仏議会選前にテレビ討論 ウクライナ支援などめぐり激しい議論

今月30日から始まるフランスの議会下院選挙の投票を前に、テレビ討論が行われ、マクロン大統領率いる与党連合や極右政党などの代表が参加してウクライナ支援などをめぐって激しい議論を交わしました。

フランスのマクロン大統領は今月上旬に行われたヨーロッパ議会選挙で自らが率いる与党連合が極右政党の「国民連合」に大敗したことを受けて、議会下院にあたる国民議会を解散し、今月30日に1回目の投票が、来月7日に決選投票が行われる予定です。

27日、与党連合からはアタル首相が、「国民連合」からはバルデラ党首が、そして今回の議会解散を受けて急きょ結成された左派連合の「新人民戦線」からも社会党のトップが参加してテレビ討論が行われました。

この中でバルデラ党首は「私はすべてのフランス国民の首相、そして日常に寄り添う首相になりたいと思っている。物価対策や、治安の回復などに重点を置く」と訴えました。

これに対してアタル首相は、「バルデラ党首は、みずからを団結や融和を目指す人物だと訴えることはできない。立候補させた多くの候補者に人種差別的、反ユダヤ的、そして同性愛への嫌悪の発言が見られる」と主張し、批判しました。

また、ウクライナ支援では、バルデラ党首はロシアとの緊張の激化を避けるためだとしてウクライナにフランス軍の兵士や射程の長いミサイルは送らない方針を示したのに対し、アタル首相は、ロシアが勝てばフランスの安全保障や経済にも深刻な影響が及ぶとして、積極的な支援を訴えました。

フランスの世論調査機関が27日に発表した議席予想では、国民連合と、連携する候補が合わせて最大260議席と、いまより3倍近く増やすほか、新人民戦線が最大210議席で第2勢力となる一方、与党連合は最大で110議席で、半分以上、議席を減らす可能性があるという見通しが示され、マクロン大統領にとって厳しい情勢になっています。