全日空と日本航空 「カスハラ」対処方針 共同発表

航空大手の全日空と日本航空は、カスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」への対処方針を共同でまとめました。カスハラに該当する行為を暴行や誹謗中傷など9つの類型に整理し、こうした行為には組織としてきぜんとした対応を取る姿勢を明確にしました。

これは28日、全日空と日本航空が都内で会見を開いて発表しました。

対処方針ではカスハラに該当する行為を、暴行や、誹謗中傷、過剰な要求など9つの類型に整理し、これらの行為は「従業員の人権および就業環境を害するものだ」としています。

そのうえで、カスハラに対しては警察への通報なども含め組織としてきぜんとした対応を取る姿勢を明確にしました。

また、実際に起きた事例を両社で共有して対応力を高めるとしています。

昨年度、この2社が把握したカスハラは合わせておよそ600件に上り、例えば、機内で乗客に飲み物を提供したところ、ほしい飲み物と違ったとしてコップを投げつけられるとか、コールセンターの職員が電話口で「バカ」とか「無能」などとどなられる事例などがあったということです。

会見で日本航空CX推進部の上辻理香部長は「2社でまとめた指針を他社にも広げていき、業界全体でカスハラに対応していきたい」と述べました。

カスハラを巡っては、ことし4月以降、JR東日本と西日本が対処方針を相次いで発表するなど、企業側の対応を明確にする動きが広がっています。

「カスハラ」暴言や暴行など該当行為 9分類

今回、全日空と日本航空は「カスハラ」に該当する行為を次の9つの分類に整理しました。

1つ目【暴言や大声、侮辱、差別発言、誹謗中傷など】
▽具体的には「バカ野郎」などの発言
▽「男性の上司を出せ」などの性差別的な発言
▽容姿を揶揄する発言や、能力を否定する侮辱的な発言などを指します。

2つ目は【脅威を感じさせる言動】
▽「殺すぞ」や「SNSで拡散させる」などの脅迫的な発言
▽反社会的な勢力などをほのめかす発言などを指します。

3つ目は【過剰な要求】
▽規定やルールを超えた多額の補償金やアップグレードなどの要求
▽「家まで謝りに来い」「土下座しろ」といった発言などを指します。

4つ目は【暴行】
▽社員を殴るなどの行為や体を押したり飲み物をかけたりするなど
社員が危険を感じる行為を指します。

5つ目は【業務に支障が出る行為】
▽長時間の電話で社員を拘束したり
▽同じクレームを繰り返したりする行為などを指します。

6つ目は【業務スペースへの立ち入り】
▽事務所やオフィスへの押し入ったり
▽居座ったりする行為を指します。

7つ目は【社員を欺く行為】
▽不正に発券された搭乗券の利用や
▽元からあった荷物の傷を飛行機の搭乗でついたと虚偽の主張をすること
などを指します。

8つ目は【会社・社員の信用を棄損させる行為】
▽会社・社員への誹謗中傷や機内や
▽空港での対応状況の録音データをSNSに投稿する行為などを指します。

9つ目は【セクシャルハラスメント】
▽わいせつな行為や発言
▽盗撮
▽つきまとい
といった身体的、精神的に苦痛を感じる行為などを指します。