ガザ地区でハマスへの攻勢を強めるイスラエル軍は1日、ガザ地区南部のハンユニスの東側を対象に、住民にただちに退避するよう通告を出しました。
地元メディアはハンユニスの東側ではイスラエル軍による激しい攻撃があり、多数の死傷者が出ていると伝えています。
![](/news/html/20240702/K10014498771_2407012035_0702065048_01_02.jpg)
【詳細】イスラエル・パレスチナ 中東情勢(7月2日)
イスラエル軍はことし4月に部隊を撤収させたガザ地区南部ハンユニスの一部に退避を通告し、多くの住民がさらなる避難を強いられています。ハンユニスではイスラエル軍による攻撃で死傷者が出ているとされ、イスラム組織ハマスに対する掃討作戦が再び行われることで人道状況のさらなる悪化が懸念されます。
※中東情勢に関する日本時間7月2日の動きを随時更新してお伝えします。
イスラエル軍 ガザ地区南部ハンユニス東側の住民に退避通告
![](/news/html/20240702/K10014498771_2407021739_0702174445_02_03.jpg)
NHKガザ事務所が退避先となったハンユニスの西側で撮影した映像には、住民が着の身着のままで避難する様子が写っています。
住民のほとんどが徒歩での避難を強いられ、家財道具を両手で抱えて避難する幼い子どもたちの姿が見られたほか、病院にけがをした人や子どもの遺体が運ばれてくる様子も確認できます。
避難した住民の1人は「どこに行けばよいのかわからず、今夜は路上で過ごすことになるでしょう。私たち民間人が何をしたというのでしょうか」と話していました。
アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、ことし4月にイスラエル軍が部隊を撤収させたハンユニスでハマスが再結集する動きを指摘していて、掃討作戦が再び行われることで人道状況のさらなる悪化が懸念されます。
イスラエル シファ病院の院長解放
イスラエル当局は1日、去年11月に拘束したガザ地区最大のシファ病院の院長をほかの数十人のパレスチナ人とともに解放しました。
当時、イスラエル軍は院長の直接的な管理のもと、シファ病院がハマスの重要な拠点として使用されてきたという証拠に基づいて拘束したと主張していました。
解放の理由についてイスラエル当局は「収容施設のスペースを確保するためだ」などとしています。
解放されたシファ病院の院長は「激しい拷問を受けた」などと証言していて拘束の正当性などに批判が高まりそうです。
イスラエル軍 ガザ地区の広範囲を攻撃
イスラエル軍は1日、ガザ地区の広い範囲で攻撃を続け、北部では戦闘員およそ20人を殺害し、武器の製造拠点を破壊したと主張したほか、南部ラファでも戦闘員への攻撃を行ったなどと強調しました。
ラファをめぐってガラント国防相は「ラファ検問所と地下トンネルなどを閉じたことで、ハマスには武器を集める手段も負傷した戦闘員を治療する手段もないことは明らかだ。ハマスは消耗している」などと述べ、ハマスの壊滅に向けた作戦の進展をアピールしています。
ただ、地元メディアは住民の車両が攻撃されて死傷者が出ていると伝えるなど犠牲者は増え続けていて、地元の保健当局はこれまでに3万7900人が死亡したと発表しました。