バレー女子 パリ五輪代表に古賀紗理那 石川真佑ら【全名簿】

パリオリンピックに臨むバレーボール女子のメンバー12人が発表され、エースの古賀紗理那選手や石川真佑選手などが選ばれました。

記事後半ではメンバー12人全員の特徴などを詳しく紹介しています。

ロンドン五輪以来12年ぶりのメダル獲得へ 代表発表

バレーボール女子の日本代表は6月まで行われた国際大会『ネーションズリーグ』で、パリオリンピックの出場権を獲得したほか、強豪国に勝って準優勝を果たし、オリンピックではロンドン大会以来、12年ぶりのメダル獲得が期待されています。

1日は東京都内で代表メンバー12人を発表する記者会見が行われ、眞鍋政義監督が一人ひとりの名前を読み上げました。

古賀紗理那 主将

メンバーにはチームのキャプテンを務めるエースの古賀選手や、男子のキャプテン、石川祐希選手の妹、真佑選手などが前回の東京大会に続いて選ばれました。

石川真佑 選手

さらに、2019年に行われた20歳以下の世界選手権で初優勝を果たした世代から山田二千華選手や荒木彩花選手などが選ばれたほか最年長、35歳の岩崎こよみ選手は出産、育児を経て初めてのオリンピック出場です。

眞鍋監督「最強と思えるメンバー メダルに挑戦したい」

眞鍋監督は「この時点で最強と思えるメンバーを選んだ。選ばれたメンバーには、これまでともに戦ったすべての選手の思いを背負い戦ってほしい」と話しました。
これまで「まだ考えていない」としていたパリ大会での目標については「チームジャパンの一員としてメダルに挑戦したい」と意気込みを示しました。

パリオリンピックのバレーボールは男女ともに12チームが出場して4チームずつ、3つのグループに分かれて予選リーグを戦い、各組の上位2チームと3位となったチームのうち、成績上位の2チームが決勝トーナメントに進みます。

女子の予選リーグは7月27日から始まり、世界ランキング7位の日本はグループBに入りました。

グループB 日程

▽7月28日:ポーランド(4位)
▽8月1日:ブラジル(2位)
▽8月3日:ケニア(20位)

()内は世界ランキング

《日本代表 メンバー12人》

【セッター(2人):攻撃のかじ取りを担う】
▽埼玉上尾メディックスの岩崎こよみ選手(35)
 チーム最年長、35歳で初めてのオリンピック代表入り。
▽関菜々巳選手(25)はイタリア1部リーグでプレー

【アウトサイドヒッター(5人):力強いスパイクなどで攻撃の中心】
▽ヴィクトリーナ姫路の井上愛里沙選手(29)
◎NECレッドロケッツ川崎の古賀紗理那(28) 
▽JTマーヴェラスの林琴奈選手(24)
▽イタリア1部リーグでプレーする石川真佑選手(24)
▽昨シーズンまでJTマーヴェラスでプレーした和田由紀子選手(22)

【ミドルブロッカー(3人):ブロックや速攻を担う】
▽ヴィクトリーナ姫路の宮部藍梨選手(25)
▽NECレッドロケッツ川崎の山田二千華選手(24)
▽SAGA久光スプリングスの荒木彩花選手(22)

【リベロ(2人):守備専門のポジション】
▽NECレッドロケッツ川崎の小島満菜美選手(29)
▽デンソーエアリービーズの福留慧美選手(26)

《選手 意気込み》

古賀紗理那 主将「『メダル獲得』の目標 胸を張って言っていく」

キャプテンを務める古賀紗理那選手は「ここまでずっと戦ってきた選手たちの中から最終的に12人に絞られはしたが、選出されたメンバーはしっかりとみんなの気持ちを背負って戦うという思いをもって事前合宿から取り組んでいきたい」と話しました。

そのうえで「国際大会の『ネーションズリーグ』が終わって再集合したときに、選手スタッフ全員でパリオリンピックに向けて『メダルを獲得する』という目標を胸を張って言っていこうと話をした。簡単なことではないが自分たちの目標を口に出しながら本番で思い切ったプレーができるように1か月間、しっかりと準備をして戦っていきたい」と意気込んでいました。

石川真佑「自信を持ってパリに臨みたい」

2大会連続の代表入りとなった石川真佑選手は「東京オリンピックが終わって予選を突破できなかったことや個人として、まだまだ力が足りないことにすごく悔しさを感じていた。そうしたなかイタリアで挑戦したことで、すごくたくさんのことを経験できて、自分自身の成長を感じているので自信を持ってパリに臨みたい」と話しました。

その上で「東京大会の悔しさを忘れずにチームとして戦ってメダルを獲得したい。個人としてはしっかりと決めきるところで決めきれるようにしたい」と意気込んでいました。

岩崎こよみ「家族や周りの人の支援で ここまで来ることできた」

出産を経て、育児をしながら35歳で初めてのオリンピック出場をつかんだ岩崎こよみ選手は「子どもを育てながら競技に復帰すると決めた時には日本代表でプレーすることは想像もしていなかったし、復帰後も大変なことはたくさんあったが、本当に家族や周りの人に支えてもらいながら、ここまで来ることができた。オリンピックの舞台に立てるんだと思うとすごくうれしい」と話しました。

