九州南部と四国 18日午前中にかけ線状降水帯 発生のおそれ

前線と低気圧の影響で、九州南部では18日の午前中にかけて四国はあすの午前中に線状降水帯が発生する可能性があります。災害発生の危険度が急激に高まるおそれがあり、土砂災害や低い土地の浸水、川の増水に警戒が必要です。

気象庁によりますと、太平洋側にのびる前線や前線上の低気圧に向かって暖かく湿った空気が流れ込んでいる影響で、九州南部や沖縄県では断続的に激しい雨が降っています。

九州を中心に、この先も雨や曇りの日が続く見込みで、気象庁は17日午前、「九州北部が梅雨入りしたとみられる」と発表しました。

これまでに降った雨で鹿児島県では土砂災害の危険性が非常に高まり土砂災害警戒情報が発表されている地域があります。

このあと低気圧は発達しながら東よりに進み、前線の活動が活発になる見込みで沖縄・奄美から東日本では18日にかけて大気の状態が非常に不安定になり局地的に雷を伴って猛烈な雨が降るおそれがあります。

特に
▽奄美地方を除く鹿児島県と宮崎県で18日の午前中にかけて
▽高知県と徳島県、愛媛県、香川県では18日の午前中に線状降水帯が発生して雨量が増え、災害の危険度が急激に高まる可能性があります。

18日夕方までの24時間に降る雨の量は、いずれも多いところで、
▽九州南部と四国で300ミリ▽近畿と東海で250ミリ▽関東甲信で200ミリ▽奄美地方で180ミリ▽沖縄県と九州北部で150ミリと予想されています。

土砂災害や低い土地の浸水、川の増水に警戒するとともに、落雷や竜巻などの激しい突風、ひょうに注意し、発達した積乱雲が近づく兆しがある場合には、頑丈な建物の中に移動するなど、安全の確保に努めるようにしてください。

寝ている間に状況が悪化するおそれもあります。

17日夜は建物の2階以上や山の斜面から離れた部屋など、少しでも安全な場所で過ごすようにしてください。

福岡管区気象台と国交省 合同で会見 警戒呼びかけ

九州南部で線状降水帯が発生する可能性があることについて、福岡管区気象台と国土交通省九州地方整備局は合同で会見を開き警戒を呼びかけました。

まず、福岡管区気象台の永田和也気象防災情報調整官が「線状降水帯が発生すると、大雨災害の危険度が急激に高まることがある。明るいうちから、ハザードマップや避難経路を確認するとともに、気象情報や避難情報に留意し、避難が必要になった場合に速やかに避難できるよう備えてほしい」と呼びかけました。

国土交通省九州地方整備局の中元道男河川調査官は「鹿児島県と宮崎県にある5つの一級水系については、特に警戒してほしい。また、比較的小さい川や、大きな川の上流・支流でも水位が上がる可能性があり、警戒が必要だ。自治体からの避難情報の発表を聞き漏らさずに、速やかに避難できるよう警戒してほしい」と呼びかけました。

鹿児島地方気象台「事前の心構えをいっそう高めてもらいたい」

また、鹿児島地方気象台も記者会見を開き、防災上の注意点を呼びかけました。

会見で山下一実主任予報官は「線状降水帯が発生すると予想を上回る降水量になる。事前の心構えをいっそう高めてもらいたい」と呼びかけました。そして「土砂災害に厳重に警戒し、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒してほしい。住んでいる場所や勤務先ではどのような災害が発生しやすい場所なのかや、避難場所への経路など、事前の確認をしてもらいたい」と述べました。

過去の線状降水帯 “約8割が夜から朝に発生”

過去に発生した線状降水帯のおよそ8割が夜から朝にかけて起きていたことが気象庁気象研究所の分析でわかり、専門家は、大雨が予想される場合は、気象情報や市町村からの情報をこまめに確認するよう呼びかけています。

気象庁気象研究所は、去年までの14年間に全国で確認された496回の線状降水帯について発生した場所や時間帯を分析しました。

その結果、九州や四国の太平洋側、それに紀伊半島に集中し、それぞれで20回以上発生していたということです。

また、時期別では6月から7月にかけての梅雨の時期が多く、合わせて251回と全体の50%に上りました。

さらに、時間帯別では、午後6時から午前9時までの夜から朝にかけてが388回と、全体の78%を占めました。

特に、午後11時前後と、午前3時から6時ごろが多く、2012年7月の九州北部豪雨では午後11時台に線状降水帯が発生し甚大な被害が出ました。

夜から朝にかけて線状降水帯が多く発生する原因については調査中だとしています。

気象庁気象研究所台風・災害気象研究部の加藤輝之 部長は「夜は雨が降っていなかったのに朝に目覚めたときには周辺が浸水し、避難できないケースも過去にあった。大雨が予想される場合は、こまめに気象情報や市町村からの情報を確認し、必要に応じて避難を検討することが大事だ」と話しています。

政府 首相官邸に情報連絡室を設置

前線の影響で西日本を中心に広い範囲で雨が降り、18日にかけて線状降水帯が発生する可能性があることなどを受けて、政府は17日午後2時半に総理大臣官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置し、情報収集と警戒にあたっています。

18日22時までの雨の降り方予想 (17日21時時点)

※ニュースウオッチ9 斉田季実治 予報士