大阪地検特捜部の事件で初の司法取引 奈良 御所の汚職事件で

大阪地検特捜部が捜査した奈良県御所市の火葬場の建設工事の契約をめぐる汚職事件で、捜査協力の見返りに刑事処分を軽くする「司法取引」が適用されていたことが関係者への取材で分かりました。

大阪地検特捜部の事件で「司法取引」の適用が明らかになるのは初めてで、これによって得た証拠を踏まえて事件の解明を進めたとみられます。

奈良県御所市の元市議会議員、小松久展被告(71)は、市が発注した火葬場の建設工事をめぐり、市内の建設会社のグループが受注する事前の合意があると知りながら2020年の市議会で契約を結ぶ議案に賛成し、建設会社の元会長らから謝礼の現金7500万円を受け取ったとして加重収賄の罪に問われています。

20日、大阪地方裁判所で開かれた被告の裁判で、グループが受注できるように協力したとされるコンサルタント会社の社員の証人尋問が行われ、大阪地検特捜部がこの社員との間で「司法取引」を適用していたことが明らかになりました。

関係者によりますと、社員は事件への関与が疑われましたが立件されず、特捜部は「司法取引」で得た証拠を踏まえて被告の関与など事件の解明を進めたとみられます。

「司法取引」は、容疑者や被告が共犯者などの犯罪について捜査に協力すると、見返りとして検察が起訴を見送ったり求刑を軽くしたりする制度で、2018年に導入され、大阪地検特捜部の事件で明らかになるのは初めてです。