関東で強い雨 引き続き土砂災害や川の増水に十分注意

前線や低気圧の影響で28日西日本から東日本にかけての太平洋側を中心に大雨となり、この時間は関東で強い雨が降っているところがあります。これまでの雨で地盤が緩んでいるところや増水している川があるため、引き続き、土砂災害や川の増水に十分な注意が必要です。

西日本から東日本の太平洋側を中心に各地で大雨

気象庁によりますと、28日は前線を伴った低気圧に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、西日本から東日本の太平洋側を中心に各地で大雨となりました。

関東や静岡県などで雨が強まっているところも

午後10時半までの24時間に降った雨の量は
▽岐阜県高山市久々野で278ミリに達し、統計を取り始めてから最も多くなりました。
また、▽高知県香美市の繁藤で午後2時20分までの12時間に305ミリ、
▽徳島県三好市東祖谷で午後3時までの12時間に244.5ミリに達したほか、
▽鹿児島県南大隅町で正午までの24時間に218.5ミリといずれも5月としては統計を取り始めてから最も多くなりました。

この時間は関東や静岡県などで雨が強まっているところがあります。

明け方にかけ東日本や東北の太平洋側中心に局地的に激しい雨

前線を伴った低気圧が太平洋側を北東へ進むため、29日の明け方にかけて東日本や東北の太平洋側を中心に局地的に雷を伴って激しい雨が降り、風が強まるおそれがあります。

これまでに降った雨で地盤が緩んでいるところや増水している川があるため、引き続き、土砂災害や低い土地の浸水、川の増水に十分注意が必要です。

また、落雷や竜巻などの激しい突風、ひょうに注意し、発達した積乱雲が近づく兆しがある場合には、頑丈な建物の中に移動するなど、安全を確保してください。

台風1号 29日昼過ぎ大東島地方に接近へ

一方、強い台風1号は、沖縄の南の海上を北東へ進んでいます。あす昼過ぎには沖縄県の大東島地方に接近する見込みで、強風や高波に十分な注意が必要です。

28日までの影響は

千葉 市川 女性が風にあおられて転倒しけが

千葉県では28日夜遅くから風や雨が強まり荒れた天気となり市川市では駅前を歩いていた女性が風にあおられて転倒しけがをしました。命に別状はないということです。

消防によりますと、28日午後9時前、市川市の東京メトロ東西線の行徳駅前で「女性が転倒して頭を負傷した」と通りかかった人から通報があったということです。

女性は60代で強風にあおられた影響で頭を打ちつけていて、市内の病院に搬送されましたが、会話はでき、命に別状はないということです。

また、長南町では28日午後9時40分ごろ「落雷で木が倒れている」と住民から消防に通報があり倒木により住宅の一部が壊れたほか、市川市や流山市でも強風により倒木が道をふさいでいるといった通報が複数寄せられ、消防が撤去するなどの対応をしたということです。

さいたま 国道わきの街路樹倒れる

さいたま市浦和区常盤では、28日午後9時前、国道17号線の脇に植えられた街路樹のうち1本が倒れました。

倒れた木によって片側1車線の道路の半分が塞がれ、警察官が確認にあたる中、車は木をよけて注意深く走っていました。

警察によりますと、この倒木によるけが人はいないということです。

さいたま市では28午後8時半前、19.4メートルの最大瞬間風速を観測していました。

宮崎 日南 県道が通行止めに 観光客や住民に影響

大雨の影響で宮崎県日南市では県道が通行止めとなり、観光客の移動や住民の生活に影響が出ています。

日南土木事務所によりますと、日南市にある鵜戸神宮の駐車場につながる県道433号線では斜面の石が崩落し、午前7時半から通行止めが続いています。

石は直径30センチほどのものもあり、幅およそ9メートルの道路の中央付近まで散乱しています。

現場では通行止めになっていることを知らず、駐車場に向かおうとして引き返す車も見られました。

また、地元の自治会長によりますと現場の奥には高齢の夫婦の住宅が1軒あるということです。

県はまだ崩落のおそれがあるとして、29日以降、復旧作業に取りかかることにしています。

鵜戸地区の杉原実 自治会長(60)は「けさ5時半くらいに崩れているのを確認しました。高齢の夫婦がデイサービスに行けず困っているので早く復旧してほしいです」と話していました。

