犯罪被害者や遺族の心情 加害者に42件伝達 制度開始から半年

犯罪被害者や遺族の心情を、刑務所や少年院の職員が聞き取って加害者に伝える新たな制度が始まって半年がたちました。この半年で、事件や交通事故の被害者などが制度を利用し、42件が加害者に伝達されたということで、法務省は引き続き制度の周知を進めていくことにしています。

全国の刑務所や少年院では、去年12月から、被害者や遺族の気持ちを職員が聞き取って加害者に伝える取り組みを始めていて、ことし3月には、東京・池袋で5年前に起きた暴走事故で妻と幼い娘を亡くした松永拓也さんもこの制度を利用し刑務所の職員を介して加害者に心情を伝えました。

法務省によりますと制度が始まってから5月末までの半年で申し込みの受理件数はのべ59件で、すでに50件で被害者や遺族からの聞き取りが行われ、42件でその内容が加害者に伝えられたということです。

交通事故や詐欺、殺人事件などの被害者や遺族が制度を利用し「犯した罪について、どう考えているか知りたい」とか、「被害弁償をしてほしい」などの思いを伝えたということです。

中には被害者の思いを聞いて謝罪の意思を示した加害者もいたということです。

法務省矯正局は「加害者の反省、更生につながるよう制度を運用するとともに、制度の周知や担当職員の育成を進めていきたい」としています。