昨年度告発の脱税額 前年度より減少も免税制度の悪用相次ぐ

全国の国税局の査察部が、昨年度告発した脱税の総額は89億円余りで、前の年度と比べておよそ10億円減少しました。一方、インバウンド需要が好調な中、免税品を扱う事業者が消費税の免税制度を悪用して不正に還付を受ける手口が相次いでいることから、国税当局は対応を強化しています。

国税庁によりますと、全国の国税局の査察部がことし3月までの1年間に検察庁に刑事告発した脱税事件は101件で、脱税の総額は89億3000万円余りでした。

脱税の告発額が4年ぶりに増加した前の年度と比べておよそ10億円減少し、告発の件数も2件少なくなっています。

一方、コロナ禍からの回復でインバウンド需要が好調な中、目立ってきているのが、免税品の取扱店が消費税の免税制度を悪用し、不正な還付を受ける手口です。

不正に入手した外国人のパスポートの写しなどを使い、高級腕時計やたばこを観光客に販売したと偽って、還付を受けていたケースなど、16の事件が告発されました。

国税庁査察課の高松忠介課長は「海外の税務当局からも証拠を入手し、対応を強化していく」としています。