「ドクターイエロー」運行終了へ 東京駅では引退惜しむ声

「ドクターイエロー」の愛称で親しまれている新幹線の検査専用車両が運行を終えることが発表されたことを受けて、14日車両が運行された東京駅でも引退を惜しむ声が聞かれました。

「ドクターイエロー」は、東海道・山陽新幹線の線路を走行しながら、線路にゆがみがないかや、設備に異常がないかなどを検査する車両です。

老朽化などを理由に、JR東海の車両は来年1月に、JR西日本の車両は2027年をめどに運行を終えることが13日、発表されました。

14日午前、線路の検査を行うためにJR東海の車両が運行された東京駅では写真を撮影する人の姿がみられたほか、引退を惜しむ声も多く聞かれました。

30代の女性は「鉄道が好きな1歳の息子と新幹線を見に来たら、ドクターイエローを見ることができて驚きました。引退はさみしいです」と話しています。

今のドクターイエローは、700系の新幹線をもとに作られた7両編成の車両で、およそ10日に1度の頻度で走行していますが、イベントなどを除けば一般の客は乗ることができず時刻表も公表されていません。

JR東海は「ドクターイエロー」の撮影会や体験乗車などができるイベントを計画しているということです。

新大阪駅に運行 居合わせた人が記念撮影など 引退惜しむ

引退の発表から一日がたった14日夕方、線路などの検査を行うため、JR東海の車両が新大阪駅に運行され、数十分間、停車しました。ホームに居合わせた人たちは驚いた様子で写真撮影をしていました。

「ドクターイエロー」は、イベントなどを除けば一般の客は乗ることができず、時刻表も公表されていないため、「見かけると幸せが訪れる」などと言われています。

大阪・東大阪市の20代の男性は「黄色の車体が大好きで引退と聞いて驚きました。あと少しの間ですが、新幹線の安全を守ってもらいたいです」と話していました。

千葉県から来た40代の女性は「ドクターイエローが来ると聞いて、近くのホテルから駆けつけました。初めて見ることができて幸せな気持ちです」と話していました。

JR東海は撮影会や体験乗車などができるイベントを計画しているということです。

JR東海 新たな検査車両 2026~2028年度にかけて導入へ

JR東海は「ドクターイエロー」の運用を終えた後に、検査を行う新たな新幹線車両を2026年度から2028年度にかけて合わせて17編成導入する方針を発表しました。

それによりますと「のぞみ」や「ひかり」などとして運行されている「N700S」と呼ばれる車両に専用の機器を取り付けることで、乗客を乗せた営業運行をしながら検査を行うことが可能になったということです。

17編成のうち、4編成については「ドクターイエロー」だけが行うことができたレールのゆがみやパンタグラフの検査が可能だということでセンサーなどを活用することでより詳細な確認もできるようになるとしています。

JR東海の丹羽俊介社長は、14日の定例の会見で「ドクターイエローの老朽化が進む中で検査技術が整備され、引退という判断をした。営業車両に検査機能を備えることで検査の頻度も高まる」と述べました。

そのうえで「長年にわたりドクターイエローをご愛顧いただき感謝いたします。引退まではまだ少し時間があり、撮影会や体験乗車も企画しているので期待していただきたい」と述べました。

斉藤国交相「『本当にご苦労さま』ということばをかけたい」

「ドクターイエロー」の愛称で親しまれている新幹線の検査専用車両が引退することについて、鉄道ファンとして知られる斉藤国土交通大臣は、14日の閣議後の会見で「端的に申し上げると非常にさみしい思いだ。新幹線は、非常に長い歴史があるが、これまで鉄道事業者に起因する死亡事故はゼロでその安全の根幹となる一つの大きな柱が、ドクターイエローだったと思う。『本当にご苦労さま』ということばをかけたい」と述べました。