大阪から鵜戸神宮に観光でやってきたた田中良美さん(56)は「ナビに従ってきたら通行止めでした。天候が悪い時に来てしまい、ドキドキしながら運転していますが別の道から鵜戸神宮に行こうと思います」と話していました。

岡山 倉敷市の県道で路肩崩れる けが人なし

岡山県倉敷市の県道で、路肩が崩れているのが見つかりました。

大雨の影響とみられ、県は付近を通行止めにして復旧することにしています。

路肩が崩れたのは、倉敷市大畠の県道21号線で、管理する県の備中県民局によりますと、現場を通りかかった倉敷市の職員が見つけたということです。

現場は片側1車線の道路で、崖側の車道がおよそ30メートルにわたって崩れ、脇のガードレールがぶら下がった状態になっています。

けがをした人はいないということです。

県は大雨の影響で崩れたとみていて、この場所を中心におよそ900メートルの区間を通行止めにして、今後、復旧作業を進める方針です。

また、現場近くのホテルによりますとこのホテルの敷地に土砂などが流れ込みましたが、こちらもけが人はいないということです。

愛媛砥部町 住宅の敷地に泥水 けが人などなし

この大雨で、愛媛県砥部町では、住宅の裏山の水路から泥水があふれて家の敷地に流れ込みましたが、けが人などはいませんでした。

砥部町によりますと、28日午前10時前、町内の川井地区で住宅の裏山の水路から泥水があふれて家の敷地に流れ込みました。通報を受けて駆けつけた消防などが、土のうを積むなどして泥水の流入を防いだ結果、住宅に被害はなく、けが人などもいませんでした。

町によりますと、町内では、このほかにも、裏山から泥水が住宅の敷地に流れ込んだという情報が複数寄せられましたが、いずれもけが人などはいなかったということです。

京都 嵐山では雨がっぱを着た外国人観光客の姿

大雨となった28日、京都市の代表的な観光地、嵐山では、雨がっぱを着たり、傘を差したりして観光する外国人観光客の姿があちこちで見られました。

屋根がある休憩所で雨宿りしていたアメリカからの団体客は「ハーフパンツを履いてきたから寒い」とか、「レインブーツが必要なくらいこの雨はひどい」などと話していましたが、楽しみにしていた観光地に行きたいとして、雨の中、出かけていきました。

ただ、地元の商店街の組合などによりますと、28日は半分ほどの店舗がシャッターを閉めていて、このうち、桂川の中州にある飲食店や土産店はおよそ半分が休業したということです。

渡月橋のたもとの土産店は、昼すぎから雨が強くなってきたことから、通常よりも3時間早く閉店することを決めました。

この土産店の早田一郎 社長は「午前中は修学旅行生もたくさん来てくれましたが、だんだん人も少なくなってきたので、安全を考えて早めに店を閉めて対策します」と話していました。

また、ボートや屋形船を運航する会社は水位が上がると見込み、28日と29日の休業を決めました。

28日朝から100台のボートを陸にあげたほか、係留している屋形船の中にたまった雨水をかきだす作業を行っていましたが、午後1時半ごろには、さらに雨が強くなり船着き場が浸水したことから屋形船を陸にあげていきました。

運航会社の小島義伸 社長は「通常は前日までに準備して備えるのですが、今回はこれほどの雨になるとは思わず、バタバタしました。水位が下がらないと危険なので予約を断っています」と話していました。

