バレー男子 パリ五輪 日本代表に 石川祐希 高橋藍ら【全名簿】

パリオリンピックで52年ぶりのメダル獲得を目指すバレーボール男子日本代表のメンバー12人が発表され、海外で経験を積んだ石川祐希選手や高橋藍選手などが選ばれました。

記事後半ではメンバー12人全員の特徴などを詳しく紹介しています。

52年ぶりの五輪メダル獲得へ 12人のメンバー発表

世界ランキング2位の日本は、パリオリンピックで1972年のミュンヘン大会以来52年ぶりのメダル獲得を目指します。

石川祐希 選手

チームは現在、オリンピックの前哨戦として国際大会『ネーションズリーグ』に参加していて、24日は予選ラウンドが行われたフィリピンで、フィリップ・ブラン監督などが会見を行ってメンバー12人を発表しました。

高橋藍 選手

メンバーには、チームのキャプテンで世界最高峰のイタリア1部リーグでプレーするエースの石川選手や、石川選手とともに攻撃の中心を担う22歳の高橋藍選手、西田有志選手などが順当に選ばれました。

西田有志 選手

また、チーム最年少は専修大の3年生、20歳の甲斐優斗選手で、最年長のセッター、深津旭弘選手は36歳で初めてのオリンピックメンバー入りです。

そして、レベルの高い2人の選手が代表入りを争っていた守備専門のポジション・リベロには、強豪国の力強いサーブやスパイクへの対応力が評価され、山本智大選手が選ばれました。

ブラン監督

ブラン監督は「選手選考は非常に難しかった。われわれはこのメンバーでメダルを取るために常に突き進むことを誓い、パリオリンピック後にすべての人が私たちの戦いに誇りを持ってくれるように戦っていきたい」と話していました。

日本はこのあと、ポーランドで行われる『ネーションズリーグ』の決勝ラウンドに臨み、チームのさらなる強化をはかります。

オリンピックの組み合わせ抽選は、日本時間の6月27日に行われます。

《日本代表 メンバー12人》

【セッター(2人):攻撃のかじ取りを担う】
▽ジェイテクトSTINGSの関田誠大選手(30)
▽東京グレートベアーズの深津旭弘選手(36)
深津選手はチーム最年長の36歳で初めてのオリンピック出場。

【アウトサイドヒッター(4人):力強いスパイクなどで攻撃の中心】
▽イタリア1部リーグ、ペルージャの石川祐希選手(28)
▽サントリーサンバーズ大阪の高橋藍選手(22)
▽大阪ブルテオンの大塚達宣選手(23)
▽専修大3年生で、昨シーズンはフランスでプレーした、甲斐優斗選手(20)はチーム最年少。

【オポジット(2人):攻撃の専門のポジション】
▽大阪ブルテオンの西田有志選手(24)
▽ジェイテクトSTINGSの宮浦健人選手(25)

【ミドルブロッカー(3人):ブロックや速攻を担う】
▽大阪ブルテオンの山内晶大選手(30)
▽サントリーサンバーズ大阪の小野寺大志選手(28)
▽ジェイテクトSTINGSの高橋健太郎選手(29)

【リベロ(1人):守備専門のポジション】
▽大阪ブルテオンの山本智大選手(29)

石川祐希 主将「金メダルが最大の目標」

キャプテンの石川祐希選手は、日本バレーボール協会を通じてコメントを出し「僕自身2回目のオリンピックで、有観客で開催されるオリンピックは初めてなので非常に楽しみです。この12人以外にも一緒に練習してきた仲間や支えてくださる方の思いをすべて受け止め、結果を出す。メダルを獲る。その覚悟を持ってオリンピックに臨みます」としました。

そのうえで「パリオリンピックでは金メダルを獲ることが最大の目標です。その目標を達成するために東京オリンピック後からそれぞれたくさんの経験を積んできました。今のチームの強みはその経験値と個人でも戦えるところです。ここからの時間が非常に大事なので、常にメダルを獲ることを考えて本気でスタッフ含め選手全員で練習していけるか。残りの1か月でどれだけ内容の濃い練習を継続してできるかが重要なので、そこを意識していきたいです」などとしています。

高橋藍「自覚と責任持ち頑張る」

中心選手の1人として期待される高橋藍選手は、日本バレーボール協会を通じて「選ばれたことを非常にうれしく思います。その自覚と責任を持ち、メダル獲得に向けて頑張りたいです。本大会までの期間、コンディションを整え、気持ちをオリンピックに向けて作っていきたいと思います。目標はメダル獲得です」とコメントしています。