そのうえで「アスリートはもちろん子育て世代のお父さん、お母さんに、周りに助けてもらいながら、こうやってバレーボールができている選手がいると知ってもらうことで『もっと人に頼ってもいいんだよ』とか、たくさんのことを感じてもらえたらいい」と話していました。

《日本代表選手 プロフィール》

【セッター(2人)】

◇岩崎こよみ(いわさき・こよみ)選手

岩崎こよみ選手は東京都出身で今大会チーム最年長の35歳。正確なトス、ネット際のボール処理に加え、トスを上げるように見せかけてアタックを打つ「ツーアタック」も武器のセッターです。高校まではアタッカーでしたが、2008年のVリーグ入り後、セッターに転向するとすぐに才能を開花させ、よくとしには早くも日本代表に選ばれて国際大会に出場しました。

2020年には妊娠・出産のためシーズンを欠場し、日本代表の活動からも離れましたが、翌年、育児をしながら競技に復帰すると、去年、再び日本代表にも選ばれました。

妊娠を発表した際には「自分の経験を生かして女性アスリートが長く活躍できる環境づくりをしたい」などとコメントしていて、35歳で初めてとなるオリンピックで見る人に希望を与える活躍を誓います。

◇関菜々巳(せき・ななみ)選手

関菜々巳選手は千葉県出身の25歳。ミドルブロッカーも絡めた多彩なトスワークが武器のセッターです。中学校までは主にアタッカーとしてプレーしていましたが、千葉県の柏井高校入学後から本格的にセッターに転向し、3年生のときにはキャプテンとして全国高校選手権でチームをベスト16に導きました。高校卒業後に加入したVリーグの東レアローズでは1年目からレギュラーをつかみ、チームを準優勝に導く活躍を見せて最優秀新人賞に輝きました。

日本代表では東京大会のメンバー入りこそ逃しましたが、眞鍋政義監督の就任後は出場機会を増やしていてオリンピック初出場となるパリ大会では若き司令塔としての役割が期待されています。

【アウトサイドヒッター(5人)】

◇井上愛里沙(いのうえ・ありさ)選手

井上愛里沙選手は京都府出身の29歳。力強いスパイクが持ち味の攻撃の中心となるポジション、アウトサイドヒッターで、眞鍋政義監督が「チームの軸となる」と期待を寄せる選手の1人です。小学2年生のとき友だちに誘われたのをきっかけにバレーボールを始め、中学校は岡山県の強豪校に進みましたが、高校は医療関係の道を志して地元の西舞鶴高校に進学しました。

それでも、その際だった才能は注目され、2013年の20歳以下の世界選手権には高校生で唯一日本代表メンバーに選出されて準優勝に貢献しました。2014年からは年齢制限のない代表でもプレーしたものの、前回の東京大会ではメンバーから落選する悔しさを味わいました。

眞鍋監督の説得を受けてもう一度、代表へのモチベーションを取り戻し、初めてのオリンピックでの活躍を誓っています。

◇古賀紗理那(こが・さりな)選手

古賀紗理那選手は佐賀県出身の28歳。バネのある体を目いっぱい使った力強いスパイクに加え守備の能力も高い万能型の攻撃の中心となるポジション、アウトサイドヒッターでチームのキャプテンを務めます。早くから注目を集め2013年、16歳の時に日本代表に選ばれて、その2年後には早くもチームの中心として国際大会で活躍しました。

前回の東京大会ではエースとしての活躍が期待されましたが、予選リーグの初戦で足を痛めて途中交代し、その後も思うような活躍ができずにチームは決勝トーナメント進出を逃しました。2回目のオリンピックとなるパリ大会では日本の絶対的エースとして東京大会の雪辱を誓います。

またプライベートでは2022年に男子代表の西田有志選手との結婚も発表し、今大会は夫婦そろってのメダル獲得を目指しています。

◇林琴奈(はやし・ことな)選手

林琴奈選手は京都府出身の24歳。身長1メートル73センチとバレーボール選手としては小柄ながら、コースを打ち分けたり相手のブロッカーを利用したりするテクニックに秀でた攻撃の中心となるポジションのアウトサイドヒッターです。サーブレシーブなど守備の能力も高く、眞鍋政義監督からは「替えのきかない選手」と評価されています。小学2年生のときに4歳年上の姉の影響でバレーボールを始め、早くから頭角を現すと大阪の強豪、金蘭会高校では国民体育大会や全国高校選手権での優勝を経験しました。

日本代表には2020年に初選出され、前回の東京大会でも予選リーグの全試合に出場しました。その後も代表に定着して国際大会を経験し実力を伸ばしていて、2回目のオリンピックとなるパリ大会では前回以上の活躍を誓います。

◇石川真佑(いしかわ・まゆ)選手

石川真佑選手は愛知県出身の24歳。身長1メートル74センチとアタッカーの中では小柄ながら跳躍力を生かした力強いスパイクに加え強力なジャンプサーブも武器のアウトサイドヒッターで、兄は現在、日本代表のキャプテンを務める祐希選手です。

