イラン大統領選 三つどもえの争い 今夜までに大勢判明の見通し

中東のイランでは、28日、大統領選挙の投票が行われ、欧米との対立をいとわない保守強硬派の2人の有力候補と、欧米との対話を重視する改革派候補の三つどもえの争いとなっています。開票が順調に進めば、日本時間の29日夜までに大勢が判明する見通しです。

イランの大統領選挙は、先月ヘリコプターの墜落事故でライシ大統領が亡くなったことを受けて行われたもので、28日各地で有権者が1票を投じました。

選挙は事実上、3人の争いとなり、ライシ政権と同様に、欧米との対立をいとわない保守強硬派の候補では、国防や外交を統括する最高安全保障委員会の事務局長を務めたジャリリ氏と、軍事精鋭部隊・革命防衛隊の出身でイラン議会のガリバフ議長の2人が有力で、保守層の支持を分け合っています。

首都テヘランの投票所を訪れた37歳の教員の女性は「生活や経済状況の改善を望んでいます。新しい大統領にはライシ大統領の路線を継承してもらいたいです」と話していました。

一方、欧米との対話を重視する改革派からは、議会の副議長や保健相を務めたペゼシュキアン氏が唯一立候補していて、保守強硬派による政権運営に不満を持つ有権者の受け皿となることを目指しています。

息子が失業中で、5人家族の生活を年金で支える60歳の女性は、欧米と関係改善を図って経済制裁の解除を目指すペゼシュキアン氏を支持していて、「私には生活費がまかなえず、自暴自棄になっています。イランには発展した国々と仲よくしてもらいたいと思います」と話していました。

開票作業が順調に進めば、日本時間の29日夜までに大勢が判明する見通しです。

ただ、いずれの候補の得票も過半数に達しない場合は、上位2人による決選投票が1週間後の来月5日に行われます。