スケートボード女子パーク 開と四十住 草木の3人が代表に内定

アーバンスポーツのパリオリンピック予選シリーズ第2戦は最終日の23日、スケートボード女子パークの決勝が行われ、東京オリンピックの銀メダリスト、開心那選手が日本勢トップの3位に入りました。
この結果、開選手と東京オリンピック金メダリストの四十住さくら選手、そして、今大会で5位に入った草木ひなの選手の3人がパリオリンピックの代表に内定しました。

パリオリンピックのスケートボードの代表選手は、対象となる国際大会で得られるポイントに基づく世界ランキングで決まり、今回の予選シリーズ第2戦が選考レース最後の大会です。

すり鉢状のコースを45秒間滑って、技の難度や構成などを競う女子パークの決勝には、日本選手3人が出場し、3回のランのうち、最も高い得点で順位を競いました。

このうち、ここまで世界ランキング1位の開心那選手は、3回目のランで、得意のノーズグラインドに加え、ボードを回転させて空中でつかむ「キックフリップインディー」を決めるなどして、91.83の高得点をマークし、日本勢トップの3位に入りました。

また、日本勢3番手から代表内定をねらった16歳の草木選手は、3回目のランで、得意の1回転半する大技の「540」を決めたほか、課題として磨いてきたコースの縁を使った技を織り交ぜて、5位でした。

この結果、世界ランキングでオリンピックの出場権を得られる全体の上位20人以内に入ったうえで、日本勢の上位3人となることが確実となった、開選手と草木選手、それに、今大会は準決勝で敗れ、9位だった東京オリンピック金メダリストの四十住選手の3人が、パリオリンピックの代表に内定しました。

一方、日本勢4番手から逆転での代表入りをねらった13歳の長谷川瑞穂選手は、「540」など難度の高い技を成功させて4位に入りましたが、わずかに代表内定には届きませんでした。

開 「五輪では楽しみながら滑って また表彰台に」

2大会連続のオリンピック代表に内定した開心那選手は「すごい安心したし、うれしい。オリンピックへ向けては、緊張せず自信を持って自分のすべてを出しきれるように準備をしたい。オリンピックでは楽しみながら滑って、また表彰台に立ちたい」と話していました。

開心那 愛称は「ノーズグラインドマスター」

開心那選手は、北海道出身の15歳の高校生です。

両親と一緒に練習場を訪れたことをきっかけに、5歳からスケートボードを始めました。

ボードを操る高い技術を生かし、コースの縁を車軸の金属部分で滑らせる「グラインド」と呼ばれるタイプの技を得意としています。

特に、前輪の車軸部分を滑らせる「ノーズグラインド」という難度の高い技が開選手の代名詞で、海外では「ノーズグラインドマスター」の愛称で呼ばれています。

2019年の日本選手権では、当時小学5年生で優勝を果たし、2021年の東京オリンピックには、夏のオリンピックで日本選手最年少となる12歳で出場を果たしました。

そして、「エア」に頼らない巧みな技を次々と繰り出し、金メダルだった四十住さくら選手に次いで銀メダルを獲得しました。
12歳でのメダル獲得は、日本選手で史上最年少の記録です。

その後も、世界トップレベルの女子スケーターとして活躍し、2023年2月の世界選手権では銀メダル、2023年10月の世界選手権では、金メダルを獲得しました。

さらに、2024年5月の中国での予選シリーズ第1戦でも、日本勢トップの2位に入るなど選考大会で安定した強さを見せ、2大会連続のオリンピックの切符をつかみました。

東京オリンピックから、身長はおよそ20センチ伸びたということで、手足の長さを生かしたスタイリッシュな滑りに、さらに磨きをかけて、2大会連続のメダル獲得を目指します。

四十住「けがなく楽しく 五輪連覇できるよう頑張る」

オリンピック連覇がかかるパリ大会の代表に内定した四十住さくら選手は、決勝をスタンドで観戦し、「パリに向けて悔しい気持ちが必要だと感じた。オリンピックの選考の間は、1年間くらいけがをして、あまり滑ることができなかったので、それを乗り越えてのパリのチケットは本当にうれしい。けがなく楽しく、オリンピックでは決勝にいって連覇できるように頑張る」と話していました。

四十住さくら 日本の女子スケーターをけん引

四十住さくら選手は、和歌山県出身の22歳。

兄の影響で小学6年生のときにスケートボードを始めました。

コースの縁を使った「リップトリック」を得意としているほか、空中で1回転半する大技の「540」など、多彩な技を織り交ぜたランを持ち味としています。

日本の女子スケーターをけん引してきた存在で、2018年には、ジャカルタアジア大会や、中国で行われたパークの初めての世界選手権で金メダルを獲得しました。

そして、世界ランキング2位で臨んだ、東京オリンピックでは、決勝で「540」を2回連続で決めるなどの戦略が功を奏し、会心の滑りで金メダルを獲得しました。

パリオリンピックへ向けては、最初の選考大会となった、2023年2月の世界選手権で銅メダルを獲得し、順調なスタートを切りましたが、その後は、右ひざを痛めるなど、けがとの戦いが続き、なかなか調子が上がりませんでした。

それでも、2024年5月の中国での予選シリーズ第1戦では、巧みなボードさばきで3位に入って復調を見せました。

2大会連続出場となるパリオリンピックでは「連覇を目指すことができるのは私しかいない」と、再び金メダル獲得をねらっています。

草木「山あり谷ありの五輪予選だった」

初めてのオリンピック代表に内定した草木ひなの選手は「もしかしたら、これが最後の大会になるかもしれないと思って、『最後だから楽しもう』という気持ちになった。山あり谷ありのオリンピック予選だった。オリンピックに向けて、技の完成度とレベルを上げていきたい。最高の気持ちで終われるよう頑張りたい」と、ホッとした表情を見せていました。

草木ひなの スケートボード界の「鬼姫」

草木ひなの選手は、茨城県出身で16歳の高校生。

スケートボードをしていた母親の影響を受けて、8歳の時にスケートボードを本格的に始めました。

小さい時からダンスや水泳など、さまざまなスポーツに取り組んできて、その経験と身体能力の高さがスケートボードにも生かされています。

特に、女子選手でトップクラスのスピードが持ち味で、「鬼のような」速さから、スケートボード界では「鬼姫」という異名で知られています。

そのスピードを生かした高さのあるエアを得意としていて、空中で1回転半する大技「540」は、世界でも屈指の完成度を誇ります。

東京オリンピックのあとに行われた、2021年の日本選手権で、競技歴4年ほどで初優勝を果たして注目され、そこから日本選手権は、2023年の大会まで3連覇を果たしています。

パリオリンピックの選考大会では、初戦となった2023年2月の世界選手権で、いきなり4位に入ると、2023年10月の世界選手権では、開心那選手に次ぐ銀メダルを獲得しました。

2024年5月の中国での予選シリーズ第1戦では、9位となり決勝進出を逃しましたが、そこから立て直して、初めてのオリンピックの切符をつかみました。