小学3年生でバレーボールを始めると早くからその才能を開花させ、中学では全国中学校体育大会で2回優勝、下北沢成徳高校時代には3年生の時に国民体育大会と高校総体の二冠を果たすなど学生時代から華々しい活躍を見せました。2019年には20歳以下の世界選手権でキャプテンを任され、全試合に先発出場して大会の最優秀選手に選ばれる活躍でチームを大会初優勝に導きました。

前回の東京大会のメンバーにも選ばれましたが、ここぞの場面で決めきれない悔しさを経験しました。昨シーズンはイタリアのリーグに挑戦して世界の高いブロックを相手に実力を磨き、パリ大会で進化した姿を見せようと意気込んでいます。

◇和田由紀子(わだ・ゆきこ)選手

和田由紀子選手は京都府出身の22歳。速い腕の振りで深いコースに力強いスパイクを打つことができるアウトサイドヒッターです。

小学4年生のときに、いとこに誘われてバレーボールを始め、小学校、中学校、高校とすべてのカテゴリーで全国大会出場を経験しました。高校生のときから世代別の日本代表も経験し、去年、代表に初選出されて出場した国際大会『ネーションズリーグ』予選ラウンドのアメリカ戦では、相手の高いブロックをものともせず、チーム最多の32得点をあげる活躍で勝利に貢献して一気にブレイクしました。

【ミドルブロッカー(3人)】

◇宮部藍梨(みやべ・あいり)選手

宮部藍梨選手は兵庫県出身の25歳。スパイク時の最高到達点3メートル13センチ、ブロック時の2メートル90センチは、いずれもチームで最も高く、高い打点から打ち下ろす威力のあるスパイクやブロックが持ち味のミドルブロッカーです。バレーボールを始めたきっかけは小学3年生のときに地元のチームに人数あわせで誘われたことでしたが、持ち前の身体能力の高さで中学、高校と全国大会を経験して早くから注目を集め、高校2年生のときには早くも日本代表に選ばれました。

その後はアメリカ留学などを経て、しばらく代表からは離れていましたが、2022年に復帰し、オリンピックはこれが初めての代表入りです。

◇山田二千華(やまだ・にちか)選手

山田二千華選手は愛知県出身の24歳。荒木彩花選手と並んでチームで最も高い1メートル84センチの身長を生かしたブロックや多彩な攻撃にも定評のある、守備の要となるポジションのミドルブロッカーです。

早くから世代別の日本代表でのプレーを経験し、2019年に行われた20歳以下の世界選手権では石川真佑選手や、荒木選手などとともに初優勝を果たしました。年齢制限のない代表には2020年に初選出され、前回の東京大会もメンバーに選ばれましたが結果を残すことができず、その悔しさを胸に2回目のオリンピックに臨みます。

◇荒木彩花(あらき・あやか)選手

荒木彩花選手は福岡県出身の22歳。身長1メートル84センチは山田二千華選手と並んでチームで最も高く、その高さを生かしたブロックが持ち味のミドルブロッカーです。早くから世代別の日本代表でプレーし、2019年に行われた20歳以下の世界選手権では石川真佑選手や、山田選手などとともに初優勝を果たしました。

去年、年齢制限のない代表にも初選出され、日本がパリオリンピック出場を決めた国際大会『ネーションズリーグ』でも要所でブロックや速攻を決めてチームの大会準優勝に貢献し、初めてのオリンピックメンバー入りをつかみました。

【リベロ(2人)】

◇小島満菜美(こじま・まなみ)選手

小島満菜美選手は宮城県出身の29歳。最後まで諦めない懸命な守備でチームを救うリベロです。高校は千葉県の市立船橋高校でプレーし、高校総体で活躍したほか全国高校選抜にも選ばれました。大学を経て、VリーグのNECレッドロケッツ川崎に加入後も年々、力をつけ昨シーズンは最優秀リベロに選ばれる活躍でチームをリーグ連覇に導きました。オリンピック後はアメリカのリーグに挑戦することが決まっています。

日本代表には東京大会後の2022年に選ばれてから定着し、パリ大会出場を決めたことしの『ネーションズリーグ』では何度もピンチを救う活躍でベストリベロ賞を受賞し出場権獲得に大きく貢献しました。

◇福留慧美(ふくどめ・さとみ)選手

福留慧美選手は京都府出身の26歳。粘り強いレシーブでチームを助ける守備の専門ポジション、リベロです。小学3年生でバレーボールを始め京都橘高校入学後にリベロに転向しました。特にスパイクレシーブを得意としていて、日本が準優勝したことしの国際大会『ネーションズリーグ』でも海外の選手の強烈なスパイクを何度もレシーブしてチームのピンチを救い、初めてのオリンピック代表入りをつかみました。

「リベロは目立ちにくいポジション」としつつも「『そのボールに飛び込むんだ』というような諦めないプレーに注目してほしい」と意気込んでいます。

Mr.Childrenの楽曲が好きで、試合前にも聞いて気持ちを高めているということです。