中国 スパイ取締りで新法令 個人の携帯やパソコンが検査可能に

中国政府は、スパイ行為の疑いがあれば、国家安全当局の担当者が、個人の携帯電話やパソコンを検査できるなど、取締りの権限を明確化した新たな法令を7月1日から施行します。国家の安全を最優先にする習近平指導部はスパイ行為の摘発を徹底する姿勢を一層鮮明にしています。

中国でスパイの取締りなどを行う国家安全省は、取締りの権限を明確化した新たな法令を1日から施行します。

この中では、スパイ行為の疑いがあれば、国家安全当局の担当者が、個人や組織の持つ携帯電話やパソコンといった電子機器を検査できると明記しています。

こうした検査を行う場合は、市レベル以上の国家安全当局の責任者の承認を得て通知書を作成するなどの手続きをとると規定していますが、緊急の場合は、承認があれば当局者だと明示することで現場で検査できるとしています。

今回の法令について、国家安全省は「国家の安全に危害を加える違法な活動を打ち砕くものだ」と強調していて、法令に明文化することで検査が法に基づいたものだと主張するねらいがあるとみられます。

国家の安全を最優先にする習近平指導部は、去年7月には、スパイ行為の取締り強化を目的にした、改正「反スパイ法」を施行していて、スパイ行為の摘発を徹底する姿勢を一層鮮明にしています。

外国企業関係者からは懸念の声

中国の習近平指導部が、スパイ行為の摘発を徹底する姿勢を鮮明にし、去年7月に改正「反スパイ法」を施行したことなどに、外国企業の関係者からは、懸念の声も出ています。

このうち、6月下旬に大連で開かれた世界経済フォーラムが主催する、いわゆる「夏のダボス会議」に出席したブラジルの調査会社の女性は「ブラジルでも非常に懸念されている。特に企業にとっては、本当に大きなリスクだ」と話していました。

また、半導体の製造などに使われるレーザーなどを手がけるドイツ企業の男性は「中国では、大きなビジネスのチャンスがある反面、地政学リスクもある。純粋な技術やビジネスとは関係のない要因にさらされることに、細心の注意を払う必要がある」と述べ、警戒感を示していました。