《日本代表選手 プロフィール》

【セッター(2人)】

◇関田誠大(せきた・まさひろ)選手

関田誠大選手は、東京都出身の30歳。多彩で正確なトスで攻撃をけん引するセッターで、オリンピックは東京大会に続く代表入りです。
小学1年生からバレーボールを始め東洋高校、中央大ではいずれも全国優勝を経験しました。
日本代表には2016年に初選出され、前回の東京大会では全試合に先発出場してチームのベスト8進出に貢献しました。
東京大会後にはポーランドのリーグでのプレーも経験するなどして、さらにレベルアップし、今大会でも司令塔としてチームを引っ張る活躍に期待がかかります。

◇深津旭弘(ふかつ・あきひろ)選手

深津旭弘選手は愛知県出身で今大会チーム最年長の36歳です。VリーグではこれまでJTサンダース、堺ブレイザーズ、東京グレートベアーズの3チームを渡り歩き、V1のレギュラーラウンドでは歴代8位の353試合に出場しています。
セッターとしての高い技術に加えて若い選手たちを引っ張るリーダーシップもあり、36歳で初のオリンピックの代表入りをつかみました。
3人の兄弟そろってバレーボールに取り組み、次男は現在、日本代表のコーチを務める貴之さん、三男は日本代表で長く活躍した英臣さんです。

【アウトサイドヒッター(4人)】

◇石川祐希(いしかわ・ゆうき)選手

石川祐希選手は愛知県出身の28歳。的確にコースを打ち抜くスパイクや高い守備力を武器にイタリア1部リーグで活躍する日本のエースです。
小学4年生でバレーボールを始めると早くから注目を集め、愛知県の星城高校ではエースとしてチームを引っ張り、2年生の時から2年続けて高校総体、国民体育大会、そして全日本高校選手権のすべてで優勝する高校三冠を果たしました。
中央大進学後は1年生から日本代表に選ばれ、2014年に韓国で行われたアジア大会ではチームの銀メダル獲得に貢献して一気にブレイクしました。その後、大学在学中から世界最高峰のイタリア1部リーグでのプレーの機会を得て卒業後もイタリアでプレーし続けています。
日本代表では東京オリンピックでキャプテンを務め、チームをベストエイト進出に導いたほか、去年のパリ大会予選でも中心選手として2008年の北京大会以来の自力でのオリンピック出場権獲得に大きく貢献しました。
JOC=日本オリンピック委員会が選ぶ「シンボルアスリート」の1人にも選ばれていて、今大会最も活躍が期待されている選手の1人です。

◇高橋藍(たかはし・らん)選手

高橋藍選手は京都府出身の22歳。2歳上の兄で、同じくバレーボール選手の塁選手を追いかけて小学生の時に競技を始めました。
中学時代の、守備的なポジション・リベロの経験を生かした高いレシーブ力に加え、1メートル88センチとバレーボール選手としては長身ではないものの高い跳躍力があり、力強いスパイクやサーブも得意とするオールラウンダーです。
地元・京都の東山高校では3年生の時にキャプテンとしてチームを全日本高校選手権初優勝に導き、その直後から日本代表入りを果たしました。
東京オリンピックにはチーム最年少の19歳で出場し、ベスト8進出に貢献したほか、パリオリンピック予選でも、日本代表の中心選手として2008年の北京大会以来の自力でのオリンピック出場権獲得に大きく貢献し、パリ大会でも活躍が期待されています。
また、日本体育大在学中から世界最高峰のイタリア1部リーグに挑戦し、昨シーズンは強豪のモンツァでプレーしてチームをプレーオフで準優勝に導きました。
プレーだけでなく、明るいキャラクターでも注目を集め、インスタグラムのフォロワー数は200万人を超える人気選手です。

◇大塚達宣(おおつか・たつのり)選手

大塚達宣選手は大阪府出身の23歳。力強いスパイクが武器の攻撃の中心となるポジション、アウトサイドヒッターでオリンピックは東京大会に続く2大会連続の代表入りです。
小学3年生で「近所にたまたまチームがあったから」とバレーボールを始め、その後進んだ京都の洛南高校、早稲田大ではいずれも全国優勝を経験しました。
2022年には大学に在学しながら地元・大坂のパナソニックパンサーズに加入してVリーグの最優秀新人に選ばれました。
バレーボール選手としてチャレンジ精神を大切にしていて座右の銘は「今を大切に」。オリンピック後はイタリア1部リーグのミラノに加入することが決まっています。

◇甲斐優斗(かい・まさと)選手

甲斐優斗選手は宮崎県出身の20歳。力強いサーブとスパイクが持ち味の攻撃の中心となるポジション、アウトサイドヒッターで今大会チーム最年少です。
小学2年生の時に2歳年上の兄で現在はサントリーサンバーズに所属する兄・孝太郎さんの影響でバレーボールを始め、高校時代は地元の日南振徳高校で全日本高校選手権に出場して活躍しました。
専修大1年生の時から日本代表に選ばれ、昨シーズンはフィルップ・ブラン監督の勧めで大学在学中ながらフランスのリーグでもプレーしました。
高校生の時にバレーの基礎を教わった父親を亡くしましたが、今もたびたび父親から教わった基本に立ち返りながらプレーしているということです。

