パリ五輪 日本選手団の旗手に半井重幸と江村美咲を起用 JOC

今月開幕するパリオリンピックの日本選手団の『旗手』について、JOC=日本オリンピック委員会は男子はパリ大会の新競技であるブレイキンの半井重幸選手、女子はフェンシングの江村美咲選手を起用することを正式に決めました。

IOC=国際オリンピック委員会は、オリンピックに出場する国と地域に男女1人ずつの『旗手』の起用を求めていて、JOCがパリ大会での人選を進めてきました。

このうち男子は、パリ大会で初めて実施されるダンス競技のブレイキンで全日本選手権3連覇を果たすなどメダル獲得が期待されるダンサーネーム「Shigekix」の半井選手が選ばれました。

女子はフェンシングの女子サーブルで世界選手権2連覇を果たし、この競技で日本女子初のメダル獲得を目指す江村選手が選ばれました。

JOCはこれまで、『旗手』とは別に『主将』を置き、1952年のヘルシンキ大会以降定着してきましたが、選手の負担軽減などを目的にパリ大会では廃止することを決めています。

半井選手と江村選手は、日本選手団の顔となる『旗手』としてセーヌ川で予定される開会式に臨むことになります。

パリオリンピックの日本選手団の結団式は今月5日に行われ、2人はそこで大会に向けた決意などを述べる予定です。

「Shigekix」半井重幸選手とは

ブレイキン男子のダンサーネーム「Shigekix」、半井重幸選手は大阪府出身の22歳です。

4歳年上の姉で同じブレイキンの選手でもある「AYANE」、半井彩弥選手の影響で7歳からブレイキンを始め大人と一緒に練習を重ねて技術を磨きました。

2018年に16歳で出場したユースオリンピックで銅メダルを獲得して注目を集め、その後も世界最高峰の国際大会を18歳で制し全日本選手権でも3連覇を果たすなど、日本男子のエースとして抜群の実績を誇ります。

音楽とダンスの融合性「ミュージカリティ」を強みにしたスタイルで、フィジカルを生かしたスピード感のあるムーブが持ち味です。

回転技の「パワームーブ」や音楽に合わせてさまざまな体勢で体を止める「フリーズ」など、難度の高い動きを次々と繰り出すことができる高い技術と豊富なスタミナを持ち合わせています。

去年10月のアジア大会で優勝してパリオリンピックの代表に内定し、初めてオリンピックに採用される競技でのメダル獲得が期待されています。

半井「率直にすごくうれしい」

半井重幸選手は「率直にすごくうれしいという気持ちがいちばん。僕自身はもちろんブレイキンそのものが認めていただけたような気持ちになった。ブレイキンの選手に開会式の『旗手』をお願いして良かったなと思われる姿でパリの地に行きたいと思う」と話していました。

江村美咲選手とは

フェンシングの江村美咲選手は大分県出身の25歳。

女子サーブルで日本選手として初めて世界選手権を2連覇した日本のエースです。

身長1メートル70センチと大柄な外国人選手にも見劣りしない体格で、フットワークを生かしたロングアタックや相手の裏を突く高い技術に加え、駆け引きを楽しむ精神的な強さを兼ね備えています。

父親の宏二さんはソウルオリンピックに出場した元選手で、江村選手も10代のころから国際大会で経験を積み、全日本選手権ではこれまで3回優勝しています。

また大学卒業後はフェンシング界で初のプロ選手として活動し、「前例のない新しい道を切り開きたい。自分の可能性を信じて頑張っていきたい」と抱負を語っています。

初出場の東京オリンピックでは個人戦は3回戦敗退でしたが、日本代表のコーチに就任したフランス人のジェローム・グースコーチの指導のもと、急速に力を伸ばして国際大会でも安定した成績を残すようになり、世界ランキング1位にも立ちました。

去年7月の世界選手権では2連覇を果たしたほか、ことし3月のワールドカップでは準優勝するなど、パリオリンピックでのメダル獲得に照準を合わせています。

また団体でもエースとしてチームをけん引し、去年のアジア選手権で3位に入るなど、初めての自力でのオリンピック出場権獲得に大きく貢献しました。

江村選手は去年、中国で行われたアジア大会でも開会式で『旗手』を務めていて、国際総合大会では異例となる2大会連続の大役を担うことになりました。