輪島市の洋菓子店「くまのおうち」は地震でオーブンが壊れたほか、従業員が避難して人手不足になりながらも菓子づくりを続けています。
店では地震で厳しい生活が続く中でも家族で父の日を祝い、楽しく過ごしてもらいたいと、コーヒーゼリーにカフェオレのムースでさまざまな父親の顔を描いた「お父さんカフェゼリー」を売り出しています。
ゼリーは人気を集め、朝9時の開店と同時に仮設住宅や避難所に住む人たちなど、客が次々と訪れて買い求めていました。
輪島市で被災し、金沢市のホテルに避難している20代の男性は「昔からこの店に通っていました。久しぶりに地元に帰り父と一緒にゼリーを食べながら話します」と話していました。
また、輪島市の20代の消防士は「地震が発生した時は火災や救助の対応で家に帰れませんでした。きょうは照れくさいですが、お父さんに直接会って『いつもありがとう』と伝えたいです」と話していました。
父の日 輪島の洋菓子店では“お父さんゼリー”が人気
父の日の16日、能登半島地震で被災した石川県輪島市の洋菓子店では、厳しい生活が続く中でも家族で楽しく過ごしてほしいと作った「お父さんゼリー」が人気で、仮設住宅や避難所に住む人たちが買い求めていました。
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店主の古川まゆみさんは「毎年の日常とは全く違う状況になってしまいましたが、いつもと変わらないものを味わってもらいたいと思いました。ゼリーを食べてほっこりと幸せな気持ちになってほしいです」と話していました。
仮設住宅に住む父に贈る人も
仮設住宅に住む父親に食べてもらおうと「お父さんゼリー」を買いに来た人もいました。
池上由紀美さんは、地震の前までは父親の寿さん(84)と同居していましたが、地震で自宅が壊れたため、いまは離れ離れで由紀美さんは輪島市内のアパート、父親の寿さんは仮設住宅に1人で暮らしています。
由紀美さんは16日、洋菓子店でゼリーを買ったその足で仮設住宅に向かい、父親に「お父さんゼリー」を手渡しました。
ゼリーをもらった寿さんは、早速もらったゼリーをほおばり「かわいらしくておいしい」と喜んでいました。
寿さんは「80年以上住んだ家を離れ1人で暮らすとは夢にも思わず、人生が真っ暗になってしまいました。こんな時に娘にゼリーをもらいありがとうという気持ちです」と話しました。
由紀美さんは「父に喜んでもらえてよかったです。少しでもうれしい気持ちが持てる時間があればいいと思いました。一緒に暮らしていた時は当たり前にできていたことが当たり前ではなくなったいま、一緒に何かを食べられることはありがたいなと改めて思いました」と話していました。