プロ野球 交流戦 楽天が初優勝 球団創設から20年の節目で

プロ野球の交流戦は、首位の楽天が仙台市で行われた広島との試合に5対3で勝ち、同率で首位に並んでいたソフトバンクが阪神に敗れたため、楽天が球団創設20年の節目の年に初めての優勝を果たしました。

先月28日から始まった交流戦では楽天とソフトバンクが15日まで12勝5敗で首位に並んでいて、ともに最終戦となる16日の結果次第で優勝が決まる状況でした。

楽天は仙台市の楽天モバイルパーク宮城で行われた交流戦最後の試合でセ・リーグ首位の広島と対戦しました。

鈴木大地 選手

試合は楽天が2回に相手の2つのエラーなどで3点を先制し、3回には、交流戦では4番に入る鈴木大地選手が今シーズン初ホームランとなるツーランを打って序盤でリードを5点に広げました。

先発は3年目の松井友飛投手が務めましたがフォアボール4つとコントロールに苦しみ、4回から、好調なリリーフ陣による1イニングずつの投手リレーに入りました。

8回に1点を失い、9回は、抑えの則本昂大投手が2点を失いましたが、合わせて7人の投手リレーで序盤のリードを守って5対3で勝ち、交流戦が18試合になってから球団で過去最高となる13勝5敗で締めくくりました。

一方、首位でならんでいたソフトバンクは阪神に1対4で敗れたため、楽天が球団創設から20年の節目の年に初めての交流戦優勝を果たしました。

楽天 今江監督「球団の歴史に名を残せた」

楽天の今江敏晃監督は球団創設20年の節目の年に交流戦で初優勝したことについて「球団の歴史に名を残せたので、そういう意味でも非常にうれしく思う。ファンの皆さんに優勝を届けられて、恩返しできたのも非常にうれしい」と率直な気持ちを話しました。

優勝を引き寄せた16日の勝利については「交流戦をいい形で送れることができて最後もいい形で勝利を届けられてうれしい。相手のミスも絡みながら、鈴木大地選手がいいところで打ってくれたし、ピッチャーも最小失点でいってくれた。守備も頑張ってくれた」と振り返りました。

そして、同一リーグの対戦が再開する今後に向けて「優勝という大きないただきの景色を見るのはとてつもない険しい道だと思う。とにかく目の前の試合を一生懸命必死に戦って、またファンの皆さんと一緒にいただきの景色に向かっていきたい」と決意を新たにしていました。

浅村栄斗「このチームはもっと強くなれる」

野手のキャプテンをつとめる浅村栄斗選手は「交流戦ではあるがチームとしての優勝はとてもいいものだしいいきっかけになると思う。自分自身は打撃が不調でスタメンをはずれる試合もあったが若手選手には誰かに頼るのではなく自分がやるべきことをやるという気持ちが芽生えてきていて頼もしく見えた。このチームはもっと強くなれると思えたし、再開するレギュラーシーズンで1つでも上の順位を目指すためにも自分自身もっと頑張りたい」と話していました。

則本昂大「ベテランと若手がかみあっている」

投手のキャプテンで抑えの則本昂大投手は「きょうはベテランの鈴木大地選手がホームランを打ったしいい形でベテランと若手の力がかみあってきていると思う。一人一人やるべきことを練習からやっている結果が出たと思う」と話していました。

鈴木大地「自分でもびっくり」

鈴木大地選手は「優勝がかかる中で1球に対する雰囲気をすごく感じていて、より注目度がある中でプレーしたので、勝ててほっとしている」と率直な思いを話しました。

3回のツーランホームランについては「なんとかつなぎたいと思っていた。誰も思わないような結果なので自分でもびっくりしたしうれしかった。ホームランを打ったので4番らしいことをしたのかなと思うが、今江監督に勘違いするなと言われるのでしっかり切り替えたい」と笑顔で振り返りました。

また鈴木選手は、このホームランで、12球団すべてからホームランを打ったことになり、「狙って打てるものではないが、いいタイミングで打てたのは、自分にとっても大きかった」と話していました。

今後の戦いに向けては「交流戦はみんなでいい時間を過ごせたと思う。ここからまた勝負になるし、勝率5割とフラットな状態でまたリーグ戦を再開できるので『よーいどん』で動けるようにしっかり頑張りたい」と意気込んでいました。

交流戦 初優勝の軌跡

楽天は、交流戦に入ってから投打がかみ合い球団創設から20年の節目の年に初優勝を達成しました。

楽天は、交流戦に入る前までパ・リーグ5位、負け越しも「8」とリズムをつかめない状態でした。

交流戦は、まず1カード目のDeNA戦を勝ち越し、続くヤクルトとの初戦で9回に代打の代打で登場したフランコ選手が逆転のサヨナラスリーランホームランを打って大きく流れを引き寄せました。

プロ6年目で、1番を打つ小郷裕哉選手は、今月5日の阪神戦で1点を追う9回に試合をひっくり返す逆転ツーランホームランを打ったほか、11日の巨人戦では、1点差に詰め寄った9回にサヨナラ2点タイムリーツーベースを打つなど、試合の終盤で勝負強いバッティングを何回もみせました。

また、小郷選手と同学年で▽3番を打つ辰己涼介選手と▽交流戦から先発での出場が増えた6年目の渡邊佳明選手もチャンスを作るバッティングやフォアボールを選ぶなどみずからの役割を果たしました。

さらに主力の浅村栄斗選手の状態が上がらないなか、交流戦の途中から4番に座った34歳の鈴木大地選手が時には送りバントを見せるなど“つなぎ”の4番バッターとして存在感を示して打線を活性化させました。

投手陣では、4年目で左投げの藤井聖投手が打たせて取るピッチングを持ち味に、交流戦3戦で3勝、今シーズンから先発に転向した4年目の内星龍投手も150キロの速球を軸に2勝をあげる活躍をみせました。

さらに、抑えの則本昂大投手を中心としたリリーフ陣も好調で交流戦18試合で、7回以降の失点は10点と安定感が光りました。

交流戦前、チーム防御率は、12球団ワーストの4.07でしたが交流戦では、12球団で2番目となる2.29と大きく改善しました。

投打がかみ合った楽天は、交流戦が18試合になって以降、球団で過去最高となる13勝をあげて創設20年の節目の年に、初優勝を飾りました。

今月21日に再開する同一リーグとの対戦でも勢いを継続させて上位に浮上できるか注目です。