広島 大瀬良大地がノーヒットノーラン達成 ロッテ戦で

プロ野球、広島の大瀬良大地投手が7日夜、広島市のマツダスタジアムで行われた交流戦のロッテ戦で、ノーヒットノーランを達成しました。プロ野球でのノーヒットノーランは5月24日に巨人の戸郷翔征投手が達成したのに続き今シーズン2回目で、史上90人目、102回目です。

広島 大瀬良がノーヒットノーラン 史上90人目

大瀬良投手は7日夜のロッテ戦に先発し、立ち上がりからキレのある変化球を軸に打たせて取るピッチングでロッテ打線を抑えました。

打線は4回、2アウト一塁三塁のチャンスで2番の野間峻祥選手の2点タイムリースリーベースで先制し、6回にも2点を追加して4対0と大瀬良投手を援護しました。

大瀬良投手は9回、2アウトをとってから2者連続でフォアボールを出しましたが、4番のポランコ選手をライトフライに打ち取り、最後までヒットを許さずに129球を投げきってノーヒットノーランを達成しました。

プロ野球でのノーヒットノーランは5月24日に巨人の戸郷翔征投手が達成したのに続き今シーズン2回目で、史上90人目、102回目です。

また広島でのノーヒットノーラン達成は2012年4月6日、現在は大リーグでプレーする前田健太投手が達成して以来、12年ぶりです。

新井監督と抱き合う大瀬良投手

大瀬良大地「まだ信じられない」

ノーヒットノーランを達成した大瀬良大地投手は試合後のヒーローインタビューで「ちょっとまだ信じられない。自分のことじゃないような気持ちです」と率直な心境を語りました。
広島でのノーヒットノーラン達成が現在は大リーグでプレーする前田健太投手以来12年ぶりと知らされると「そういった記録には無縁だと思っていたので、きょうも粘り強く投げたいなと思っていました」と謙虚に答えました。

9回のピッチングについては「いつ打たれるかなと思いながらバッターと対戦していたんですが、マウンドに上がるときに大歓声を受けて、せっかくここまできたなら皆さんの前で達成できたらいいなと思い、最後の気力を振り絞って頑張りました。最後のライトフライを野間選手がちゃんと取ってくれるかなと思いながら、すごく大事に取ってくれて、最高の瞬間を皆さんと分かち合えて本当に幸せです」と話していました。

そして「僕自身は次の登板が大事だと思っているので、また次に向けて頑張ります」とエースとして次の登板に向けて意気込んでいました。

新井監督「これが本来の大地だ」

広島の新井貴浩監督は大瀬良投手について「何も言うことがない。私も7回からどきどきしていたが彼には何も言わずにいた。なかなかお目にかかれないものを見せてくれて、すばらしかった」と興奮した様子で振り返りました。

そのうえで「いつもどおり丁寧なピッチングだった。相手に流れが行きかけたところで大地が流れを持ってきてくれた。球数も増えていたが『大地頑張れ』とベンチで見ていた。去年は悔しいシーズンになり、ことしも5年続いていた開幕投手が途切れて『よし、見とけよ』とスタートしたシーズンだと思う。これが本来の大地だ」とたたえていました。

復活のノーヒットノーラン

「ちょっとまだ信じられない。自分のことではないような気持ち」

ノーヒットノーランを達成した直後に大瀬良投手が語ったことばです。プロ野球史上90人目の偉業は2回の右ひじの手術を乗り越え、プロ11年目でたどり着いたものでした。

大瀬良投手は150キロを超えるストレートが持ち味の本格派ピッチャーとして2014年にドラフト1位で広島に入団すると期待どおりの活躍を見せてきました。1年目に10勝をマークして新人王に輝くと、5年目の2018年には15勝7敗で最多勝と最高勝率の2つのタイトルを獲得して広島のリーグ3連覇に大きく貢献。チームのエースに成長しました。しかし、その後の道のりは順調なものばかりではありませんでした。

2020年に右ひじの手術を経験してシーズン途中で離脱するとここ数年は思うような成績を残せず、昨シーズンは6勝11敗と大きく負け越し、悔しい1年を過ごしました。こうした中、大瀬良投手は去年10月、プロでは2回目の右ひじの手術を受けました。

