プロ野球 西武 松井稼頭央監督が休養へ 渡辺久信GMが監督代行

プロ野球、パ・リーグで最下位に沈む西武は松井稼頭央監督が、休養すると発表しました。今後は渡辺久信ゼネラルマネージャーが監督代行を務めるということです。

西武 松井稼頭央監督が休養 監督代行は渡辺久信GM

球団によりますと、チームを率いて2年目となる松井監督と球団の間で協議した結果、26日の試合を最後に松井監督が休養し、28日始まる交流戦から渡辺ゼネラルマネージャーが監督代行を兼務してチームの指揮を執ることが決まったということです。

松井監督は48歳。2018年に現役を引退し、翌年から西武の2軍監督や1軍のヘッドコーチを経て監督に就任し、1年目の昨シーズンは5位に終わりました。

巻き返しを図った2年目の今シーズンは、開幕後に3カード連続で勝ち越し、一時首位に立つ場面もありましたが、その後は極度の打撃不振に加えてリリーフ陣の不調も目立つようになり、今月に入り8連敗を喫するなど不振が続いていました。

交流戦前の最後の試合となる26日はオリックスに勝ちましたが、試合を終えた時点で15勝30敗で首位のソフトバンクに15.5ゲーム差をつけられて最下位と苦しい戦いが続いています。

松井監督は球団を通じて「厳しい戦いが続いている中変わらず声援を送り続けて下さるファンの皆さまの期待に応えられず、大変申し訳なく思っております。昨年からこのチームを率いて選手たちの成長には手応えを感じていましたが、それを結果につなげることができなかったのは指揮官である私の責任です」とコメントしています。

松井監督「結果の世界だ。受け入れている」

松井監督は休養発表後の午後7時前に球場の外に姿を見せ、報道陣の取材に対応し「結果の世界だ。こういう結果なので受け入れている」と厳しい表情で話しました。
試合後には選手たちと話す場面もあったということで、松井監督は「勝ちに結び付けることができなくて申し訳ない。もっと一緒にやりたかった。結果の世界なので残りも頑張ってほしいと伝えた」と明かしました。
また、監督の難しさについて問われると「勝ち負けというのは監督の責任で、勝ちながら若い選手を育てるというところも含めて自分が結果を出せなかった」と振り返りました。
そのうえで選手については「若い選手が少しずつ成長してきているので、そこはこれから楽しみなのかなという思いはある」と話しました。

一方、球団との話し合いの中身や休養に入った経緯については「ノーコメント」と話しました。

松井監督は取材後、球団のスタッフに見守られ、大量の荷物が載せられたみずからの車で球場をあとにしました。

渡辺久信GM「自分がやるしかない」

監督代行を務める渡辺ゼネラルマネージャーは、26日の試合後に会見を開き、松井監督が休養に入った経緯などを説明しました。
渡辺ゼネラルマネージャーによりますと、球団内では成績が低迷していることからここ数日話し合いが重ねられ、26日の試合後に松井監督と球団で話し合いの場をもって、正式に休養が決まったということです。

ほかのコーチではなく、現場から離れているゼネラルマネージャーが代行を務めることになった経緯については「球団関係者と協議して決まった」としたうえで「私もGMとして今の成績に非常に責任を感じていたし、球団からは『この状況を打破していくにはGMしかいない』と言われた」と話しました。

今後、コーチについては現在の体制のまま進めていくということです。
また、戦力強化のための新外国人選手の獲得やトレードに関しては「今のところ決まったことはない」と答えました。

2008年 西武が日本一 胴上げされる渡辺久信監督

渡辺ゼネラルマネージャーは、2008年から6シーズンにわたって西武の監督を務め、このうち就任1年目の2008年にはチームを日本一に導いています。

11年ぶりの現場復帰となることについて「11年前にやめたときは現場に戻らないつもりでいたが、今回こういう状況で自分がやるしかないと思っている。多少は不安なところはあるが、私は6年間監督をした経験もある。自信を持ってチームを引っ張っていきたいと思うし、コーチにも『おれについてきてくれ』という話はした」と力強く語りました。

そして、優勝を第一目標にしながらもまずは3位以内を目標にしていくということで、ファンに向けては「厳しいシーズン、タフな戦いになると思うが、ファンの皆さんの期待に応えられるよう、私もプロ野球人生をかけて挑んでいきたい」と決意を示しました。

◇西武 今シーズンは深刻な打撃不振

松井監督と渡辺GM(2024年2月)

今シーズンの西武は、深刻な打撃不振で成績が低迷し、結果的に松井監督の休養を招く要因となりました。

かつては「山賊打線」とも言われた圧倒的な攻撃力が持ち味の西武打線でしたが、浅村栄斗選手や森友哉選手、山川穂高選手など、中心バッターが次々とほかのチームに移籍し、新たに打線の中心を担う選手が出てきていないのが現状です。

26日の試合を終えた時点のチーム打率2割1分4厘、得点数「118」はいずれもリーグワーストで、このうち得点数に関してはパ・リーグ5位のロッテとも21点差という低さです。

今シーズン、ソフトバンクに移籍した山川選手の穴を埋めると期待された、新外国人のアギラー選手とコルデロ選手は現在2軍での調整が続くなど補強も効果的とは言えず、低迷の一因となっています。

先発陣は
▽ルーキーの武内夏暉投手がここまで3勝負けなしで防御率は1.43
▽今井達也投手も先発ローテーションの柱として安定したピッチングを見せるなど、
一定の結果を残しているだけに、監督代行を務める渡辺久信ゼネラルマネージャーは「ピッチャーがいてもやはり点を取らないとなかなか勝てないし、連敗するというのを実感している。なんとかして1点、2点をもぎとっていく。『西武は嫌らしい』と思わせられるようなチームを作っていきたい」と打撃面での目標を語りました。

まずは3位以内を現実的な目標に掲げた渡辺監督代行ですが、課題が残る打線をどう立て直していくのか、その手腕が注目されます。