愛媛県では臨時休校も

大雨の影響で、愛媛県内では臨時休校などの措置をとる学校が相次ぎました。
NHKが愛媛県内の市と町に取材したところ、宇和島市の小学校22校のほか、今治市の小学校2校と中学校1校の、あわせて25校が臨時休校しました。

また、西条市と久万高原町の一部の小学校で午後の授業を取りやめ、児童を保護者に引き渡すなど、県内各地で下校時間を早める措置をとった学校もあったということです。

名古屋地方気象台「明るい時間の避難 迷わず行動を」

「線状降水帯」が発生して、大雨災害の危険度が急激に高まる可能性があるとして、28日午前、名古屋地方気象台や中部地方整備局などが合同で会見を開きました。

この中で、名古屋地方気象台の吉村香気象防災情報調整官は「線状降水帯が発生すれば、ある特定の場所に局地的に数時間にわたって激しい雨が降り続き、河川の増水や土砂災害の危険性が大変高まる。最新の気象情報や自治体の避難情報を確認しながら、避難の準備や、明るい時間の避難をお願いしたい。迷わず行動していただきたい」と話しました。

また、国土交通省中部運輸局の小松田始安全防災・危機管理調整官は「自動車は水深が深い場所を走行できるように設計されていないので、冠水した道路には、安易に侵入しないよう注意してほしい。また、今後の雨の降り方によっては、鉄道にも運転見合わせや遅れが生じる場合があり、各社の出す最新の情報を確認してほしい。駅などの混雑が考えられ、余裕を持った行動をお願いしたい」と話しました。

鹿児島地方気象台「線状降水帯発生で予想以上の大雨に」

鹿児島地方気象台は27日午前11時半から会見を行い、山下一実主任予報官が「線状降水帯が発生すると現在予想している雨量以上の大雨になる。事前の心構えを一段と高めてほしい」と述べました。

そのうえで「土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重に警戒してほしい。家の近くの側溝のゴミを取り除いたり、避難場所を確認したりするなど今できることをしてほしい」と述べ明るいうちに備えを進め、厳重に警戒するよう呼びかけました。

九州地方整備局「ハザードマップで浸水リスク確認を」

福岡管区気象台と九州地方整備局は合同で記者会見を行い、福岡管区気象台の永田和也気象防災情報調整官は、「警戒レベル4相当の土砂災害警戒情報を発表するおそれがあり、大雨災害の危険度が急激に高まるおそれがある。土砂災害や低い土地の浸水などに厳重に警戒してほしい」と呼びかけました。

九州地方整備局の中元道男河川調査官は、「気象庁が線状降水帯の予測を出したということは、危険度が高いということだ。ハザードマップのポータルサイトなどを活用して、自分の家や家族の家の近くの浸水リスクを確認してほしい。また、河川の水位情報に基づき、空振りを恐れず、早めの避難をしてほしい」と述べ、事前の対策や準備を呼びかけました。

気象庁 線状降水帯の新たな運用を前倒し

線状降水帯は、発達した積乱雲が次々と発生し、同じ場所に帯状に連なる現象で、2018年の西日本豪雨や2020年の7月豪雨など、これまでの豪雨災害でも繰り返し起きています。

気象庁は、6時間から12時間ほどあとに線状降水帯が発生して大雨となる可能性が高いと予測された場合、全国を11のブロックに分けた地方単位で警戒を呼びかけてきました。

その後、予測の精度が高まったとして、28日の午前9時から範囲を絞り込む新たな運用を始めることにしていましたが、27日夜から前線に伴う大雨が予想されるとして、急きょ予定を一日前倒ししました。

新たな運用に伴い、発表の単位は多くが県ごとになりますが、面積が大きい北海道は7つ、多くの島が連なり気象の特性も異なる東京都は3つ、鹿児島県は2つ、沖縄県は4つに、それぞれ分かれます。

気象庁は「線状降水帯が発生すると災害のおそれがあるため、情報が発表されたら、気象庁のホームページを見るなどして、大雨に対する心構えを一段高めてほしい」と話しています。