【詳細】イスラエル・パレスチナ 中東情勢(6月13日)

イスラエルとイスラム組織ハマスの間で続く戦闘について、国連の調査委員会は双方に戦争犯罪にあたる行為があったとする報告書をまとめ、一刻も早い停戦と人質の解放を求めました。

※中東情勢に関する日本時間6月13日の動きを随時更新してお伝えします。

イスラエル軍 “ハマスの戦闘員十数人を殺害”

ガザ地区への攻撃を続けるイスラエル軍は南部のラファや中部でハマスの戦闘員十数人を殺害したと13日、発表しました。

パレスチナの地元メディアは、イスラエル軍がラファの海岸沿いにある住民の避難先とされた「人道エリア」を攻撃したと伝えましたが、イスラエル軍は「報道とは異なり、『人道エリア』は攻撃していない」と否定しています。

国連調査委 “イスラエルとハマス双方に戦争犯罪にあたる行為”

こうした中、国連人権理事会の調査委員会は去年末までのイスラエルとハマスの戦闘についての調査結果をまとめ、12日、報告書を公表しました。

報告書では、イスラエルとハマス双方に戦争犯罪にあたる行為があったと指摘し、イスラエル軍についてはガザ地区で食料不足を引き起こし、戦争の手段として飢餓を用いたほか、民間人や民間施設を意図的に攻撃したり、強制的に住民を退避させたりしたことが戦争犯罪にあたるとしています。

ハマス側については、イスラエルへの越境攻撃で民間人を意図的に攻撃して殺害し、子どもを含め人質に取ったことなどが戦争犯罪にあたるとしています。

そのうえで、イスラエルには直ちに攻撃を停止して人道支援物資の搬入を可能にするよう求め、ハマスに対しては人質を解放するよう求めています。

停戦と人質の解放に向けた交渉では、ハマス側が提案内容に多くの変更を求めてきたとアメリカ側が明らかにするなど、引き続き難航しているとみられます。

“ただ停戦が実現して欲しい” ガザ住民の声も交渉は難航

ガザ地区での戦闘をめぐってアメリカが公表した6週間の停戦と人質解放を含む3段階からなる新たな提案について、ハマスは11日、仲介国のカタールとエジプトに回答を伝えたと明らかにしています。

提案を巡る交渉が続くなか、ガザ地区の南部のハンユニスで住民に話を聞くと、一刻も早い合意の実現を望む声が多く聞かれました。

このうち35歳の男性は「ただ停戦が実現して欲しい。避難している住民を家に戻れるようにして、飢えに苦しむ人たちに支援物資を届けることが必要だ」と訴えていました。

ただ停戦を巡る交渉はたびたび行き詰まってきた上に、今回もイスラエル側とハマス側が互いに「相手側が提案を拒否している」と非難しあっていると伝えられるなど、難航がうかがえます。

このため別の男性は「交渉についてはもう何も信じられない。バイデン大統領が何を言ってもイスラエルは攻撃を強めるだけだ」と話すなど停戦の実現に懐疑的な声もあがっていました。

“ヒズボラがイスラエルに向け170発以上のロケット弾を発射”

イスラエルメディアは12日、隣国レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが、イスラエルに向けて170発以上のロケット弾を発射したと伝えました。

死者やけが人は出ていないものの、去年10月以降で最大規模の攻撃だということです。

11日にヒズボラの指揮官を含む4人がイスラエル軍の攻撃で殺害されたことに対する報復だとみられ、事態のさらなる悪化が懸念されています。

新たな提案に米国務長官“ハマス側から多くの変更求める回答”

イスラエルとハマスの間では、先にアメリカが公表した6週間の停戦と人質解放を含む3段階からなる新たな提案をめぐって交渉が続けられていて、仲介にあたるエジプトとカタールは11日、ハマス側から提案への回答があったことを発表しました。

これについて、アメリカのブリンケン国務長官は12日、訪問先のカタールで行った記者会見で、ハマス側が提案に対し、多くの変更を求めてきたと明らかにしました。

ブリンケン長官は「変更は可能なものもあれば、そうではないものもある。今後もカタールやエジプトとともに合意に向けて働きかけを行う」と述べ、交渉を続ける考えを示しました。

その上で「ハマスはこの先も応じないかもしれないが、それはみずから始めた戦闘を続ける選択をしたことになる」として、提案に応じるよう強く求めました。

一方でブリンケン長官は「双方の溝を埋めることは可能だと信じているが、その保証はない」とも述べ、アメリカが目指す早期の合意に至るかどうかは一段と不透明になっています。

“ガザ地区の人道状況改善へ外交努力を” 衆議院で決議採択

イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘が長期化する中、衆議院は13日の本会議で、ガザ地区の人道状況の改善と事態の早期沈静化のために外交努力を続けるよう政府に求める決議を賛成多数で採択しました。

決議では、イスラエルとハマスとの戦闘の長期化をめぐり「子どもや女性、高齢者を含む多くの死傷者が発生するなどガザ地区は危機的な人道状況にある」と指摘し、即時の停戦を求めるとともに、南部のラファでの全面的な軍事作戦に反対するとしています。

そのうえで、政府に対し人質の解放と停戦が実現するよう関係国と緊密に連携して取り組むとともに、ガザ地区の人道状況の改善と事態の早期沈静化のため外交努力を続けるよう求めています。

決議は自民党や立憲民主党などの賛成多数で採択され、上川外務大臣は「ガザ地区の人道状況の改善と事態の早期沈静化に向けて全力を尽くしていく」と述べました。

“アスリートら300人超死亡”パレスチナオリンピック委員会

パレスチナオリンピック委員会のラジューブ会長は12日、ヨルダン川西岸のラマラで記者会見を開き、来月開幕するパリオリンピックにパレスチナ代表として出場が確定しているのは、現時点でテコンドーの選手1人だと明らかにしました。

そのうえで、最終的に出場する選手は6人から8人になるという見通しを示し、このうち3人が戦闘が続くガザ地区出身だとしています。

また、ラジューブ会長は、去年10月以降、これまでに300人を超えるアスリートや審判員などが死亡したほか、ガザ地区にあるスポーツ施設が破壊されたことも明らかにしました。

そして、戦闘の影響でウエイトリフティングの選手が体重を20キロも落としてしまうなど、多くのアスリートが困難な状況に置かれていると訴えました。