南海トラフ巨大地震 新たな観測網の試験運用 来月開始へ

南海トラフ巨大地震に備え高知県の沖合から日向灘にかけて整備が進められている新たな観測網の試験的な運用が来月から始まります。周辺で津波が発生した場合、これまでより最大で20分早く検知できるということです。

南海トラフ巨大地震に備え太平洋側の沖合の海底で観測網の整備が進められていて、文部科学省によりますと想定震源域の東側では観測が行われているのに対して、西側は空白になっています。

このため、防災科学技術研究所が高知県の沖合から日向灘にかけて「N-net」と呼ばれる観測システムの整備を計画しています。

「N-net」は、地震計と水圧計がセットになった36の観測点を海底ケーブルでつなぎ、総延長はおよそ1640キロにのぼるということです。

このうち、半分の観測点の敷設を終えたことから、防災科学技術研究所は、来月から試験的な運用を始めることになりました。

このシステムで得られた地震や津波のデータは気象庁にも提供され、緊急地震速報や津波警報などの発表にも活用されることになっていて、周辺で地震が起きた場合、最大で地震を20秒、津波を20分、それぞれ早く検知できるようになるとしています。

残りの半分の観測点は、年度内に敷設する予定だということです。

盛山文科相「国民の命や財産確保を期待」

盛山文部科学大臣は、閣議のあとの記者会見で「これらの整備が進むことは、政府の地震調査研究推進本部などでの検討に資するものになる。また、将来的には地震のメカニズムの解明や少しでも早い地震の予測につながっていき、国民の命や財産が確保されることを期待している」と述べました。