スケートボード女子ストリート 吉沢 中山 赤間 五輪代表に内定

アーバンスポーツのパリオリンピック予選シリーズ第2戦は23日、スケートボード女子ストリートの決勝が行われ、14歳の吉沢恋選手が優勝しました。この結果、吉沢選手と、3位に入った中山楓奈選手、それに赤間凛音選手の3人がパリオリンピックの代表に内定しました。

パリオリンピックのスケートボードの代表選手は、対象となる国際大会で得られるポイントに基づく世界ランキングで決まり、今回の予選シリーズ第2戦が選考レース最後の大会です。

スケートボードの女子ストリートの決勝は、45秒間滑って技を何度も繰り出す「ラン」を2回、1回の技で勝負する「ベストトリック」を5回行いそれぞれの得点の高い3回の合計で争われました。

最大3人のオリンピック出場枠を争う日本選手は5人が出場し、14歳の吉沢選手は、前半のランでは持ち味の安定感ある滑りで84.42をマークしました。

そして、後半のベストトリックでは最後の5回目に、ボードを縦と横に同時に回してからレールを滑りおりる「ビッグスピンフリップボードスライド」を決めて、96.12の高得点をマークし、合計270.29で優勝しました。

また、東京オリンピック銅メダリストの中山選手が、ベストトリックの5回目で、ボードを裏表に回転しレールをまたいで滑りおりる「ヒールフリップバックサイドリップスライド」を決めてこの日のベストスコアの96.84をマークし、3位に入りました。

さらに第1戦で2位に入った赤間選手が4位でした。

この結果、吉沢選手と赤間選手、それに中山選手の3人が、パリオリンピックの代表に内定しました。

一方、第1戦では予選敗退に終わり、日本勢5番手から逆転をねらった織田夢海選手は、第2戦では2位と巻き返しましたが、代表内定には届きませでした。

また、伊藤美優選手も6位で、代表内定を逃しました。

吉沢「率直にうれしいし最高」

予選シリーズ第2戦で優勝し初めてのオリンピック代表に内定した吉沢恋選手は「まずはパリに行けることが率直にうれしいし最高だ。ここで1位を取れたことは自信にもなった。日本選手はみんなレベルが高い分、誰が上がるか、誰が落ちるかわからなかったがいい競争になったと思う。パリオリンピックでは自分の得意なビッグスピンボードスライドなどを出して、今回みたいに攻めていって、1位を取れるように頑張りたい」と話していました。

吉沢恋 ボード操る技術が高く 技の成功率の高さが持ち味

吉沢恋選手は神奈川県出身で14歳の中学生です。兄の影響で、7歳からスケートボードを始めました。

ボードを操る技術が高く技の成功率の高さが持ち味で、特にボードを水平方向に回転させてレールなどに飛び乗って滑り降りる「ビッグスピンボードスライド」を最も得意としています。

男子ストリートで東京オリンピックに出場した白井空良選手も通った地元・相模原市の公園などで技術を磨き、2021年の日本選手権で5位に入るなどの結果を残し、国際大会に出場し始めました。

パリオリンピックの選考大会では、去年9月のスイスの大会で4位に入り、ことし3月に行われたUAE=アラブ首長国連邦での大会では3位と着実に結果を残してきました。

その勢いのまま先月、中国で行われた予選シリーズの第1戦では、ランで高得点をあげるなど安定感のある滑りを見せて3位に入り、世界ランキングも大会終了時点で3位まで上げるなど、一気に代表争いの上位に加わってきました。

小学生のころはトランポリンも習っていて「ジャンプ力や重心の使い方にはいい影響を与えている」と、スケートボードの技にもその経験が生かされています。

中山「次は金メダル目指して頑張りたい」

2大会連続のオリンピック代表に内定した中山楓奈選手は「パリオリンピックに出場するために、自分なりに頑張ってきたし、いろいろな人を巻き込んで練習してきて、そのおかげで出られることがすごくうれしく感謝している。決勝は、自分がやりたい技に集中して取り組むことができた。オリンピックでも自分がやりたい技を出し切って、前回は銅メダルだったので、次は金メダルを目指して頑張りたい」と話していました。

中山楓奈 東京五輪で銅 2大会連続の出場

の中山楓奈選手は富山県出身で19歳の大学1年生。オリンピックは2大会連続の出場となります。

9歳で本格的に競技を始め、2019年の日本選手権で13歳にして初優勝を果たしました。

高さのあるジャンプから、前輪の車軸部分をレールなどに斜めに滑らせる「フロントサイドKグラインド」が代名詞で、この技を駆使して、2021年の東京オリンピックでは銅メダルを獲得し、注目を集めました。

そして、パリオリンピックの選考大会ではおととしイタリアで行われた最初の対象大会で優勝しさい先のよいスタートを切りましたが、去年5月に鎖骨を骨折するなどけがが相次ぎ、力を発揮できない時期が続きました。

それでも先月の中国での予選シリーズ第1戦では決勝に進んで6位に入り、復調を見せていました。

ことし4月には「スポーツについて学びたい」と早稲田大学に進学し、1人暮らしも始めるなど、新生活をスタートさせています。

赤間「自分らしい滑りで金メダル取りたい」

代表内定を決めた赤間凛音選手は「パリオリンピックには絶対出たいと思っていたので、すごくうれしい。この2年間はけがもあり、周りもどんどんうまくなっていって、壁もあったけれどなんとか乗り越えてこられた。パリオリンピックでは、ほかの人がやらないようなトリックを出して、自分らしい滑りで金メダルを取りたい」と話していました。

赤間凛音 初の五輪切符 安定感あるスケート技術が持ち味

赤間凛音選手は宮城県出身で15歳の高校1年生です。

7歳からスケートボードを始めて小学生のころから大会で活躍し、12歳の時、中学1年生で出場した2021年の日本選手権では、この年、東京オリンピックで金メダルを獲得した西矢椛選手を破って優勝し一気に注目を集めました。

安定感のあるスケート技術が持ち味で、バランスのよさを生かして体ごと回転するタイプの技を得意としています。

特に、空中で半回転してレールに飛び乗り車軸部分を滑らせる「バーレーグラインドリバート」は、赤間選手の代名詞となっています。

パリオリンピックへ向けては、「トップスケーターが集まる場なので、絶対に出て優勝したい」と目標を掲げ、週末は新潟県の練習場へ遠征するなど練習を積んできました。

そしてパリオリンピックの選考大会では、去年6月のイタリアでの大会と、ことし3月のUAE=アラブ首長国連邦での大会で、いずれも優勝しました。

さらに先月中国で行われたパリオリンピックの予選シリーズ第1戦では、日本選手トップの2位に入り、今回の第2戦の結果と合わせて初めてのオリンピックの切符をつかみました。