「このままずるずる行くと終わっていくだけ。しっかり結果で信頼してもらえるようにしたい」と強い覚悟を持って今シーズンに臨みました。
キャンプは手術の影響でスローペースでの調整となり、去年まで5年連続で務めていた開幕投手は同い年の九里投手に譲りましたが順調にリハビリを進めてオープン戦でも結果を残し、開幕ローテーション入りを果たしました。若手のときのようにストレートを主体に押し込む場面は少なくなりましたが、得意のカットボールを中心にフォークボール、スライダー、シュートなど多彩な変化球を操るようになりました。

きのうまで8試合に先発して防御率1.27と安定した投球を続けて迎えたきょうのロッテ戦。すべての球種を低めに集める理想のピッチングでテンポよく打たせて取り、8回までノーヒットに抑えました。ファンの大歓声に後押しされて上がった9回のマウンドはツーアウトから2者連続でフォアボールを出し、4番のポランコ選手を迎えました。ここでマウンドに広島の内野陣が集まり、ともに主力としてチームを支えてきた菊池選手を中心に「あと1つのアウトをみんなで取ろう」と声をかけてもらい、「打たせるから頼むよ」と応じたといいます。そして、この日の129球目。ライトフライに抑えて27個目のアウトを取るとマウンドに歓喜の輪が広がりました。

試合のあと、「いろんな方の支えがあってマウンドに立てている。苦しいこともいっぱいあったが、そのつど糧にして学びながらやってきた」とこれまでの歩みを振り返った大瀬良投手。新井監督も「去年の成績や5年続いた開幕投手が途切れて悔しさを持ってスタートしたシーズンだと思うが、彼の気持ちがずっと伝わっている。これが本来の大地だ」とたたえました。

大瀬良投手は今シーズン3勝目をあげ、防御率はリーグトップの1.07となりましたが、「喜びに浸れるのは1年が終わってから。次の登板が大事なので頑張りたい」と次を見据えていました。2回の右ひじの手術や不本意なシーズンも経験し、一回り大きくなった広島のエースが復活を強く印象づけました。

広島の投手では5人目

広島のピッチャーによるノーヒットノーランはこれまで
▽完全試合を含めて3回達成した外木場義郎さん
▽藤本和宏さん
▽前監督の佐々岡真司さん
▽前田健太投手の4人が達成し、
大瀬良大地投手で5人目です。

また2012年に前田投手が達成した際は横浜スタジアムでの試合で、2009年に完成したマツダスタジアムでのノーヒットノーランは初めてです。

【投球内容:31人の打者と対戦】

129球を投げ27個のアウトのうち
▽外野フライ:11個
▽内野ゴロ:10個(このうち1個がダブルプレー)
▽三振:2個
▽内野フライ:2個
▽内野へのライナー:1個

▽与えたフォアボール:5個

◇大瀬良大地(おおせら・だいち) 新人王も獲得したエース

プロ初勝利で野村監督が祝福(2014年4月)

広島の大瀬良大地投手は長崎県出身の32歳。2014年に九州共立大からドラフト1位で広島に入団しました。身長1メートル88センチから投げ込む150キロを超えるストレートとバッターの手元で鋭く曲がるカットボールが持ち味の本格派の右ピッチャーで、1年目から開幕ローテーションに入って10勝8敗の成績を残し、新人王に輝きました。

5年目の2018年のシーズンには15勝7敗をマークして最多勝と最高勝率の2つのタイトルを獲得するなどリーグ3連覇に貢献しました。

2020年のシーズンは右ひじの手術もあって5勝にとどまりましたが、2021年は5回目の2桁勝利をあげるなど、広島のエースとして去年まで5年連続で開幕投手を務めました。

今シーズンは去年のオフに受けたプロで2回目の右ひじの手術の影響もあって、開幕投手は逃しましたが、開幕ローテーションに入ってきのうの時点で先発で8試合に登板して2勝0敗、防御率1.27と安定したピッチングを続けていました。