イラン大統領選投票始まる 事実上3人の争い

中東のイランでは、日本時間の28日午後から大統領選挙の投票が始まりました。欧米との対立をいとわない保守強硬派の有力候補2人に対し、欧米との対話を重視する改革派の候補が挑む三つどもえの構図になっていて、今の強硬な外交政策が継承されるかどうかが焦点です。

イラン大統領選挙は、5月、ヘリコプターの墜落事故でライシ大統領が亡くなったことを受けて行われています。

投票は、日本時間の28日午後1時半から始まり、首都テヘランの投票所には次々と有権者が訪れ、1票を投じていました。

選挙は事実上、3人の争いとなっていて、ライシ政権と同様に、欧米との対立をいとわない保守強硬派の候補では
▽国防や外交を統括する最高安全保障委員会の事務局長を務めたジャリリ氏と
▽軍事精鋭部隊・革命防衛隊の出身で、イラン議会のガリバフ議長の2人が有力で、
保守層の支持を分け合っています。

一方、欧米との対話を重視する改革派からは、議会の副議長や保健相を務めたペゼシュキアン氏が唯一立候補していて、保守強硬派による政権運営に不満を持つ有権者の受け皿となることを目指しています。

大勢は、29日にも判明する見通しですが、いずれの候補の得票も過半数に達しない場合は、上位2人による決選投票が1週間後の7月5日に行われます。

テヘラン 有権者の声は

イランの首都テヘランのモスクに設けられた投票所では、早朝から有権者が列を作っていて投票が始まる現地時間の午前8時になると、市民それぞれが候補者の名前を記入し1票を投じていました。

また、世界各国のメディアも取材に駆けつけていて、関心の高さをうかがわせました。

保守強硬派のジャリリ氏を支持する50歳の男性は「ライシ大統領の道を引き継いでくれるだろう。そしてより強い国家となって未来は明るくなるはずだ」と話していました。

また、欧米との対話を重視する改革派のペゼシュキアン氏を支持する37歳の男性は「彼は重要な仕事を担ってきたと聞いている。外交関係はすばらしいものになるに違いない」と話していました。