内閣不信任決議案 自民・公明両党などの反対多数で否決

立憲民主党が提出した岸田内閣に対する不信任決議案は、衆議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党などの反対多数で否決されました。

立憲民主党は、岸田内閣は政治改革に後ろ向きで国のかじ取りを任せられず、直ちに総辞職するか衆議院を解散すべきだとして20日午前、内閣不信任決議案を提出し、午後2時から開かれた衆議院本会議で審議が行われました。

立憲民主党の泉代表は趣旨弁明で「『裏金問題』の経緯や使途は明らかになっておらず、改正政治資金規正法の中身も抜本的な政治改革に踏み込めない検討項目ばかりのやったふりでしかない。負の遺産を一掃するため衆議院を解散し、国民の審判を仰ぐべきだ」と訴えました。

これに対し自民党の西銘元復興大臣は「わが党は責任政党として政治活動の自由と政治資金の透明性を両立した法案を提出し、各党の提案も受け入れて修正を加え、成立させた。実効性を無視し『禁止、禁止、廃止、廃止』と聞こえのいい看板を掲げ、将来に無責任な野党とは覚悟も中身も全く違う」と反論しました。

このあと記名投票による採決が行われ、不信任決議案は自民・公明両党などの反対多数で否決されました。

野党側は、立憲民主党、日本維新の会、共産党、国民民主党などが賛成しました。

れいわ新選組は採決を棄権しました。

岸田首相「政府・与党結束し課題に全力」

岸田総理大臣は、総理大臣官邸で記者団に対し「今後は政府・与党結束して、引き続き政治改革をはじめ、先送りできない課題に対し、全力で取り組んでいきたいと考えている」と述べました。

また、これまでの政治改革のプロセスに関する説明を含め、今後の対応を記者団に問われ「政治改革は、ことし1月からさまざまな取り組みが行われてきた。多くの協力によって1つ1つ乗り越えてきたが、今後ともさまざまな意見も聞きながら進めていかなければならない」と述べました。

自民党の議員から岸田首相に苦言も

衆議院本会議に先立って開かれた自民党の代議士会では、岸田総理大臣が出席しなかったことに議員から苦言が呈される場面がありました。

茂木派の津島淳衆議院議員は、本会議の議事の説明が行われた後、みずから発言を求め「われわれは内閣不信任決議案の否決という大事な場面に向かおうとしており、本来、岸田総裁がこの場に来てあいさつすべきではないか。みずからが求めて『皆さんに釈明したい、さまざまな苦労をねぎらいたい』という心からの思いを発するべきではないか」と述べました。

これに対し出席者の一部からは「そうだ」などと賛同する声も上がりました。

本会議のあと津島氏は記者団に対し「岸田総理大臣は一連の政治改革のプロセスやそれにかける思いなどを自民党総裁として吐露するべきだと思った。私たちにはそれを選挙区で国民に伝える義務がある。発言は独断で行ったもので、政権運営にかしがあるとして意見を言ったものではない」と述べました。

公明 石井幹事長「否決は当然」

公明党の石井幹事長は記者団に対し「改正政治資金規正法は、いわゆる『連座制』の導入で抑止力が高まることが期待される上、きめ細かく政治資金の透明性強化を図っており、決して後ろ向きの中身ではない。内閣不信任決議案の否決は当然だ」と述べました。

立民 泉代表「自民は改革の意欲がない」

立憲民主党の泉代表は記者団に対し「野党側から不信任決議案に賛同してもらい、本会議で賛成が167という結果を出せたことは良かった。政権交代できるよう頑張りたい。自民党は中途半端な政治改革案に賛成し、不信任決議案にも反対したということは、改革の意欲がないと言える」と述べました。

維新 馬場代表「自民は野党に転落すべき」

日本維新の会の馬場代表は記者会見で「自民党は全く反省していない。きょうの本会議でも、相手を威嚇して攻撃するようなヤジを言ったり、討論でけんか腰の言い方をしたりしていた。本当に反省しているなら、もう少し真摯(しんし)な態度で臨むべきだ。今回の政治とカネの問題で国民の怒りのボルテージは頂点に達しており、簡単に自民党を許すことにはならない。自民党は野党に転落すべきだ」と述べました。

共産 田村委員長「選挙で自民政治を終わらせる」

共産党の田村委員長は記者団に対し「不信任決議案は否決されたが、国民から見て、到底、岸田政権が信任に値しないことは明らかだ。改悪としか言いようがない改正政治資金規正法を押し通し、岸田総理大臣みずからが幕引きをはかるのは許されない。日本を行き詰まらせる『亡国の政治』を行っており、引き続き、政権を追い込んで、衆議院選挙で自民党政治を終わらせるために全力で頑張る」と述べました。