東京 渋谷駅周辺 路上など夜間飲酒 年間通じ禁止へ 改正案可決

東京 渋谷駅周辺での外国人観光客や若者の飲酒。ハロウィーンや年末年始に限らず確認され、トラブルにつながりかねないとして、年間を通じて夜間の飲酒を禁止するための渋谷区の条例の改正案が17日の区議会で可決されました。

渋谷区では、10月のハロウィーン期間に渋谷駅の周辺で酒を飲んだ人によるトラブルが相次いでいたことを受け、ハロウィーンや年末年始に路上や公園での夜間の飲酒を禁止する条例を2019年に制定しました。

しかし、ハロウィーン期間に限らず若者や外国人の路上での飲酒が見られる状況が続いています。

空き缶などのゴミの放置や通行の妨げにつながっているとして地元の商店街などから要望を受けた渋谷区は飲酒を禁止する期間を通年に拡大する条例の改正案を提出し、17日の区議会で全会一致で可決されました。

ことし10月から施行される予定で、渋谷駅の周辺では、午後6時から翌朝午前5時まで、路上での飲酒が禁止されます。

対象となる時間帯には区のパトロールが見回って路上飲酒をしている違反者に「指導」を行います。

違反した人に罰金を科すなどといった罰則規定についてはこれまでと同様、盛り込まれていません。

また、対象区域も広がり、新たに渋谷区役所周辺や渋谷駅の東側なども禁止の対象となります。

きっかけはハロウィーンの混乱

条例が制定されるきっかけになったのは2018年のハロウィーン直前の週末。

軽トラックが横転させられるなどの混乱が起きました。

渋谷区は「節度を持って楽しんでほしい」としていたそれまでの姿勢を転換し、2019年、ハロウィーンや年末年始にかぎり、路上や公園での夜間の飲酒を禁止する条例を制定しました。

新型コロナ「5類」後 若者・外国人の路上飲酒目立つ状況に

再び路上飲酒が問題になったのは2023年5月の新型コロナの「5類」への移行後です。

渋谷を訪れる外国人観光客が増える中で、「渋谷は路上で飲酒できる」といった情報が路上飲酒する人たちの動画などを通じ、SNSなどで急速に広がりました。

このためハロウィーン期間に限らず若者や外国人による路上飲酒が目立つ状況となりました。

現状について区は、「オーバーツーリズム」だとして、パトロールを巡回させ、英語で路上での飲酒やポイ捨てを控えるよう呼びかけるなど対策を講じています。

ただ、一定の効果はあるものの問題の解消にはつながっていないということです。

地元商店街 理事長「ルールがないことが問題だった」

渋谷駅周辺での路上飲酒を通年で禁止するという渋谷区の対応について、街の人に聞きました。

20代の男性は「それぐらいしないと、治安だとか、街の人たちに迷惑がかかるので、しかたないのかなと思います」と話していました。

20代の女性は「渋谷は居酒屋がたくさんあるので、外で飲めなくなったほうが、ごみが減っていいかなと思います」と話していました。

また、70代の男性は「ほかに飲む場所があるのだから、路上で飲まないほうがいいと思うので大賛成。路上で飲んでいる姿を見るのは不愉快です」と話していました。

また、地元の商店街にあたる「渋谷センター商店街振興組合」の鈴木達治理事長は「外国人観光客が来ることはありがたく思っており、すべての外国人が悪いわけでなく、路上飲酒が禁止というルールがないことが問題だった。1年中、路上飲酒できないというのは非常にありがたいことだし、大きな前進だと思うので期待している」と話していました。

新宿区ではハロウィーン期間中心に路上飲酒禁止へ

一方、東京 新宿区は、去年のハロウィーンで渋谷区が路上飲酒を禁止した影響で、歌舞伎町を訪れる観光客が増えたことなどから、ハロウィーン期間を中心に路上飲酒を禁止する方針です。

新宿区によりますと、去年のハロウィーン期間に渋谷区が路上飲酒を禁止した影響で、歌舞伎町周辺に多くの人が流れ、観光客などが増加し、その結果、ゴミのポイ捨てがふだんより多く確認されたということです。

このため、ことしのハロウィーンでは、路上飲酒や迷惑行為を未然に防ぐため、路上飲酒を禁止する方針を決め、関連する条例案を開会中の区議会に提出しています。

条例案では、
▽10月31日の夕方から翌朝にかけてと
▽その他、区長が特に必要と認める期間で
▽新宿3丁目や歌舞伎町1丁目の一部区域を対象に
禁止するとしています。

区域では、路上飲酒をしている人がいた場合、指導を行うほか、酒類を販売する店舗には、販売の自粛を要請することにしています。