【詳細】イスラエル・パレスチナ 中東情勢(6月17日)

イスラエル軍は、人道支援物資の搬入のためにガザ地区南部の主要道路沿いで軍事活動を一時的に停止すると発表したあともガザ地区の各地で攻撃を続け、パレスチナの地元メディアは17日も子どもを含む死傷者が出ていると伝えています。

※中東情勢に関する日本時間6月17日の動きを随時更新してお伝えします。

イスラエル 戦時内閣解散 連立政権内の極右の閣僚の発言強まるか

イスラエルのメディアは17日、ネタニヤフ首相が16日の会合で、ガザ地区での軍事作戦にあたって重要な意思決定をしてきた戦時内閣を解散したと報じました。

戦時内閣は去年10月に野党も加わって発足しましたが、今月初め、中道派のガンツ前国防相らがガザ地区の将来的な統治についてネタニヤフ首相が計画を示さないことなどに反発して離脱していました。

一方、ネタニヤフ首相を支える連立政権は、これまでどおり維持され、今後、軍事作戦に関する重要な意思決定は首相とガラント国防相、そして関係する高官による小規模な会議で決定されると見られています。

ただ、連立政権にはイスラム組織ハマスとの間の停戦と人質解放をめぐる交渉に反対する極右の閣僚もいるため、今後、こうした閣僚の発言力がさらに強まることも予想されます。

ガザ地区でイスラエル軍の攻撃続く “子ども含む死傷者”

イスラエル軍は16日に南部のケレム・シャローム検問所からハンユニスに続く主要道路沿いで支援物資の搬入を増やすためだとして、軍事活動を一時的に停止すると発表しました。

しかし、ガザ地区の各地で攻撃は続いていて、地元メディアは、16日には中部への空爆で幼い子ども1人を含む6人が死亡したほか、17日には北部ガザ市への攻撃で2人が死亡し、子どもを含む少なくとも13人がけがをしたと伝えています。

ガザ地区の保健当局は、これまでの死者が3万7337人に上ったと発表していて、住民の犠牲が増え続けています。

ユニセフ「この戦争は子どもに対する戦争」

ガザ地区の被害状況について、地元当局は今月14日の時点で、3万7200人以上が死亡し、その4割以上に当たる1万6000人近くが子どもだとしています。

さらに、およそ3万4000人の子どもがけがをし、およそ1500人の子どもが手足を失ったり重度の障害を負ったりしたといいます。

こうした中、ユニセフの中東・北アフリカ地域事務所のアデル・ホドル代表が17日、都内でNHKなどの取材に応じ、子どもたちが置かれた最新の状況について、食料の不足などからおよそ3万7000人が重度の栄養失調に陥っているほか、およそ1万7000人が親などの保護者を失い搾取や虐待の危険にさらされていると指摘しました。

そして「この戦争は子どもに対する戦争だ。ガザ地区の人口は非常に若く、狭い地域のどこを攻撃しても子どもが殺されてしまう。ガザは『子どもたちの墓場』で非常に厳しい状況だ。物資や医療機器を備えた病院に搬送されれば、命が救われたり手足を失わずに助かったりした子どももいる」と述べました。

そのうえで「何よりも停戦が重要だ。戦闘が続く限り、物資の輸送を話し合うことも、計画することもできない」として、改めて即時停戦を求め、国際社会が一丸となって子どもたちの救済にあたるよう訴えました。

ユニセフ 子どもたちの現状をSNSなどで発信

ユニセフ=国連児童基金は、子どもたちの現状をSNSなどで発信しています。このうち、今月12日の投稿では片足を失った4歳の女の子、シラちゃんを紹介しました。

映像はガザ地区北部のガザ市で撮影されたもので、寝ているときに自宅が攻撃を受けたというシラちゃんは「気がつくと周りがほこりに覆われていました。足にやけどを負い、とても痛かったです。お医者さんがくると、足を切断しました」と当時の様子を話しています。

シラちゃんは両親や姉妹など家族6人を一度に亡くし、孤児にもなってしまったといいます。

シラちゃんは、いま祖母とともに避難所となっている学校に身を寄せていて、投稿された動画では歩行器を使って歩く姿や他の子どもたちと座って遊ぶ様子が紹介され「ほかの子どもたちみたいに歩けるように義足をつけたいです」と話しています。

ユニセフは「シラちゃんの声は、手足とともに夢も失った何千人ものガザの子どもたちの窮状を代弁している。子どもたちは誰ひとりこのような境遇におかれてはならない」として、即時停戦を求めています。

イスラエル軍とヒズボラ 攻撃の応酬続く

イスラエル軍と隣国レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの間では、攻撃の応酬が続いています。

先週にはヒズボラが2日間で300発以上のロケット弾を発射し、これに対してイスラエル軍もヒズボラの拠点を攻撃するなど、双方の間で緊張が高まっています。

イスラエルメディアは、アメリカの特使が17日にもイスラエルを訪れヒズボラとの間の戦闘についてイスラエル側と協議すると伝えていて、紛争の拡大を防ぐことができるか焦点になっています。

ハマス最高幹部「合意に達するため極めて真剣かつ柔軟に対応」

ハマスのハニーヤ最高幹部が16日声明を発表し、先にアメリカが公表した6週間の停戦と人質解放を含む3段階からなる新たな提案をめぐり「合意に達するため、極めて真剣かつ柔軟に対応してきた」などと述べ、ハマスとしては前向きに受け止めているとの考えを示しました。

そのうえでイスラエル側が柔軟に応じていないなどと非難していて、交渉が停滞する中、イスラエル側に揺さぶりをかけるねらいもありそうです。