「パンデミック条約」期間内に合意至らず WHO総会で対応協議へ

WHO=世界保健機関の加盟国は、感染症対策の強化に向けたパンデミック条約の策定を目指し2年かけて交渉してきましたが、ワクチンの分配などをめぐって途上国と先進国が対立し、予定されていた期間内に合意に至りませんでした。各国は、来週からスイスで始まるWHOの総会で今後の対応を協議する方針です。

パンデミック条約は、新型コロナウイルスの感染拡大の教訓を踏まえて国際的な感染症対策を強化し、新たなウイルスの流行を予防することを目指していて、おととしからWHOの加盟国の間で交渉が行われてきました。

パンデミックの際には先進国と途上国との間で対策の格差が広がったことから、条約の交渉では、途上国への技術移転や病原体情報の共有の方策などが焦点となりました。

しかし、ワクチンの分配を求める途上国と製薬会社への影響を懸念する先進国の対立なども表面化し、条約の採択を目指していた来週のWHO総会までには合意には至らず、24日、交渉はいったん終了しました。

各国はこれまでの交渉を踏まえ今後の対応を総会で協議する方針で、テドロス事務局長は24日「総会で交渉に活力を与えよう。世界はパンデミック条約を必要としている」と述べ、感染拡大の教訓を忘れずに交渉を継続するよう訴えました。