大雨 ピーク過ぎるも土砂災害に引き続き警戒

前線と低気圧の影響で東日本の太平洋側を中心に発達した雨雲がかかり、静岡県では12時間に降った雨の量が6月として最も多くなるなど、伊豆半島や伊豆諸島を中心に大雨となりました。前線は南下し、雨のピークは過ぎましたが、気象庁は大雨になったところでは引き続き、土砂災害に警戒するよう呼びかけています。

気象庁によりますと、低気圧と前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、18日は太平洋側を中心に西日本と東日本に発達した雨雲がかかりました。

特に静岡県では12時間に降った雨量が
▽伊豆市市山で301ミリ
▽三島市で225.5ミリ
▽石廊崎で191ミリ
と、6月として気象庁が統計を取り始めてから最も多くなりました。

また、伊豆諸島でも伊豆大島で178.5ミリと6月の記録を更新しました。

発達した雨雲はしだいに東へ抜け、大雨のピークは過ぎましたが、これまでの雨で地盤が緩んでいる地域もあり、気象庁は引き続き土砂災害に警戒するよう呼びかけています。

一方、九州南部と四国では線状降水帯の発生のおそれがあるとして警戒が呼びかけられましたが、結果的に線状降水帯は発生しませんでした。

東海道新幹線 午後3時40分ごろ運転再開

JR東海によりますと大雨の影響で東海道新幹線は
▽上りは新大阪駅から東京駅の間
▽下りは東京駅から静岡駅の間で運転を見合わせていましたが、午後3時40分ごろ全線で運転を再開したということです。

天候の状況によっては今後も運転見合わせなどの可能性があるということで、最新の情報はホームページなどで確認してほしいとしています。

東海道新幹線が一時、運転を見合わせるなどした影響で、JR熱海駅は大勢の観光客で混雑していました。

熱海駅から伊東駅までバスによる代行運転が行われ、駅前にはバスを待つ人の列ができ、タクシーの乗降スペースには100人余りの人が列を作っていました。

名古屋市から訪れた37歳の女性は「きょう帰る予定でしたが、小さい子どもを連れているので早めにホテルを探しています。もう1泊できると思えばいいかなと思います」と話していました。

《各地の被害》

関東地方で約460戸停電 (18日午後6時すぎ)

東京電力パワーグリッドによりますと、関東地方では午後6時すぎの段階で、およそ460戸が停電しています。

内訳は
▽千葉県では柏市でおよそ150戸
▽茨城県では鉾田市でおよそ320戸
となっています。

静岡 沼津 車流されるも脱出して無事

消防によりますと、18日午後0時45分ごろ、静岡県沼津市大平で「川があふれて乗用車が流された。車内に女性が取り残されている」と後続車両の男性から消防に通報がありました。

消防が救助に向かったところ、女性はすでに自力で脱出し、無事だということです。

消防によりますと、女性は50代で、大平江川沿いの道路を走っていたところ、あふれた水で車が浮いたということです。

水の深さはひざ下くらいで、近くの高齢者施設の職員が乗用車後部のトランクの扉を開け、女性は脱出したということです。

沼津 川の水一時あふれる 道路冠水も

沼津市によりますと、市内では側溝から水があふれるなどして一時あわせて13か所で道路が冠水しましたが、その後4か所では水が引き、午後5時現在、道路の冠水は9か所となっています。

これまでにけがをした人の情報は入っていないということです。

午後1時半ごろ、沼津市で走行中の車の助手席から撮影された映像では道路が冠水し、対向車線を走る乗用車やトラックはタイヤが見えなくなるほど水につかっています。

どの車も道路上にたまった雨水をかきわけてゆっくりと走行していて、通り過ぎると波打つように水が押し寄せています。

午後2時ごろ、沼津市で撮影された映像では住宅街の道路が一面冠水し、深いところでは大人のひざ下ほどの高さまで水がたまっています。

NHKに動画を寄せた女性は「低い土地なので冠水することはありますが、雨が降り続いてさらに水がたまっているので不安です」と話していました。

静岡 伊豆 住宅など水につかる 温泉施設も

静岡県の伊豆市によりますと、市内では複数の住宅などが水につかる被害が出ているということです。

このうち、伊豆市瓜生野の温泉施設「修善寺時之栖 百笑の湯」では、裏手の山側にある用水路から水があふれた影響で、午後1時ごろから浸水し始め、1階がくるぶしほどの高さまで水につかっているということです。

施設内にはスタッフおよそ30人と複数の利用客がいて、水が引くのを待って避難する予定だということです。

支配人の男性は「今は入り口に土のうを置いてこれ以上水が入るのを防いでいますが、これから雨が強くならないか不安です」と話していました。

伊豆 2棟が床下浸水(午後5時現在)

伊豆市によりますと、18日午後5時現在、市内の松ヶ瀬地区と湯ケ島地区のそれぞれ1棟、あわせて2棟の床下が水につかったということです。

このほかにも浸水被害に関する通報がおよそ30件寄せられ、消防団などが被害状況の確認を進めているということです。

また、伊豆市内では土砂崩れも起きていて、松ヶ瀬地区では、国道に土砂が流れ込んで通行止めになっているということです。

高知 田野町 住宅など屋根飛ばされる

高知県の田野町によりますと、竜巻注意情報が発表されていた午前6時半すぎに、北張地区で住宅の屋根が飛ばされるなどの被害があったということです。

被害が報告されたのは、午後5時の時点で町内の▼住宅7棟、▼倉庫3棟、▼集会所1棟のほか、▼農業用ハウス9棟だということです。

高知地方気象台は現地に職員4人を派遣して、被害の状況を調査しました。

職員たちは屋根が飛ばされたり外壁が剥がされたりした家の住民から話を聞いたほか、農業用ハウスの骨組みが壊れている様子をスマートフォンで撮影していました。

高知地方気象台の神野正樹次長は「竜巻が起きたかどうかは調査中だが、積乱雲を含んだ雨の領域が近くにあり、通過中だったのは事実だ。今日中には一定の形で調査結果を示したい」と話していました。

突風で被害を受けた田野町の50代の農家によりますと、ハウスが大きく破れたり骨組みが曲がったりしたほか、換気設備も被害を受けたことから、ハウスそのものを建て直す必要があるということです。

30年以上ししとうなどを育てていて、出荷間近でしたが、商品として売り出すことはできなくなったということです。

農家の男性は「朝起きたら景色が変わっていてことばが出ませんでした。一からやり直しで見通しはつかないです」と話していました。

愛媛 今治 電柱倒れる

大雨警報が出されていた愛媛県今治市では、電柱が倒れる被害がありました。

18日午前5時45分ごろ今治市朝倉上の住宅地で、市道脇の電柱が倒れているのが見つかり、道路が一時通行できなくなりました。

倒れた電柱は高さがおよそ12メートルあり、近くにあったコンクリート製の擁壁が倒れかかったため、根元から折れたものとみられています。けが人はいませんでした。

市によりますと、大雨の影響で擁壁の地盤が緩んだ可能性があるということです。近くに住む女性は「昨夜は一晩中雨が降っていて、こんなに降るのは初めてで怖かったです。用水路があふれないか心配でした」と話していました。