ロシア南部 宗教施設など襲撃 「複数市民と警察官15人超死亡」

ロシア南部のダゲスタン共和国で宗教施設などが相次いで武装グループに襲撃されました。ロシアメディアは地元トップの話として複数の市民のほか、警察官15人以上が死亡したと伝える一方で、武装グループの複数のメンバーをすでに殺害したとしています。

ロシア南部のダゲスタン共和国の中心都市マハチカラとデルベントで23日、ロシア正教の教会やユダヤ教の礼拝所のシナゴーグ、それに警察の施設が、相次いで武装グループに襲撃されました。

ユダヤ系の団体によりますとデルベントのシナゴーグは武装勢力によって放火されたということで、現地からの映像では建物が激しく燃える様子が確認できます。

ロシアの通信社はダゲスタン共和国のトップ、メリコフ氏の話として一連の襲撃で教会の関係者など複数の市民が犠牲になったほか、警察官15人以上が死亡したと伝えています。

また、これまでに武装グループのメンバー6人を殺害したとし状況は当局の管理下にあるとしています。

一方いまのところ犯行声明などは出されておらず、ロシアの連邦捜査委員会はテロ事件として捜査を進めています。

イスラム教徒が多数派を占めるダゲスタン共和国では、去年10月、イスラエルからの旅客機が空港に到着した際、イスラエル軍によるガザ地区への攻撃に抗議する若者たちが空港に乱入する事態となり、当局が警戒を続けていました。

また、ことし3月にモスクワ郊外のコンサートホールで起きた銃撃テロ事件のあと、ロシア当局はダゲスタン共和国でも対テロ作戦を実施し、イスラム過激派の活動家を拘束するなどして関連を捜査していました。

ダゲスタン共和国とは

ロシア最南端に位置するダゲスタン共和国は人口およそ320万人で、9割以上をイスラム教徒が占め、ロシアで民族や言語が最も多様な地域の1つと言われています。

1990年代以降に独立紛争が起きたチェチェンに隣接し、周辺一帯ではかつてテロや武装勢力の活動が活発化していましたが、プーチン政権のもとで掃討作戦が行われ、近年は目立ったテロは伝えられていませんでした。

一方で、去年10月、中心都市マハチカラの空港にイスラエルからの旅客機が到着した際、イスラエル軍のガザ地区への攻撃に抗議する若者たちが空港に乱入する事態となり、当局が警戒を続けてきました。

また、ことし3月にモスクワ郊外のコンサートホールで市民140人以上が死亡した銃撃テロ事件のあと、ロシアの治安当局はダゲスタン共和国でも対テロ作戦を実施して、イスラム過激派の活動家を拘束するなどして、関連を捜査していました。

林官房長官「情勢を注視 邦人被害の情報なし」

林官房長官は午前の記者会見で「政府としては今回の事案を含むロシアをめぐる情勢を引き続き関心を持って注視していく。現時点までに邦人の生命や身体に被害が及んでいるとの情報には接していない」と述べました。

その上で「現在、ロシア全土にレベル3の『渡航中止勧告』以上の危険情報を発出しており、どのような目的であれ、ロシアへの渡航はやめるよう国民に求めている。引き続き在留邦人の安全確保に万全を期していく」と述べました。