パプアニューギニア地滑り 被害把握や救助活動難航で支援要請

南太平洋のパプアニューギニアで発生した地滑りは、道路が寸断されるなどして、山岳地帯の現場に、近づくことが難しいため、被害の全容の把握や救助活動は難航しており、パプアニューギニア政府は、国際社会に支援を要請しています。

パプアニューギニアでは今月24日、首都ポートモレスビーから北西に600キロほど離れた山間部のエンガ州で地滑りが発生しました。

これまでのところ、死者やけが人、さらに不明者の正確な数など、被害の全容はわかっていません。

こうした中、国連のIOM=国際移住機関は、670人以上が犠牲になった可能性があるとしています。

またオーストラリアの公共放送ABCなどは、パプアニューギニアの当局が、国連に宛てた書簡の中で、2000人が土砂に埋まっている可能性があると伝えたと報じています。

現場周辺は、山岳地帯で、地理的な条件が厳しいうえに、周辺の道路も寸断されていることから救助活動は難航しています。

パプアニューギニア政府は国際社会に支援を要請していて、隣国のオーストラリア政府は「数日のうちに具体的な支援を決める」としています。

現場周辺では、今後も土砂崩れの危険があることや、近隣では、地元住民どうしの抗争もしばしば発生しているため、支援が確実に届くには、時間がかかるという見方も出ています。

住民の女性「家族18人ががれきと土に埋まった」

南太平洋のパプアニューギニアで発生した地滑りに家族が巻き込まれたという住民の女性は、ロイター通信の取材に対し「家族のうち18人ががれきと土に埋まってしまった。私には救出することができず、なすすべもなく立ち尽くしている」と厳しい現状を訴えました。

国連のIOM=国際移住機関のパプアニューギニアの担当者は「住民は、農具や素手を使って、救助しようとしている」としたうえで「地滑りと落石はいまも続いている。重いがれきの下から救出するのは非常に困難だ」と話しています。

そのうえで、現場は水が流れていて、滑りやすくなっているということで「地面を滑り台のような状態に変えてしまうのではないかと恐れている」と述べ、今後も地滑りが発生して、さらに被害が広がるおそれを指摘しています。