二階派元会計責任者「お金を残したいと思った」 地裁 初公判で

自民党二階派の政治資金パーティーをめぐり派閥の収支報告書に虚偽記載した罪に問われている元会計責任者の初公判が東京地方裁判所で開かれ、元会計責任者は起訴された内容を認めたうえで「何が起きるか分からない世界なのでお金を残したいと思った」と述べました。

二階派「志帥会」の元会計責任者、永井等被告(70)は、おととしまでの5年間であわせて2億6460万円のパーティー収入を派閥の政治資金収支報告書に記載しなかったなどとして、政治資金規正法違反の虚偽記載の罪に問われています。

19日東京地方裁判所で開かれた初公判で、永井・元会計責任者は、裁判長から起訴された内容に間違いがないか聞かれると、「いえ、ございません」と述べて認めました。

その後被告人質問が行われ、永井・元会計責任者は「国民からいただいた資金を公表する義務があるが、その辺をないがしろにしていた。大変申し訳なく思います」と謝罪しました。

また、ノルマを超えて集めた分のパーティー収入を派閥の収支報告書に記載しなかった理由については「与野党が逆転したり、与党内の覇権争いでいろんなことがあった。何が起きるか分からない世界なのでお金を残したいと思った。選挙の交通費や宿泊費に使い、みずから使ったことはない。政治家からの指示は一度もない」と説明しました。

次回の7月22日の裁判で検察が求刑を行い、判決は9月10日に言い渡されます。

国会議員や会計責任者などあわせて10人が立件された一連の事件で、公開の法廷で裁判が行われたのは、18日被告人質問があった安倍派の会計責任者に続いて2人目です。

検察の冒頭陳述は

検察は冒頭陳述で、二階派の政治資金パーティーについて、「当選回数や閣僚経験の有無に応じてパーティー券の販売ノルマが割り当てられていた」としたうえで、以前から、ノルマを超えて販売した分を派閥が「還付金」として議員側に戻すいわゆるキックバックと、ノルマを超えて販売した分を議員側が派閥に納入せず「留保金」として手元に残す、いわゆる中抜きが行われていたと述べました。

その上で、虚偽記載が行われるようになった経緯について、「被告は、会計責任者になった平成11年以降、派閥のパーティー券の売り上げが多額であることが明らかになれば、支援者らが派閥のパーティー券を買い控えるかもしれないなどと考えた。パーティー収入額には、還付金や留保金を含めず、支出の欄には、還付金は含むものの、留保金を含まない金額を記入することとした」と説明しました。

一方で、派閥幹部の関わりについては、「収支報告書の作成は専ら事務局職員が行っており、派閥の会長、事務総長ら幹部は、収支報告書の提出前に収入と支出の総額について口頭で報告を受けるのみだった」などと述べました。

永井・元会計責任者 被告人質問詳細

永井・元会計責任者は、被告人質問で、虚偽記載を行った理由や経緯などについて語りました。

虚偽記載の理由は

このうち、議員側がノルマを超えて販売した分のパーティー収入を派閥の収支報告書に記載しなかった理由については、「ノルマ分だけを記載すれば良いと思った。与野党が逆転したり、与党内の覇権争いでいろんなことがあった。何が起きるか分からない世界なのでお金を残したいと思った」と述べました。

そのうえで、収入に記載しなかった資金の使いみちについて、「選挙の交通費や宿泊費に使った。みずから使ったことはない」と説明しました。

政治家の関与は

また、政治家の指示については、「一度もない」としたうえで、収支報告書提出にあたっての報告も「口頭で大きな数字だけ報告していた」と述べ、派閥幹部の虚偽記載への関与を否定しました。

規正法の細部熟知せず

永井・元会計責任者は、1999年に二階派の会計責任者になったあと政治資金規正法を読んだが細部は熟知していなかったとしたうえで、「私が行ったことが、ここまで大きな問題に発展し、正直驚きから始まり、自分のふがいなさを痛感した。国民からいただいた資金を公表する義務があるが、その辺をないがしろにしていた。大変申し訳なく思います。民主主義というか国民のみなさまを裏切る形になると思う」と謝罪しました。

そのうえで、「根本的に私の考え方が間違っていた。派閥に所属する政治家が気持ちよく働けるよう注力してきたが、このような大きな問題になったことは不徳の致すところだ」と話しました。

部下が「正しい記載を」と

また、検察官からの質問では、部下から正しい記載をするよう提案されていたことを認めました。

このときのことについて、永井・元会計責任者は、「自分の年齢もあり引退を考えたときに、このままではいけないと思ったが、金額が大きく、どう修正したらいいのか考えていたら時間がたってしまった」と振り返りました。

その後、裁判長から、「ありのままに書けば良かっただけなのではないか」と問われると、「自分が引退する前に派閥に金を残そうと余計なことを考えてしまった」と虚偽記載を続けた理由を説明しました。