巨人 戸郷翔征がノーヒットノーラン達成 史上89人目 阪神戦で

プロ野球、巨人の戸郷翔征投手が24日夜、甲子園球場で行われた阪神戦でノーヒットノーランを達成しました。プロ野球でのノーヒットノーランは、当時オリックスの山本由伸投手が去年9月9日に達成して以来、史上89人目、101回目で、今シーズンでは初めてとなります。

巨人のピッチャーが甲子園球場での「伝統の一戦」でノーヒットノーランを達成したのは1リーグ時代の1936年9月25日に沢村栄治さんがプロ野球史上初めて達成して以来、88年ぶりでした。

戸郷投手は、兵庫県西宮市の甲子園球場で行われた阪神との試合に先発しました。
立ち上がりから力のあるストレートと、鋭く落ちるフォークボールを軸に打たせて取るピッチングで阪神打線を抑えました。

5回に1アウト二塁のチャンスから泉口友汰選手のタイムリーヒットで1点の援護をもらい、そのウラに味方のエラーで先頭バッターに出塁を許しました。

それでも戸郷投手は阪神の6番・前川右京選手をショートフライ、続く7番・坂本誠志郎選手をサードゴロのダブルプレーに打ち取り、難なく切り抜けました。

戸郷投手は、その後も4番の大山悠輔選手を151キロのストレートでピッチャーゴロに打ちとるなど、安定したピッチングを続けました。

9回は先頭バッターにフォアボールを与え、その後、2アウト二塁のピンチを迎えましたが、2番・中野拓夢選手から空振り三振を奪い、ノーヒットノーランを達成しました。

プロ野球でのノーヒットノーランは、当時オリックスの山本由伸投手が去年9月9日に達成して以来、史上89人目、101回目で、今シーズンでは初めてとなります。

戸郷翔征「緊張から解き放たれたので最高」

戸郷投手はノーヒットノーランを達成した直後のヒーローインタビューで「やっと緊張から解き放たれたので最高だ」と率直な心境を話しました。
そして「チームとしてもいい結果が出ていなかったので、交流戦前最後となる3連戦の初戦を何とかとりたいと思っていた」と試合を振り返りました。
記録への意識については「6回が終わった時点であとアウト9個と思い、8回を終えたときには、本当にできるのかなと思った」と話した上で「1対0の9回に、1点もやれない状況で先頭にフォアボールを出して焦ったが、落ち着いて抑えられてよかった。最後、三振で終われたのですごくよかった」と笑顔を見せました。

また、試合中のベンチの様子については「誰ひとり、記録について言ってくれなくて、間違いではないかと思っていた。杉内俊哉投手チーフコーチも7回くらいから自分のもとに来なくなったので、よりいっそう緊張した」と明かしました。

今後に向けては「次から交流戦が始まる。巨人を首位に持っていきたいので応援よろしくお願いします」とファンに呼びかけていました。

戸郷投手は、野球人生の中でノーヒットノーランを達成したことは記憶にないということで、ウイニングボールは両親に渡すということです。

◇甲子園での阪神戦での達成 沢村栄治 以来88年ぶり

巨人のピッチャーが甲子園球場での「伝統の一戦」でノーヒットノーランを達成したのは1リーグ時代の1936年9月25日に沢村栄治さんがプロ野球史上初めて達成して以来、88年ぶりでした。この時も巨人は1対0で勝ち、沢村さんは19歳7か月で記録を達成しました。

甲子園球場でのノーヒットノーラン達成は、当時、阪神の湯舟敏郎さんが1992年6月14日に広島を相手に達成して以来、32年ぶりでした。

巨人 阿部監督「すばらしい それしかない」

巨人の阿部慎之助監督は「すばらしい。それしかないです」と短いことばでノーヒットノーランを達成した戸郷翔征投手をたたえました。
そのうえでピッチングの内容について「いつも以上にコントロールがよかったと思うし、マインドもいつもよりは落ち着いていた」と評価していました。

阪神 岡田監督「もう終わったこと」

阪神の岡田彰布監督は「今のバッティングの調子だったら、いいピッチングをされたらこうなる。もう終わったことやし『初戦負けた』ということやろ。あす、バッターがどれだけ奮起するかよ」と話していました。

【戸郷翔征 投球内容】

29人の打者と対戦して123球を投げ、与えたフォアボールは1つでした。
27個のアウトのうち
▽三振:5つ
▽内野ゴロ:7つ(このうち1つがダブルプレー)
▽内野へのライナー:2つ
▽内野フライ:3つ
▽外野フライ:8つ
▽送りバント:1つ

◆戸郷翔征 ドラフト6位入団 今季は初の開幕投手

巨人の戸郷投手は宮崎県出身の24歳。2019年にドラフト6位で入団した右ピッチャーです。身長1メートル87センチから投げ下ろす150キロを超えるストレートと、落差の大きいフォークボールが持ち味で、プロ2年目と3年目に9勝を挙げるなど早くから頭角を現しました。

おととしは課題だったコントロールが向上し、シーズンを通して安定したピッチングを見せて自身初のタイトルとなる最多奪三振を獲得したほか、自己最多の12勝をマークしました。

去年はWBC=ワールド・ベースボール・クラシックの決勝にも登板して優勝メンバーに名を連ね、シーズンでは2年連続となる12勝をあげ両リーグ最多に並ぶ4完投をマークするなど、安定感に加えて抜群のスタミナも見せました。

今シーズンは6年目で初の開幕投手を任されるなど阿部慎之助新監督のもと、投手陣の柱として期待され、これまですべて先発で8試合に登板し3勝2敗、防御率2.17の成績を残していました。