偽造マイナンバーカードでスマホ乗っ取り 30代自営業者を逮捕

偽造されたマイナンバーカードを使い、携帯電話ショップから他人名義のスマートフォンをだまし取ったなどとして名古屋市の30代の自営業者が警察に逮捕されました。マイナンバーカードの偽造にはインターネット上にあった大阪・八尾市の市議会議員の氏名や住所などの個人情報が悪用されたとみられ、警察が詳しいいきさつを調べています。

逮捕されたのは名古屋市東区の自営業、松尾裕也容疑者(39)です。

警察によりますと松尾容疑者はことし4月、名古屋市南区の携帯電話ショップで、偽造されたマイナンバーカードを示して他人名義で機種変更し、スマートフォンをだまし取ったうえで転売したとして詐欺などの疑いがもたれています。

調べに対し、容疑を認めているということです。

警察によりますと、だましとられたのは最新機種のiPhoneで、その日のうちに転売されていました。

マイナンバーカードの偽造にはインターネット上にあった大阪・八尾市の市議会議員の氏名や住所などの個人情報が悪用されていたとみられ、機種変更によって突然、電話が通じなくなったため通信会社に確認し、被害が明らかになったということです。

容疑者の自宅からはほかにも偽造されたマイナンバーカードや運転免許証が見つかったということで警察が詳しいいきさつを調べています。

個人情報を悪用されたとみられる市議は

今回の事件で個人情報を悪用されたとみられる大阪・八尾市議会議員の松田憲幸さんによりますと、松田さんはことし4月30日、外出中にスマートフォンが使えなくなり、近所の携帯電話ショップに行くと名古屋市で何者かによって勝手に機種変更されていると告げられました。

松田さんは市民からの相談を受けるため、携帯電話の番号や住所などをホームページで公開していて、携帯電話ショップからは、本人確認の際に偽造したマイナンバーカードを見せられたと説明されました。

松田さんのもとには225万円の高級腕時計・ロレックスや、カバン、タクシー代などの請求がきましたが、スマートフォンの乗っ取りに早く気付き連絡したことで、支払いは免れたということです。

容疑者が逮捕されたことについて、松田さんは「逮捕されてほっとしています。ただ、なぜ地方議員が狙われたのか、組織的な犯行ではないのかといった疑問が残るので警察には全容を解明してもらいたいです」と話していました。

スマートフォンの機種変更をめぐっては、本人確認の際に偽造したマイナンバーカードが使われるケースが相次いだことから、国は6月18日、対面で本人確認する際はマイナンバーカードや運転免許証などのICチップの読み取りを義務化するほか、非対面ではマイナンバーカードに限定してICチップを読み取る方法に原則一本化する方針を明らかにしています。

これについて松田さんは「比較的速やかに国も対応してくれたので発信したかいがあったと思います。同様の犯罪が起きないよう対策に取り組んでもらいたい」と話していました。