鹿児島県警の文書に県弁護士会が抗議“えん罪につながる危険”

鹿児島県警察本部が捜査書類の廃棄を促すような内部向けの文書を出していたことについて、鹿児島県弁護士会は「えん罪につながる危険がある」として警察の恣意的(しいてき)な判断で捜査書類を廃棄しないよう強く求める声明を出しました。

鹿児島県警察本部の元生活安全部長が起訴された情報漏えい事件で、元部長がライターに郵送した文書の中には、県警が去年10月に出した「刑事企画課だより」という文書が含まれ、関係者によりますと、「再審や国家賠償請求訴訟などで、未送致の事件の捜査書類や、その写しが組織的にプラスになることはありません」として、捜査書類の廃棄を促すような記載があったということです。

この文書について、県警は「捜査書類の適正な管理について、誤解を与えかねない表現が認められたことから、去年11月に内容を改めたものを出した」とコメントしています。

これについて、鹿児島県弁護士会は1日に記者会見を開いて、山口政幸会長が声明を発表し、捜査書類の廃棄は、えん罪事件につながる危険があるとして、「組織防衛のために、未送致書類の積極的廃棄を促したものであるとしか受け止めようがない。強く抗議するとともに、恣意的判断により、証拠を未送致としたり、廃棄したりすることのないよう強く求める」としています。

さらに山口会長は「国民の警察への信頼が無きに等しいものになっている。警察が自分たちの見立てにあった捜査資料だけを送る事態は、憲法の人権保障を無にするものだ」と述べ、県警の姿勢を批判しました。