「平和サミット」和平案めぐり議論 共同声明採択できるか焦点

ウクライナの和平案について話し合うためスイスで開かれている「平和サミット」は16日、和平案の項目ごとに分科会を開いて議論が行われました。議論には、ロシアとの関係も重視する新興国も参加していて、各国が立場の違いを乗り越えて結束を確認し、共同声明を採択できるかどうかが焦点です。

ウクライナが提唱する和平案をめぐる国際会議「平和サミット」では、首脳級などが参加した初日の15日は、ゼレンスキー大統領が参加国などが100にも上ったと強調し「きょうは世界が公正な平和に向けて近づき始める日だ」と述べ、成果に期待を示しました。

欧米各国の首脳らはウクライナへの支援の継続を強調した一方で、サウジアラビアのファイサル外相は「困難な妥協」という表現を使い、和平の実現にはロシアを議論に参加させる必要があるという考えを明らかにしました。

また、トルコのフィダン外相も、「ロシアが同席していれば、このサミットはより結果重視のものになったかもしれない」と述べ、ロシアも参加させるべきだとする意見が相次ぎました。

16日は、10項目からなる和平案のうち、「原発の安全確保」と「食料安全保障」など3つの項目ごとに分科会を開いて議論が行われました。

外交筋によりますと、和平案のうち、ウクライナが強く求めてきた「ロシア軍の撤退」や「領土の回復」を議題としていないのは、ロシアとの関係も重視するグローバル・サウスと呼ばれる新興国の一部に配慮したからだということです。

ウクライナとしては、多くの国などが参加した会議で結束を確認してロシアへの圧力にしたい考えで、各国が立場の違いを乗り越えて共同声明を採択できるかどうかが焦点です。

新興国などの首脳や閣僚 “ロシアを議論に参加させるべき”

「平和サミット」では初日の15日、ロシアを議論に参加させるべきだという声が新興国などの首脳や閣僚から相次ぎました。

このうち、ケニアのルト大統領は「このサミットは単なる友人どうしの会合であってはならない。ロシアはテーブルについていなければならない」と述べ、ロシアの参加が必要だと訴えました。

また、トルコのフィダン外相も「ロシアが同席していれば、このサミットはより結果重視のものになったかもしれない」と述べたほか、サウジアラビアのファイサル外相も「平和のための道筋を作るには困難な妥協が必要であり、信頼できるプロセスのためにはロシアの参加は不可欠だ」と述べました。

中国「平和サミット」に参加せず

一方、ロシアと関係を深める中国も「平和サミット」に参加せず、これに対抗する形で中国の提案への支持を各国に働きかけているとみられます。

ロイター通信は、ウクライナがロシアの参加を拒み続けると対抗的な枠組みができるとしたうえで「ウクライナが主導権を失う恐れがある」と指摘する専門家の見方を伝えています。