鹿児島県警 書類廃棄促すかのような文書 大崎事件弁護団が抗議

鹿児島県警察本部が捜査書類の廃棄を促すかのような内部向けの文書を出していたことについて、1979年鹿児島県大崎町で義理の弟を殺害した罪で服役した97歳の女性が無実を訴え、裁判のやり直しを求めている「大崎事件」の弁護団が「証拠の廃棄を指示するもので極めて深刻な問題だ」として抗議する声明を出しました。

鹿児島県警察本部の元生活安全部長に情報漏えいの疑いが持たれている事件で、元部長が札幌市のライターに向けて郵送した文書の中には、県警が去年10月、内部向けに出した「刑事企画課だより」が含まれ、関係者によりますと「再審や国家賠償請求訴訟などで捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません」などと捜査書類の廃棄を促すかのような記載があったということです。

これについて、1979年の「大崎事件」で再審=裁判のやり直しを求めている弁護団が16日記者会見を開き、声明を出しました。

これまでの再審請求では「証拠はすべて開示済み」とされたものの、弁護団の求めによってネガフィルム18本が開示された経緯があり、声明では「あるべき重要な証拠がいまだに開示されず、証拠が意図的に隠されていたり廃棄されたりした可能性があるという強い疑問を否定しえない。無罪を導く証拠の廃棄を指示するものとして、極めて深刻な問題で強く抗議する」としています。

大崎事件弁護団の鴨志田祐美弁護士は「無罪の証拠が紛れているという可能性が十分にある中で、組織的に『捨てろ』と指示されていたということはわれわれにとって無実を晴らす機会を奪われることで許しがたい暴挙だ」と話していました。