自転車運転中の「危険行為」にスマホ「ながら運転」も対象へ

自転車を運転中に「危険行為」をしたとして、3年以内に複数回、検挙された人に対し、道路交通法は各地の公安委員会が実施する安全講習を受けることを義務づけています。警察庁は、対象となる「危険行為」にスマートフォンなどを使いながら自転車に乗るいわゆる「ながら運転」も加える方針で、今後、道路交通法の施行令の改正手続きを進めることにしています。

道路交通法は、自転車に乗る人が交通事故につながる「危険行為」をして3年以内に2回以上検挙された場合に、都道府県の公安委員会が実施する安全講習を受講することを義務づけていて、受講しなかった場合には、5万円以下の罰金が科されます。

これまでは信号無視や酒酔い運転など15の危険行為が対象となっていましたが、警察庁はこれに新たにスマートフォンなどを使いながら自転車を運転する「ながら運転」を加える方針で、今後、道路交通法の施行令の改正手続きを進めることになりました。

5月、道路交通法が改正されて、自転車の「ながら運転」が、罰則の対象に加わったことを受けての対応だということです。

安全講習は、各地の運転免許センターで実施されていて、自転車事故の映像を見たり、ディスカッションをしたりしながら、交通ルールや事故の悲惨さについて学ぶということです。

警察庁は今後、意見を募集したうえで、改正した制度をことし11月から実施したいとしています。

「自転車運転者講習」とは

現在の制度では、自転車による悪質な違反に対して交通切符、いわゆる「赤切符」が交付され、刑事罰の対象として、検察庁に送られることになっています。

また先月には、車やオートバイと同様、自転車での交通違反に対して反則金を納付させるいわゆる「青切符」を導入し、16歳以上を対象に適用することなどを定めた改正道路交通法が成立し、2年以内に施行される予定です。

「自転車運転者講習」は、3年以内に2回以上、道路交通法の施行令で規定する「危険行為」をして交通切符を切られた人などを対象に、受講が義務づけられている講習で、自転車に乗る人の法令違反が原因で起きる交通事故が相次いでいることを背景に2015年から始まりました。

講習自体は「罰則」ではありませんが、各公安委員会からの通知を受けても受講しなかった場合に、5万円以下の罰金が科されます。

講習のプログラムは3時間ほどで、自転車事故の被害者や遺族の体験談が紹介され、自転車事故の映像を見たり、ディスカッションをしたりしながら、事故の悲惨さや交通ルールについて学びます。

去年1年間には全国で631人が受講したということです。

警察庁によりますと、スマートフォンなどを使いながら自転車に乗る、いわゆる「ながら運転」が原因の人身事故は、2021年が死亡事故1件を含む93件、おととしが110件、去年が139件と年々増加していて、各地の警察が、自転車の安全な利用の呼びかけを強化しています。