氏はトランプ氏の周辺とも連絡をとることができる。中国も関わろうとしている。何かが起きている」と述べ、ハンガリーがEUの議長国をつとめる中、アメリカのトランプ前大統領や中国との関係も維持しているオルバン氏がどのような思惑で提案を示したのか注視する必要があるとしています。