【オポジット(2人)】

◇西田有志(にしだ・ゆうじ)選手

西田有志選手は三重県出身の24歳。高い跳躍力から繰り出す力強いスパイクと最速120キロを超えるサーブが持ち味の攻撃が専門のポジション、オポジットで、オリンピックは東京大会に続いて2回目の代表入りです。
高校生の時から世代別の日本代表に選ばれ、2019年のワールドカップでは世界の強豪を相手に次々とサービスエースを奪ってベストサーバー賞を獲得し海外選手たちを驚かせました。
その後はケガもありましたが、世界最高峰のイタリア1部リーグでのプレーも経験するなど着実に力を伸ばし、今大会でもチームを引っ張る選手の1人として期待がかかります。
2022年には女子の日本代表のエース、古賀紗理那選手と結婚し、去年の全日本選手権では2人とも最優秀選手に選ばれました。パリでも夫婦そろっての活躍を誓います。

◇宮浦健人(みやうら・けんと)選手

宮浦健人選手は熊本県出身の25歳。攻撃を専門とするポジション・オポジットで、左利きの強力なスパイクやサーブが持ち味です。
高校バレーの強豪、地元の鎮西高校では3年生のときに熊本地震で被災し避難所での暮らしを余儀なくされたり、体育館も使えなくなったりした経験から「どんな状況でも環境のせいにすることなく自分にベクトルを向けて努力する」ことを信条としています。
早稲田大では全国大会で4連覇。卒業後に日本代表に選ばれるようになり、去年のパリオリンピック予選では要所で得点を決めて出場権獲得に貢献しました。
2022年にはポーランドに渡り、今シーズンはフランスでプレーするなど海外のリーグで武者修行を行い、オリンピック後は国内に復帰する予定です。

【ミドルブロッカー(3人)】

◇山内晶大(やまうち・あきひろ)選手

山内晶大選手は愛知県出身の30歳。身長2メートル4センチは代表選手で最も高く、クイック攻撃など高さとスピードを生かしたプレーに定評のあるミドルブロッカーです。
中学まではバスケットボール部に所属していましたが、当時は周りの選手より身長が低く競技を続けることを諦めたところ、入学した高校の顧問に誘われてバレーボールを始めました。
高校入学後に身長がおよそ20センチ伸び、バレーボールの実力もメキメキと成長すると、愛知学院大在学中の2014年に日本代表に選ばれて東京オリンピックにも出場しました。

◇小野寺大志(おのでら・たいし)選手

小野寺大志選手は宮城県出身の28歳。身長2メートル2センチの高さを生かしたブロックや器用なプレーが持ち味のミドルブロッカーです。
中学では野球に励み、本格的にバレーボールを始めたのは中学の部活動を引退したあと、宮城県の選抜チームの選考会に誘われたことがきっかけでした。
当時、バレーボールは体育の授業でやった程度だったにもかかわらず、すでに1メートル90センチを超えていた身長と高い身体能力が認められ、いきなり選抜チームに入り、都道府県対抗全国中学大会に出場しました。
その後は強豪の東北高校や東海大で着実に成長して、野球からバレーボールに転向してわずか5年後の大学2年生の時に日本代表に選ばれ、前回の東京オリンピックにも出場しました。

◇高橋健太郎(たかはし・けんたろう)選手

高橋健太郎選手は山形県出身の29歳。身長2メートル2センチの高さをいかしたブロックが武器のミドルブロッカーで、オリンピックはこれが初めての代表入りです。
中学までは野球に打ち込みピッチャーでしたが、ケガを機に野球を諦めたところ、高校の入学試験の際にバレーボール部の顧問の先生に身長をかわれてスカウトされ高校1年生からバレーボールを始めました。
ブロックでは相手セッターとの駆け引きを得意としていて、Vリーグでは昨シーズンまで3シーズン連続でブロック賞を受賞しました。
東京オリンピックでは代表を外れる悔しさを経験し、29歳で初めて挑む大舞台での活躍を誓っています。

【リベロ(1人)】

◇山本智大(やまもと・ともひろ)選手

山本智大選手は北海道出身の29歳。最後まで諦めない粘り強い守備が持ち味のリベロです。
小学1年生の時に兄の影響でバレーボールを始めるとすぐにのめり込み、高校1年生から本格的にリベロでプレーしました。日本体育大時代には学生年代の日本代表を経験し、その後は前回の東京オリンピックでも代表入りを果たすなどリベロとして注目を浴びますが「過去の栄光より今」ということばをモットーにしています。
「バレーボールはアタッカーに目が行きがちだが、粘り強くボールを拾う守備の大切さや面白さを見る人たちに伝えたい」と意気込んでいます。