巨大IT企業規制の新法成立 企業監視など行う体制の強化が課題

スマートフォンの分野で優越的な地位にある巨大IT企業を規制するための新たな法律が成立しました。規制の実効性を高めるには企業の監視や調査などを行う体制の強化が課題で、政府は専門人材の採用の拡充などを急ぐことにしています。

「スマホソフトウエア競争促進法」は、スマートフォンの基本ソフトなどの分野で優越的な地位にあるアップルやグーグルといった巨大IT企業に対し、競争を妨げる禁止行為をあらかじめ示して規制する法律で、6月12日に参議院・本会議で可決・成立しました。

新たな法律では公正取引委員会が、今後、指定する企業に対し、毎年度、規制の順守に向けた報告を求めるほか、違反した場合は、課徴金を支払わせることにしています。

公正取引委員会が規制の順守状況の監視や調査などの業務を担うことになりますが、現在、巨大IT企業に対応する人員は20人程度にとどまっています。

一方、ことし3月から巨大IT企業への新たな規制の本格運用を始めたEU=ヨーロッパ連合では、日本のおよそ5倍となる100人規模の体制をとっていて規制の実効性を高めるには、体制の強化が課題となっています。

このため、公正取引委員会は、デジタル分野の知見を持つアナリストや弁護士といった専門人材の採用の拡充などを進める方針で、来年末までに始まる本格運用に向けて対応を急ぐことにしています。