インフラ海外展開支援の官民ファンド 昨年度700億円超の損失

インフラの海外展開を支援する国土交通省所管の官民ファンドが、昨年度の決算で700億円を超える損失を計上したことが分かりました。斉藤国土交通大臣は「重く受け止めている」と述べ有識者会議を設けてファンドのあり方や経営改善策などについて検討する考えを示しました。

この官民ファンドは交通インフラや都市開発の海外展開を支援する「JOIN」、海外交通・都市開発事業支援機構で、発表によりますとことし3月までの1年間の決算で、799億円の損失を計上しました。

ミャンマーでの都市開発事業が軍のクーデターの影響で中断したことや、アメリカ・テキサス州での高速鉄道事業で債権回収の見通しが不確実になっていることが要因です。

これまでに計上した分を含めたことし3月時点での累計の損失額は、954億円に上ります。

これについて斉藤大臣は28日の閣議のあとの記者会見で「今回の事実を重く受け止めている。学識者や専門家による有識者委員会を設置しJOINのあり方や経営改善策などについて検討を行うことにした。国土交通省の監督責任のあり方も含めて議論をしてもらいたい」と述べました。

国土交通省によりますと、有識者委員会の結果が出るまでは、新たに出資や融資を行う計画を見合わせるということです。

JOINは2014年に設立され、これまでに政府が2700億円を出資していて、改めて官民ファンドの採算性が問われる事態となっています。

鈴木財務相「財務省としても誠に遺憾」

インフラの海外展開を支援する国土交通省所管の官民ファンドが昨年度の決算で700億円を超える損失を計上したことについて、鈴木財務大臣は「出資者である財務省としても誠に遺憾だ。国土交通省が設置する有識者委員会の検討を注視する」と述べました。

そのうえで「財務省の審議会でも官民ファンドのガバナンスのあり方について審議してもらい、それを踏まえて適切に対応していかなければならない。今後、こうしたことが起こらないよう所管省庁に対し強く求めていきたい」と述べ、今回問題になっている以外の官民ファンドについても必要な対応を進めていく考えを示しました。